2019年08月28日

目 次

おどろくほど健康になれる食事法

(スクロールでごらんるなるほか、右のカレンダーの下のカテゴリーもご利用ください。なお、食事法 お知らせ(冊子(ハードコピー)の提供について) もごらんください。

はじめに

序 章
1-1 「おどろくほど健康になれる」とは
1-2 「健康」とは
1-3 日本人を不健康にした4つのこと
1-4 栄養学は2つある 
総 論 


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2019年08月13日

はじめに

「正しい食生活」を実行すると、おどろくほど健康になることができる、はやりの言葉でいえば想定外の健康が得られる、と確信し、この冊子をつくることにした。

 いま、日本人の平均寿命は世界のトップクラスである。でも、日本人の多くが健康でニコニコしてくらしているわけではない。
 私はいまから40年ほど前に、「一億総半病人」という言葉に出会った。一億は日本の総人口、半病人とは病人ではないが不快な症状をもっている人のことである。つまり日本人のほとんどは不健康だという意味である。そして、この状態は40年後のいまも続いている。

 では、この状態から脱出して、多くの人びとが、日々、健康面でニコニコして過ごす方法はないだろうか。
 あるのだ。それは食生活を日本の伝統的なものにもどし、薬(化学薬剤)の使用を最小限にすることである。

 私は、この16年間、ボランティア的ではあるが、「正しい食生活」を伝えながら穀物原料の健康食品を普及・販売してきた。そして、その過程で多くのことを学び、また、病気の方の支援もしてきた。ここでは、そこから得られたものをベースに、おどろくほど健康になれる食事法などを展開していきたいと思う。
                            2019年6月

(注)本文中の幾つかの事例はフィクションですが、実例をベースとしています。

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2019年08月12日

1-1 「おどろくほど健康になれる」とは

 食生活を改善すると、いやな症状や病気がおどろくほど回復するということは、過去16年間の見聞にもとづく私の実感である。だが、「おどろくほど健康になれる」の表現は鶴見隆史(医師)の本を参考にしている。鶴見は開業医で、食改善と健康食品をメインに治療にあたっている。鶴見は沢山の本を書いているが、ある本で「(食改善と健康食品などで)おもしろいほど病気が治る」といったことを書いていた。もっともかれもガンやリウマチは簡単ではないといったことを付け加えていた。

 鶴見と似たことは多くの食養法(玄米菜食健康法)の指導者がいっている。


 ここでは鈴木弘一(医師)の一文を紹介しておく。鈴木も食改善と健康食品などで治療をしている。

「これらの病気(糖尿病・慢性肝炎・胆のう炎)にかかっても、あわてず騒がず、じっくりと、食生活を玄米菜食の方向に改善したり、断食したりしていけば、必ずや容易に治るはずだ。筆者の診療所には、さまざまな難病の患者(たとえば、手おくれのガン、頑固なリュウマチなど)を多数受診するが糖尿病や肝臓病の患者がおとずれてきたときは、殆どの患者が全治するので大歓迎である。それほど、現代医学でもてあまされたこれら難病も、食生活や漢方で働きかけたら、おもしろいぐらいよく治る。筆者の腕がよいから治るのではない」(『病は敵ではない』1979)


 なお、ひとこと付け加えておく。ガンとリウマチは食養法をもってしても治りにくいというのは定説かも知れない。しかし、治った事例はたくさん報告されているし、私もけっこうな数の治った人にあっている。「ガンやリウマチが治りにくい」というのは治らないということではない。相対的に治る確率が多少低いといったことである。


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2019年08月08日

1-2 「健康」とは

「おどろくほど健康になれる」と書いてきたが、では、その「健康」とはどんな状態なのか。

 体のあちこちに何カ所もの不快症状をもっている人がいる。自分のことを「病気の問屋」という人さえいる。このような人は「健康」をイメージできないのではないか。そこで、「健康」を考える材料として私自身のここ15年間ほどのことを紹介しておく。

 私は風邪を引くのは3年に1度位である。それも軽いもので仕事を休むことはない。
 私は、いいしれぬだるさ・疲労感はない。働き過ぎると確実に疲れるが、休憩すると回復し元気になる。
 頭痛、めまい、口内炎になったことはない。
 腰痛、膝痛の経験もない。
 しっしんや皮膚炎になったことは3~4度ある。食べすぎが主因のこともあったが、食事を減らして自力で回復した。
 ぼけもない。70代後半の私であるが、人の名前などの記憶力は50代、いや40代後半の人と変わらないと思う。1年前、運転免許の更新で認知症のテストを受けたが高得点の方で合格した。ただし、漢字の記憶力や各種の計算能力は落ちており、記憶全般で50代ということはない。

 以上、私の例で恐縮だが、「健康」とはこれくらいの状態かと思う。
 これくらいの人はそれほどいないと思うが、私の健康仲間ではごく普通のことである。



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2019年08月07日

1-3 日本人を不健康にした4つのこと

 ここからは「おどろくほど健康になれる」食事法を示すが、その前にその理解をしやすくするため2つのことを紹介しておく。
 この節では、日本人を不健康にした4つのことを取り上げる。

