昨年解体した実家の様子を確認するため、先日田舎に帰った。
高齢者の運転なので慎重を期して温泉につかりながらゆっくりのんびり、GOTOキャンペーンの岡山県版の県民割を使って行った。
岡山県民が岡山県内のホテル・旅館に宿泊した場合、一泊5000円の補助と飲食代やお土産品に2000円のクーポンが使える。
今、全国の自治体で制度化しているようだ。
昨年はGOTOキャンペーン全国版で実家のある広島県で使わせてもらったが、今回は岡山県内に泊まることで県内の観光業に少しでも役に立つなら、これに越したことはない。
実家は空き地になっており、空き地の雑草でご近所の皆さんにご迷惑をおかけしたようなことを聞いた。
一緒に解体した隣の方と今後の善後策を相談することにして、午後3時過ぎ、本日の泊まりの湯原温泉に向けて出発した。
本日泊まるホテルは、昭和時代に天皇皇后両陛下がお泊りになった由緒あるホテルとあった。
ただ、おそらく建設以来建て替えがなされていないと思われる、古色蒼然とした老朽感の滲んだ建物だった。
窓枠のアルミサッシも黒ずみ、手が回らないのだろう、吹き込んだ小さな枯葉が窓の内側にほこりと一緒にたまっていた。
照明やテレビ、水洗化、洗面所などは手が入っているが、よく見ると、蛇口のハンドルは下に押すと水が出て、上に上げると閉まる仕様だ。
阪神大震災で蛇口に物が落ちたはずみに水が流れ、自宅が水浸しになった事例が多発したため、以後は、ハンドルを下げると止水するよう変更されている。
阪神大震災は1995年1月なので機器の改修も26年以前のことなのかと思った。
また、給仕などの従業員には外国人が多かった。
一人のメイドさんに尋ねたら、ネパール出身だと流ちょうな日本語だった。
日本に来て5年になるが、コロナ禍でも国に帰っていないと言っていた。
深刻な経営状況と人手不足が重なっているように思えた。
地方の観光・宿泊業のひっ迫した状況を見たような気がした。
今夜の夕食は黒毛和牛のしゃぶしゃぶ会席。
ただ、ワインを頼むと時間がかかった。
聞くと地下に取りに行っているので時間がかかってと困った顔をしていた。
黒毛和牛のしゃぶしゃぶの小鍋はもう火が消えかかっている。
仕方がないのでビールを頼んでしゃぶしゃぶをいただくことにした。
ビールを飲んでしゃぶしゃぶをいただいていたら、やっとワインがきた。
ワインがなくて隣の旅館にでも借りに行っていたのではないかと、邪推してしまった。
今日の泊まりは5~60人くらいか、大広間の畳の間に4人掛けと2人掛けのテーブルとイスの老人仕様、正面にプラスチックの遮蔽板で仕切りしてコロナ対策は施されていた。
30席くらい用意されていて、1時間間隔で客が入れ替わるように予約制にしていたが、客はスムーズに入れ替わっていた。
平日だったが老人だけでなく若いカップルも結構多くいた。
私はビールとワインと日本酒熱燗、冷酒などいただいて1時間半くらい、気持ちよく飲んで食べた。
料理はしゃぶしゃぶの他にアマゴの甘露煮、刺身、酢の物、南瓜豆腐、茶わん蒸し、ぶっかけ蕎麦、天ぷらなど多品種だったが、大量ではなく、老人にはほどほどに十分だった。
天ぷらや茶わん蒸しなど熱々ではないけれどその都度供され、料理人や給仕する人たちの一生懸命さは伝わってきた。
食事はまあまあ合格。
恐らく、事業の存続に綱渡りのような営業努力をしているのだろうと察せられた。
湯原温泉は古来から伝わる美作(みまさか)三湯の名泉。
大浴場は熱い湯、小浴場は温めの湯、露天風呂など温泉の良さを楽しめた。
今夜は男性は大浴場、女性が小浴場という割り当て。
カミさんによれば小浴場に入る扉は壊れているのか、女性の力で開け閉めが大変だったと言った。
これも十分手が回らないのだろうと気の毒な気がした。
本当に状況はひっ迫しているように思われて仕方がなかった。
今朝は湯原ダムの堰堤下にある砂湯の周辺を歩く。
砂湯にも朝から途切れることもなく老若男女が少人数であるが利用していた。
3000歩足らず歩く。
戻ってから、温泉に入る。
昨日は男性は大浴場だったが、今朝は女性と入れ替わって小浴場、といっても10人以上は入れる。
浴室の引き戸が壊れていて、うまく開閉ができない。
両手で力いっぱい引いてやっと開け閉めできた。
このことはカミさんも言っていたけど、これで苦情は出ないんかしらと思った。
先客が出て、一人で湯船につかった。
昨夜の湯は熱めだったが、今朝の湯はちょっとぬるめでちょうど良かった。
朝食はサプライズはなく普通の食事だが、一つ一つが奇をてらわず丁寧に作られており、普通においしかった。
今朝は11時チェックアウトだが、10時過ぎ出発。
駐車場には1/4くらいはまだ残っていた。
温泉場ではお客さんも温泉に浸りゆっくり過ごす、それが温泉の楽しみ方なのだが、貧乏性の私はゆっくり温泉を楽しむ気分は持ち合わせてなくて、どうもゆっくりのんびりができない。
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