”グラインドハウス”、という企画から生まれた問題児です。
しろあです。
クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの両監督が、
昔の単館の数本立ての映画企画、”グラインドハウス”を現代に再現しようとして作成された映画があります。
タランティーノは『デス・プルーフ』、ロドリゲスは『プラネット・テラー』を撮り、
この2本立ての映画に、フェイクの映画宣伝を数本作って当時を再現したとのこと。
そのフェイクCMの中のひとつが好評で、実際に映画化されたのが今回紹介する作品です。
メキシコ人の移民問題を背景に、その取り締まりを強化する政府と、麻薬組織の癒着に戦いを挑む、レジスタンスの物語。
そのレジスタンスに伝説の捜査官、今は日雇い労働者のマチェーテが利害の一致から加わり戦うことになります。
ストーリーはまじめに見るだけ無駄です。
筋がゆるゆるであり、つっこみどころを探せばきりがないくらい。
また、戦闘シーンはスピーディーで重要キャラもさっくり死んでいきますが、
マチェーテだけはどんなにピンチでも死にません。ま、主人公ですから。
挙句の果てに作中では「不死身の男、剣で刺しても、銃で撃たれても死なない」などと言われる。
けれども何度か捕まりかなりのピンチ、殺せるチャンスはいくらでもあるけど、
悪者のそういうタイミングでは殺さないんですよね。
バカバカしさと、変な迫力と、美女のセクシーシーンで飽きずに場面は展開します。
そしてこの作品はさらに好評を博し、続編が作られました。
それが『マチェーテ・キルズ』です。
テロ組織が核爆弾でアメリカを壊滅させるのを阻止するマチェーテの話です。
テロのボスの心臓に核爆弾の発射スイッチが仕込まれており、24時間以内に解除しないとアメリカは終わる。
マチェーテは次元スイッチを切るために、製作した科学者のいる施設を向かいます。
いろいろお叱りがあったのか、お色気シーンはかなり抑えられましたが、
強敵が多数登場し、バトルシーンはパワーアップしてます。
しかしながら物語はよりバカバカしい展開で、マチェーテの生存もより理不尽に。
ラストでは次回作に続く宇宙へ飛び立つシーンで終わるのですが、この作品はいまだ公開されていません。
……もう少し丁寧に作ればねぇ。宇宙に行かなければねぇ。続編ができたかもしれないのに。
ま、そもそもロバート・ロドリゲスが冗談で作った劇場用映画CMから膨らませて作ったものですから
それほど熱量は無かったのかもしれません。続けたくなかったのかもしれません。
見方には順番があります。『マチェーテ』が一作目ですが、『プラネット・テラー』の頭から見ましょう。
ここで『マチェーテ』の映画CMを見ることができます。
このCMのシーンだけでも割とお腹いっぱいになるくらい面白いですよ。
『マチェーテ』本編はこのCMシーンをある程度再現しています。
ですからCMを見ていたほうが「おお! このシーンは!!」という
楽しみからができるんですね。
その後、『マチェーテ・キルズ』を見ましょう。
ちなみにこの作品の冒頭では次回作の予告が入ってますので、
わざと尻切れトンボで終わらせ、当初の企画どおり、
作品はCMで後は予想して楽しんでね、ということだったのかもしれません。
B級映画としては、演出面のレベルが高い作品。
昔のB級映画の雰囲気が好きな方には、頭を空っぽにして楽しめる作品だと思います。
……一般の方にはおすすめしません(笑)。