 4つとは白米、白砂糖、獣肉・牛乳・乳製品、薬(化学薬剤)である。

・玄米から白米に
 江戸時代の元禄期(1680~1709)以降、江戸などの都会で白米が食べられるようになり脚気(かっけ、足の感覚がマヒしたり全身がだるくなったりする病気)が多発した。白米は今では常食となっており日本人の体力を弱めている。

・白砂糖の普及
 白砂糖が諸病をもたらすことは常識に近い。虫歯になりやすいことはもちろん、骨粗鬆(こつそしょう)症、アレルギー体質、頭痛、認知症、ガンなど砂糖が主因となる病気はたくさんある。白砂糖は江戸時代中期からあるが、広く普及したのは第一次大戦(1914~1918)後のようだ。

・獣肉・牛乳・乳製品の普及
 動物性食品は魚中心の日本で、明治以降、獣肉・牛乳・乳製品が飲食されるようになった。そして、食生活の欧米化といわれる時代(1970年以降)になって沢山食べられるようになり、ガン、糖尿病、アトピーなどが広まった。

・薬(化学薬剤)の多用
 薬の副作用の害は大きいが、薬は薬剤性の病気もつくっている。薬剤性肺炎、薬剤性パーキンソン症候群、薬剤性腸炎、薬剤性の認知障害など薬による病気はたくさんある。薬がいつころから多用されるようになったかは判然としない。ただ対前年比でみると1970年頃から増加のスピードが上がっている。

 以上、日本人を不健康にしたものを4つにしぼって紹介した。いずれも健康になるためには無視できないものである。



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2019年08月06日

1-4 栄養学は二つある

 次節以降に示す食事法の理解をしやすくする2つ目は、「栄養学は2つある」を知ることだ。
 「栄養学は2つある」は私独自の表現である。しかし、食養法による食事改善をメインにして指導・治療をしている人たちは、皆、知っている。

 2つあると聞いて不思議に思う人も多いと思うが、いまの日本には、おおまかに いって2つあるのが現実である。一つは現代栄養学。もう一つは食養法(玄米菜食健康法)である。前者はドイツ栄養学に影響を受けたもので公的機関や病院が採用している。後者は日本の伝統食(和食)をベースにしたもので、庶民のなかにそれなりに浸透している。

 問題はそれぞれの食事内容である。

 ここでは数項目について比較しておく。Aは現代栄養学系、Bは食養法系である。
・主食
 Aは穀類などと表示し未精白か否かを問わない、Bは玄米や未精白穀物
・副食
 Aは白米を認めるので副食の量は多くなる。白米ではビタミン・ミネラル・食物繊維が十分にとれない。Bは玄米や未精白穀物から栄養分がとれるので副食は少なめで、また、多くとることをいましめる。
・動物性食品(肉・魚・牛乳・乳製品)
 Aは食事全体に占める動物性食品の比率は多め(たとえば25%前後)、Bは少なめ(たとえば10%前後)、Aは牛乳を推奨するが、Bはほぼ禁止
・塩分 Aは減塩、Bは減塩を勧めない
・その他
 Bは一物全体食(できるだけ食材を丸ごと食べる)を勧める。胚芽や皮などからビタミン、ミネラル、食物繊維がとれるため。小魚なら骨ごと食べるとカルシュウムがとれる。Aはカロリー計算に熱心だが、一物全体には関心が低い。

 現代栄養学と食養法について、上記の5つだけでは食事内容のイメージはつかめないと思うが、次節以降を読むとき、「栄養学は2つある」を頭の片隅においていただきたい。私がこの冊子で勧めるのは食養法である。



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2019年08月05日

2-1 食養法(玄米菜食健康法)

 この節からは「おどろくほど健康になれる食事法」を紹介していくが、それは食養法(玄米菜食健康法)である。
 食養法は玄米(又は未精白穀物)を取り入れるが、ただ単に白米ごはんを玄米ごはんに変えるだけではない。そのほか幾つかの決まりごとがあり体系的になっている。

 食養法は、それが誕生した明治後期以降、多くの指導者がおり、食事内容は人に よって多少ことなる。ここでは私が多くの指導者にほぼ共通するとみた10項目を選んだ。10にしたのは、多すぎると焦点がつかみにくいためである。なお、選定・解説には必然的に私の意見が入っている。

食養法の基本事項
 ・玄米  未精白米や全粒粉パンでもよい
 ・菜食  動物性食品は食事全体の5~15%くらい
 ・少食  お勧めは一日2食、一日1100~1800kcalくらい
 ・主食中心の食事  おおまかに比較して副食は主食より多くならないようにする

食養法の個別事項
 ・牛乳  非推奨
 ・根菜類(大根、人参など)  体を暖めるのでしっかりとる
 ・果物(ナス、トマトを含む)  少なめに、取りすぎると体を冷やす
 ・味噌汁  ほぼ毎日とる、効能が高いため
 ・塩分  自然塩をしっかりとる、減塩をしない

食養法の考え方
 ・一物全体食  食材はできるだけ丸ごと食べる

 以上、取り上げたい項目はたくさんあるが、ここでは10項目にしぼった。各項目の意味については次節以降で解説する。

(参考)
 食養法の食事内容を具体的に知るには、森下敬一(医師)『クスリをいっさい使わないで病気を治す本』(三笠書房、知的生きかた文庫)の末尾に「(1週間分の)献立表」がのっている。これをみるとイメージがつかめると思う。



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2019年07月31日

2-2 なぜ玄米か

 食養法では副食は主食(玄米又は未精白穀物)より量は少なくするし、少なくてよい。
 典型的な例をひとつあげておく。
 宮沢賢治は「雨ニモマケズ」の詩の中に「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」と書いた。これは農業労働をしていたときの賢治の実際の食事に近いものとされている。
 賢治の例は副食がきわめて少ないが、幾人かの指導者は、玄米を食べるときは副食(みそ汁を除く)は玄米ごはんの3分の1ほどがよいとしている。これで健康で過ごせるほど玄米の効用は高いのだ。

 では玄米はなぜ効用が高いのか。
 私はつぎの3つかと思う。
・カロリーがしっかりとれること
 カロリーがとれなくては主食になりえない
・ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富なこと
 いわゆる微量栄養素がしっかりとれなくては健康を維持できない
・体を冷やすこともなく、暖め過ぎることもなく中庸であること
 どちらかに片寄っていては主食にしにくい
 以上、3つの理由が主因で玄米は主食とされてきたのだろう。

 ここで玄米批判を一つ紹介しておく。
 ある医者は「今日のように食べ物が豊富な時代には、わざわざ玄米を食べなくてもよい。かんたんに手に入る豊富な食べ物からビタミン、ミネラルをとればよい」と。
 たしかに白米を食べていても、おどろくほど健康な人がまれにいる。しかし、白米と組み合わせて健康を維持できる副食を選ぶことは、とてもむずかしい。一億総半病人といわれるように、多くの人はうまくいっていない。



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2019年07月30日

2-3 玄米批判にまどわされるな

 食養法は玄米(又は未精白穀物)中心の食事法である。
 ところが、玄米にはいわれなき批判がある。ここではそのうち2つを取り上げ、解説を加えておく。

(批判1)玄米を食べると骨が弱くなる
 玄米の表皮にはフィチン酸(リン酸化合物)が含まれる。フィチン酸は体内のビタミン・ミネラルと結合し体外に排出する作用をもつ。当然、体内のカルシュウムとも結合して排出する。そのため玄米食にすると骨が弱くなるという批判がある。
 これについて、ある食品会社は「玄米はビタミン・ミネラルを少し排出するが、それでも玄米自体に十分な量のビタミン・ミネラルが含まれているから問題ない」と解説している。
 私はこれが正当だと思う。というのは私自身も玄米を食べているが骨は丈夫である。また、私の知人の多くの玄米食者も同じである。
 米糠(胚芽・表皮)は豚や養殖魚のエサになっている。もし糠(ぬか)が骨を弱くするなら養殖業者は使わないし、豚や魚も食べないだろう。

(批判2)玄米は消化が悪い
 玄米は白米にくらべ消化が悪いから良くないとの批判がある。でも、私は玄米食を長年つづけている人たちから「消化が悪い」と聞いたことはまったくない。歯が悪く玄米を苦手とする年配者はいるが。
 食材のなかで「消化が悪いもの」は何だろうか。諸資料で調べたところ、消化が悪いのは、ゆで卵、目玉焼き、テンプラ、かまぼこ、油揚げ、うなぎ、肉類、貝類、イカ、タコなどだった。いずれも油分が多い食材だ。もちろん玄米は入っていない。
 玄米と白米の消化に関し、先の会社は「幾つかの研究報告では、玄米食の消化吸収はわずかに白米に劣る。しかし、栄養素の量は、玄米が断然多いので、わずかな吸収率の差は問題にならない」と解説している。

(参考)
 フィチン酸はダイオキシンやカドミウムなどの体内の有害物質と結合して対外に排出することは、それなりに知られている。



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2019年07月29日

2-4 玄米はおいしくない?  

「玄米はおいしくない」という批判をみておく。
 私は40年以上も玄米ごはんを食べてきたが、かみごたえがある玄米ごはんにくらべ白米ごはんはものたりない。
 
 玄米ごはんは、日本で2千年以上の歴史があり多くの人が食べてきた。それがおいしくないとされる理由を2つとりあげる。

・味覚が狂っているのでは?
 人が普通に食べるものを、ごく一部の人だけがおいしくないと感じるのは、その人たちの味覚が狂っている可能性がある。漢方医学では、味覚が狂っている人はお血だという。お血とは汚れた血液のことである。玄米ごはんをおいしくないと感じる人は、まず、自分のお血による体調不良をうたがってみるとよい。

・玄米ごはんはうまく炊けているか?
 味覚が正常な人が、玄米ごはんはおいしくないと感じるなら、ごはんがうまく炊けてないのかもしれない。私は40年ほど前に買った圧力鍋で玄米を炊いているが、おいしくできる。この鍋は、当時、玄米がうまく炊けることで定評があった。
 私は、長年の間に、知人宅、食堂、弁当業者などのつくった玄米ごはんを10回ほど食べている。そのなかにはおいしくないものが2~3度あった。ふっくら炊けていないのだ。
 自分で炊いた玄米ごはんをおいしくないと思う人は、玄米炊飯に定評のある圧力鍋をさがすなどして、炊き方に工夫をしていただきたい。

・玄米ごはんを食べると体調が悪くなる?
 これは味のことではない。玄米ごはんを一ぜん食べると「下痢をする」と言った人がいる。これは、ビタミン・ミネラルの豊富なものなどを食べたときに、一時的に出る不快な症状のひとつである。お血の人に強く出がちで、好転反応(4-2)といわれる。

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2019年07月28日

2-5 動物性食品の比率は

 食養法はおおまかにいうと菜食である。菜食の菜は野菜で、主食は玄米(又は未精白穀物)、副食は野菜を主とするのが食養法である。
 では食養法の指導者は、動物性食品はどのくらい食べるべきとしているのだろうか。
 私は2-1で、動物性食品は食事全体の5~15%くらいと書いた。多くの指導者たちは、このくらいが良いとしている。

 なぜ、動物性食品をたくさん食べてはいけないのか。ここでは動物性食品を肉と表現して解説していく。

・肉は腸の中で腐りやすい
 肉は穀物や野菜にくらべて腐りやすい。これは体の中に入っても同じである。人間の体温は36.5度位、食べてから便として出るまで、通常、24時間以上かかる。この間、肉は腸で腐敗する。そして有毒ガスを出し、それが腸から血液の中に入る。

・肉は便秘につながる
 肉には食物繊維が少ない。そのため肉食過多になると便秘がちになる。便秘になるとたまった便から有毒ガスが体内に入り込む。

・肉食過多は陽性体質になる
 肉は陽性食品である。肉食過多だと陽性体質になりすぎ諸病のもととなる。

 では、肉食はゼロがよいのだろうか。
 多くの食養法の指導者たちは肉食ゼロは勧めていない。それは、肉食は陽性食品で体を暖めるし、ビタミンB12など肉食でないととりにくい成分がある、といったところだろうか。

 いっぽう、食養法の実践者のなかには、動物性食品を「できるだけとらない」「まったくとらない」といった人たちもいる。
 でも、私はこれは不自然だと思っている。それでは十分な健康が得られないと思うからだ。人間は、過去、長い間、多少の動物性食品をとってきた。また、歯の構成も永久歯28本のうち4本(約14%)は犬歯である。犬歯は肉などをかみ切る歯である。人間は多少の動物性食品を食べる動物なのである。



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2019年07月25日

2-6 副食は少なめに  

「おかず食いは健康になれない」と言う人に出会うことがある。ことわざのようだが、ことわざ辞典には出てこない。準ことわざくらいであろうか。

 2-1に書いたように食養法では、おおまかにいって副食が主食より多くなってはいけない。主食と副食の比率は、主食を玄米にするか未精白穀物にするかで変わってくる。玄米なら副食は主食の3分の1でよいとする指導者が多い。いっぽう7分搗 (つ)き米なら主食と副食はほぼ同量くらいであろうか。        

 なぜ副食が多くてはいけないのか。二人の指導者の意見を紹介しておく。

・長岡由憲(医師)
「副食を多くすると、自分の好きな食品を多く食べる傾向になります。そうすると栄養のバランスがもっと崩れることになります」(『新食養療法』)

・東城百合子(食養指導者)
「ご飯を食べないで副食をたくさん食べる人に肥満が多いのは、胚芽のついた穀類は細胞に弾力と活力を与えるため体がしまるのに対して、副食が多くなると水分やカリウムなどが多くなって、細胞がふくれてふけやいすからです。それに酒や砂糖を使った甘いものが多くなると、いっそうふやけてしまうのです」(『食生活が人生を変える』)

 別な視点から、副食が多くては危険な理由を紹介しておこう。

 今、テレビや新聞・雑誌からどんどん健康情報がでてくる。「野菜をたくさん食べよう」「大豆を毎日食べよう」「酢をとろう」「青魚がよい」などいろいろである。しかし、これを受け入れると大変なことになることがある。体が陰や陽にかたむきすぎてしまうことなどのためだ。こんなとき、「副食は少なめに」の習慣が身についていれば、野菜、大豆、酢、青魚などを食べすぎることはない。そのためマスコミ健康情報からの被害を最小限にすますことができる。

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2019年07月24日

2-7 少食のすすめ

 2-1で、食養法は玄米ごはんに変えるだけでなく、幾つかの決まりごとがあると書いた。その一つが少食である。私は40年ほど前に、数多くの本を読み食養法を勉強したが、ほとんどの指導者に共通していたのが少食である。

 少食とはどの程度のものか。
 ごくかんたんにいうと一日2食分くらいの量である。
 指導者の多くは朝食ぬきの1日2食を提唱し実行している。2食だからおのずと少食になる。もっとも、昼食ぬきの2食、夕食ぬきの2食の人もいる。大切なのは一日の食事量である。3食でも2食くらいの量ならかまわない。

 なぜ少食が大切なのか。
 食べすぎると諸病につながるからである。

 食養法ではどの位のカロリーをすすめているのか。一日1100~1800kcal位である。甲田光雄(医師)は、ある本で1500以下にさせるのはむずかしいと書いていた。逆にいうと1500~1800kcal位なら実行可能ということのようだ。

 朝食ぬきの1日2食で大丈夫なのか。生徒は朝礼で倒れないのか。サラリーマンは午前中仕事になるのか。
 私は玄米ごはんを取り入れるなど食事の質を上げると問題ないと思っている。
 世の中には朝食前にハードな仕事をする人がたくさんいる。私の知る酪農家は牛の搾乳を朝食前にしていた。新聞配達の人も何も食べずに2時間ほどの朝刊配達をしている。お相撲さんもハードな稽古のあとに食事をしている。ほかにも多くの例がある。朝食ぬきの生徒が朝礼で倒れるのは、朝食ぬきのせいではなく、その生徒の日常の食事全体からきているのではないか。



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2019年07月23日

2-8 一物全体食

 一物全体食は食養法でのもっとも大切な手法・考え方のひとである。

 一物は「いちぶつ」と読むことが多いが、「いちもつ」とも読む。
 一物全体食は、食材を丸ごと食べようということだ。米なら精米せずに表皮や胚芽のついたまま、即ち、玄米で食べること。大根なら葉も捨てずに皮もむかないで食べること、魚なら頭や骨やしっぽも食べること。こういった食べ方である。

 なぜ、食材を丸ごと食べるのか。
 それは人間が捨てている部分、即ち、胚芽、表皮、皮、魚の頭、骨、しっぽなどにビタミン・ミネラル、食物繊維などが多く含まれているからだ。

 野性動物は、すべての場合ではないが、食材を丸ごと食べるのが普通である。そして、丸ごと食べることが主因となって、人間のような慢性病がない。

 人間も一物の全体を食べるように日々努力すれば、病気にかかりにくくなる。また、健康食品なども少なくてすむ。一物全体食は、手軽にでき、かつ、お金のかからない健康法である。



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2019年07月22日

2-9 陰と陽の食事法

 食養法は、主食は玄米(又は未精白穀物)、副食は植物性のもの中心であるが、それ以外にも、これまでみてきたように必須事項といったものが幾つかある。

 必須事項のうち、私がいちばん大切だと思うのが、陰と陽を考慮した食事である。
 陰と陽(陰陽説)は元々は中国の易学の概念で、性質の相反する二つのもの(暖と寒、天と地、日と月、男と女など)は、互いに対立依存しながら万物を形成する、といったことである。

 陰と陽の考え方は健康分野にとり入れられている。
 食養法で考える陰と陽は2つである。

 一つは体質を陰性体質と陽性体質にわけることである。典型的な陰性体質は顔が青白く元気なさそうで虚弱体質的な人である。典型的な陽性体質は固太り・筋肉質で血色もよく元気であるが、今にも大病しそうな危うさがある人でもある。

 つぎは食材を陰性食品と陽性食品にわけることである。陰性食品は体を冷やす性質をもち、陽性食品は暖める性質をもつ。
 陰性体質の人は体が冷えているから陽性食品を多めに食べる必要があり、陽性体質の人は陰性食品を多めに食べる必要がある。

 陰性食品、陽性食品、そして中庸食品の代表的なものをあげておく。
 ・陰性食品 酢、果物、野菜、海草、いも類、豆類、アルコール
 ・中庸食品 米、麦、アワ、ヒエ、キビ
 ・陽性食品 獣肉、魚肉、卵、塩、味噌、醤油、梅干し

(参考1)
 食養法の基本に「身土不二(しんどふじ)」という格言がある。これは、季節毎に取れるものを、その時期に食べると、体を冷やさず暖めすぎずに健康でいられると、いったことである。
(参考2)
 陰陽の解説は次のものを勧める。
・入手しやすいもの
 森下敬一『ガンは食事で治す』(ベスト新書)の37~43頁、145 ~147 頁の陰陽の解説
 若杉友子『長生きしたけりゃ肉は食べるな』(幻冬舎、新書)の182 頁の表ほか
・推薦図書 
 大森一慧、小橋規實男、千坂諭紀夫、若杉友子の本の食物の陰陽表など
(参考3)
 陰陽の食物分類表は何人もの食養指導者が示している。しかし、なかには酢や納豆を陽性とするなど評価の正しくないものがある。酢や納豆は間違いなく陰性である。



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2019年07月18日

2-10 冷え症

 健康を維持・向上させるためには、冷え症を理解することはとても大切である。
  冷え症とは手、足、お腹などが冷え、それを本人が感じることである。もっとも本人が感じないのに体が冷えていることもあり、こちらも問題がある。

 私は40数年前に食養法の勉強をはじめたが、当時は陰性・陽性体質、陰性・陽性食品の解説はあったが、冷え症という独立した項目はなかった。ところが今では、「冷え」が入った書名の本が何十冊もある。冷え症が日本人に広がったためではないか。

 冷え症は冷えをがまんして耐えるだけですむなら、さほどの問題はないかもしれない。しかし、冷え症からの病気はたくさんある。冷え症がもとで起きる病気で私が一番出会うのは腰痛かと思う。

 ここでは佐藤巳代吉(医師)の解説を紹介しておく。佐藤は東洋医学を治療に取り入れている。
 佐藤は冷えと病気・症状の関係を2つに分けて解説している。

「冷えが原因で起こったと考えられる症状」
  ・疼痛(腰痛、頭痛、座骨神経痛、下肢痛、頸肩腕症候群、多発性神経炎、
      手関節痛、肩甲関節周囲炎)
  ・呼吸器症状(咳、気管支ぜん息、はな水、風邪引きやすい)
  ・冷え(手足の冷え,手足のしびれ、さむけ)
  ・循環器症状(心臓不快感、めまい)
  ・消化器症状(下痢、食欲不振、腹痛)
  ・その他(疲れやすい、耳鳴り)

「冷えと関係が少なくないと考えられる疾患」
「これまでの臨床経験から、冷えと関係が少なくないと考えられた症状や疾患は次のようなものがあげられます。自分は冷えを自覚していなくても、体に冷えが潜んでいて、それがいろいろな症状をつくり、回復を遅らせている場合があります。
 たとえば、疲労倦怠感、花粉症、気管支ぜん息、風邪を引きやすく長引く、アト ピー性皮膚炎、神経痛、関節痛、リウマチ、手足のしびれ、偏頭痛、低血圧症、めまい、動悸、狭心症、不妊症、頭重、食欲不振、下痢、便秘、頻尿、耳鳴りなどの症状を訴えます。言葉をかえれば「冷え」は体調をくずす隠れた仕掛け人といっても過言ではないでしょう」(『新・東洋医学の知恵』)

 冷えを防ぐうえでもっとも大切なのは食事である。食養法を取り入れればよいが、個々の注意点は次節以降で解説する。

(参考)冷えは自覚できないケースがある。この場合、病気や症状から自分が冷え症であることを推定し、冷えをとる食事法などを行う必要がある。



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2019年07月17日

3-1 酢の功罪

 私は、いまから40年ほど前と、16年ほど前に食養法を集中して勉強した。多くの指導者たちの本をていねいに読んだ。それをいま思い出してみると、酢についてはほとんど書かれていなかった。食養法では酢は中心的な食材ではない。ところが、いま、菜食系の食事に関心のある人のなかに、酢をひんぱんにとっている人がいる。そのなかには酢で体を冷し病気になった人もいる。

 つぎは、60代の男性Aと私との会話である。
  A「腰が痛いのだが」
  私「腰痛は冷えからくるが果物とか酢をとりすぎていませんか」
  A「酢の物を毎日食べている」

 こういった例は私の周囲だけでもけっこうある。腰痛の人、めまいの人、貧血ぎみの人、生理のとまった人、心筋梗塞の人など。これらが酢が主因と断定できるわけではないが、酢を多めにとっていたのは事実である。

 ある医者は、ドロドロ血液をサラサラ血液にするのに、即効性が一番高い食材は酢だと実験結果を示していた。
 酢が効果が高いなら使い方を誤ると大変である。

 酢の性質に関しては小橋規實男(食養家)の説明が分かりやすい。
「……お酢も陰性の強いものです。和食にお酢はつきもので、昔から日本人は料理に取り入れてきました。使い方を調べてみると、カニ、エビ、カイの料理に使っていたことがわかります。どれもが固いタンバク質なので消化吸収が悪い。そこで、タンパク質を分解する力のあるお酢を使ったわけです。しかし、酢だけでは陰性が強く危険性があるので陽性の醤油と混ぜて酢醤油にして使っているのです。逆に、このような理にかなった使い方ではなく、単純にお酢が身体にいいと考えて酢飲み健康法などを行うのは賢明とは言えません」(『気を高める陰陽食事健康法』『現代人を救う「気」を高める食事法』) 

 酢は、酢飲み健康法だけでなく、酢大豆のように他の食材と組み合わせたものが勧められている。しかし、酢大豆についていえば、酢も大豆も陰性食品で、取りすぎては体を冷やす。

(参考)
 酢の使用頻度について、細野雅裕(食養家)は次のように書いている。
「要は、酢を使用する回数を、自分の日頃の食事内容と、体質とを考えて決めてほしいのです。簡単な目安としては、健康体で週二回くらいがよいと思われます。頬(ほほ)や鼻などに毛細血管の浮き出ている人、目が充血しやすい人、貧血、冷え性、糖尿病などの人には、しばらく体質が改善されるまで、酢は用いない方がよいでしょう」(『東洋の知的健康法』)



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2019年07月16日

3-2 果物は体を冷やす

 果物は体を冷やす性質が強い。いま、日本ではたくさんの果物が年中食べられている。私は多くの人を冷え症にした第一の食べ物は果物だと思っている。

 私がからんだ2つの実話を紹介しておこう。

 まず、A(70代女性)との会話である。
  A「これから妹(B)の見舞いを行くが果物をもっていく(バナナを示して)」
  私「ダメですよ。妹さんの病気に体を冷やす果物は厳禁ですよ」
  A「そういえばそうでしたね。ではこのバナナはあなたにあげます」
 私は、以前からBの病名などは聞いていた。 

 つぎは、私の相談相手の栄養士Mとの会話である。
  私「友人の奥さんがめまいですがワンポイントアドバイスをおねがいします」
  M「トマトやナスの取りすぎに注意してください」
 Mも私も食養の専門家である。二人ともめまいは冷え症の人に多く、果物の取りすぎはよくないと知っている。それを前提にしての会話である。Mは「果物はもちろ ん」を省略してトマト、ナスといったのだ。トマトやナスは果物と同じくらい体を冷やすが、それで冷え症になっている人が多いようだ。

 果物についての格言を紹介しておこう。
 日本の格言から
 「なり木のある家は病人が絶えない」
 「イチジクの木を植えると死に絶える」
 「秋ナスは嫁に食わすな」(嫁の体を冷やすから)

 肉食の多い欧米の格言から
 「食後の果物は黄金の値打ちがある」(果物は陽性食品の肉食の害を消すから)

 森下敬一(医師)の一文も紹介しておく。
「果物は、成分組成の特性によって、生野菜の作用を強調した姿で現わす。したがって、陰性体質者は極力控え、陽性体質者は多めに摂ってよい」(『クスリをいっさい使わないで、ガンを防ぎ、治す本』)

(参考)
1.あるリウマチ患者は食養指導者から「果物は一日にあなたのげんこつ一個ほどにしてください」と言われた。私は、冷え気味の人はこの位の量にとどめ、それ以外の人はもう少し多めでもよいかと思っている。
2.果物に塩をつけて食べると冷え防止になる。「醤油をつけて」という指導者もいる。



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2019年07月15日

3-3 大豆は万能ではない

 若杉友子(食養指導者)の本をみていたら「大豆と大豆製品は体によくない!」とあった。もっとも食べ過ぎはよくないという意味だが(『若杉友子の「一汁一菜」医者いらずの食生活』)。
 10年ほど前の私なら、これを見たら「何で」と思っただろう。しかし、その後、冷え症から病気になった人にたくさん出会い、冷え症の原因をてっていして調べているうちに大豆・大豆製品(みそ・しょうゆを除く)の取りすぎも病気の原因になることを知った。大豆は陰性食品である。大豆も万能ではない。

 私の出会った事例を紹介しておこう。
1.ある50代の女性は豆腐と豆乳を毎日とっていた。そのためか玄米食なのに冷え症だという。ある年、重いカゼをひいた。通常、玄米食者のカゼは軽い。
2.ある60代の女性は大豆の煮豆を意識して食べている、と聞いていた。それなのに重病になった。私は「なぜ」と思ったが、体が冷えていたせいもあったのか。
3.ある60代の男性は腰痛だった。かれは毎日豆乳をたくさん飲んでいた。

 どうして大豆・大豆製品をたくさん食べる人がいるのか。マスコミから流れてくる「大豆はタンパク質が豊富」「イソフラボンが取れる」「大豆タンパクをとると筋肉がつく」といった情報のためかと思う。
 ここで、私があとの2つについてコメントはできない。しっかり勉強していないから。でも、それを肯定しても大豆・大豆製品を取りすぎてはいけないのである。陰性食品だから。

 小倉重成(医師)は次のように書いている。
「大豆は良質の蛋白源なので大豆そのものを一勺(しゃく)摂るだけで十分である。豆腐類、納豆、湯葉などの加工品は何故か永く食べると貧血を起こすので、なるべく控え目にする」(一勺は10の1合、『自然治癒力を活かせ』)

 では、大豆・大豆製品はどのくらい食べるべきなのか。
 私は2-1の(参考)で森下敬一(医師)が1週間分の献立を示していると紹介した(『クスリをいっさい使わないで病気を治す本』三笠書房の知的生きかた文庫)。ここには、3週間分の食事(1日昼食、夕食の2食、計42食)のメニューがでている。それによると、大豆製品(豆腐、納豆、ゆば、大豆もやし)は計7回で、食卓に上がるのは3日(6食)に1回である。ひとつの参考になるかと思う。



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2019年07月11日

3-4 塩分はしっかりと

 私は、数年前、減塩に熱心なのに、めまい、喘息などをもつ50代の男性に出会った。私はその原因は減塩だと確信し、すぐに塩分に関する諸資料を提供した。

 最近の2つの統計によると、減塩に関心のある人は75%前後だった。私が食養法の勉強をはじめた1976年頃には「減塩」は庶民のなかにはなかった。その後、塩分は高血圧の原因とされ、いまではすべての慢性病の原因にされてしまった。

 減塩がよいのか否か。私は答えは簡単にみつかると思っている。それは、減塩の人と塩分をしっかりとっている人に会い、健康状態をみればよいのだ。

 医師と食養家の観察結果を紹介しよう。

・石井仁平(医師)
「夜、救急当直をしていると、めまいや吐き気、両手のしびれや息苦しさ、そして、とりとめもない不安を訴えてくる人は多い。たいてい色白で筋力のなさそうなご婦人だ。……こうした人に、「塩分をひかえているでしょう?」と尋ねると、血圧が高めに出ることがあるので、塩分をひかえている、と答える人は少なくない」(村上譲顕『日本人には塩が足りない』所収)

・中嶋孝司(食養家)
「私が取材した例では、過度の減塩で難病に苦しんでいる人、不妊症になった人……毎夏日射病で倒れる人、花粉症になった人、勉強嫌いになった大学生、スポーツ選手から脱落した人、怠け病で寝たり起きたりの農家の主婦など、その弊害は慄然とするものばかりでした」(『誤食の恐怖』)

 減塩が広がった理由は幾つかあるが、その一つは欧米の減塩思想が、そのまま日本に持ち込まれたことである。しかし、ナトリウムを多く含む肉を食べる人は塩分(塩化ナトリウムが主成分)は相対的に少なくて済む。いっぽう、カリウムの多い穀物・野菜を食べる人は塩分が必要となる。日本人の多くは後者である。

 菜食系の野性動物が塩をもとめる映像はよくテレビに出てくる。ある塩分の多い小さい沼に多くの動物がやってくる。菜食の鹿などは、ここで水を飲んで塩分をとる。いっぽう肉食動物は塩分のある水は飲まないが、沼にくる菜食動物を捕まえるために来ている。塩分は獲物の内臓や肉からとれるから。

 塩分の量に関し若杉友子(食養家)は「塩味はきちんと感じるぐらい使ってよい」と書いている(『若杉友子の「一汁一菜」医者いらずの食生活』)。

 なお、私がすすめる塩は自然塩(海水塩、岩塩)で、精製塩(化学塩)ではない。自然塩は60種類ものミネラルが含まれているが、精製塩は塩化ナトリウム99%である。

(参考)塩と高血圧の関係について研究した元名古屋市立大学教授の青木久三(医師、1933~?)は、血圧と食塩摂取はほとんど関係がなく、減塩で血圧が下がるのは、ある種の腎臓病の人のみだとしている。



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2019年07月09日

3-5 水分はほどほどに

 10年ほど前のことだが、友人(60代男性)が「水分を取りすぎてひどい目にあった」といってきた。かなり体調をくずしたようだ。それ以降、私は縁のあった人には、食事以外の水分摂取は一日上限1.5ℓと伝えている。

「水分不足にならないように」とテレビから聞こえてくる。血液がサラサラになるように、熱中症にならならいように、といったことである。これくらいならよいのだが、「一日2ℓの水分を取れ」と健康雑誌の広告などから見えてくる。
 私は、これまで、一日に飲む水の量をほとんど意識したことはない。おおむね、お腹がすくから食べるように、のどがかわくから飲むだけだ。
 一日2ℓは、食事以外で取れということだ。適当なのだろうか。

 人の一日に必要な水分量は定説化している。体に入る水分は、水分の摂取で約1~1.5ℓ、食物中の水分から約0.8ℓ、体内で作られる水分約0.3ℓである(石原結實『「水分の摂りすぎ」は今すぐやめなさい』)。
 私はこれをみて、食事以外でとる水分はずいぶん多いと思ってきた。人間は体毛がないせいだろうか。それなのに、なお、一日2ℓを取れという人がいるのだ。

 水分を多めに取るとどうなるか。二人の見解を紹介しておこう。

・千坂諭紀夫(食養家)
「……必要以上の水を飲めば飲むほど、赤血球は薄くなっていくのです。……赤血球が減ると、ヘモグロビンの数値も下がり、酸素を運ぶ血液の力が弱くなってしまいます。医学的には、ヘモグロビンが低すぎると貧血と診断されます」(『「血液のチカラ」が病気を治す!』)

・石原結實(医師)
「血液を汚す原因のひとつに「冷え」がある……冷えを引き起こす最大の理由は「水分の摂りすぎ」である。現代人は体を動かして汗を流す機会も少ないのに、やたらと水分を摂る。……「たかがジュース」「たかがお茶」などと侮(あなど)らず、アルコールの飲み過ぎに注意するように、コーヒー、お茶、清涼飲料水も飲みすぎには注意したい」(『イシハラ式家庭の医学』)

(参考)甲田医師がすすめる水分量
 甲田光雄(1924~2008)は、やや独自の食事療法で多くの難病を治した医師である。ネット上に甲田が一日2ℓを勧めていたとあったので本を見た。たしかに1.5~2ℓを勧めていた。しかし、前提があった。それは「半日断食を行うと、食事からとる水分が少なくなるため、生水や柿の葉茶で水分を多くとる」ということだ(『奇跡が起こる半日断食』36~37頁)。半日断食とは朝食を抜く1日2食の玄米菜食で、間食や夜食はいっさい禁止である。食事からとれる水分が少ないから飲料水を多くするということで、一般の人に1.5~2ℓを勧めたわけではない。



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2019年07月08日

3-6 牛乳は骨を弱くする

 食養法では牛乳はほぼ禁止食品である(2-1)。私はここ16年間、牛乳・牛乳飲料を買ったことはない。ただ、会合などで出されたら飲む。

 なぜ、牛乳はいけないのか。いくつも指摘されているが、ここでは4つ取りあげる。

・骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になる
 骨粗鬆症は、骨からカルシュウムが溶けだし、骨が折れやすくなる病気である。
 ここ数年、私は牛乳に関し「骨粗鬆症になりやすい」を前面に出して説明している。「カルシュウムをとるために牛乳を飲んでいる」という人が多いのに、なぜなのか。
 これについては、まず、実態を先に知ったほうがよい。各種報告によると、北欧など牛乳消費の多い国は骨粗鬆症患者が多いという。フィンランド、スウェーデン、デンマーク、そしてアメリカなどである。日本はこれらの国にくらべて少ないが、それでも、牛乳普及の前後でみると、普及後はふえているという。

 牛乳はなぜ骨を弱くするのか。「牛乳でカルシュウムをとると、それが体内に定着せず、体内のカルシュウムと共に体外に出てしまう」と私は学んできた。新谷(しんや)弘美(医師)は「牛乳を飲むことで血中のカルシュウム濃度は高くなる……ところが、血液中のカルシュウム濃度は一定で……余分なカルシュウムは、体から排泄されなければならず……排出するときに、マグネシュウムや亜鉛や鉄などの他のミネラルも出ていってしまう」(『健康の結論』)としている。
(参考)カルシュウムは小魚や海草、未精白穀物、野菜に豊富に含まれている。

・乳ガンなどの原因になる
 近年、乳製品を多くとる人に乳ガンが多いのではと聞くことがある。新谷は「乳ガン、前立腺ガンなどになった人たちの食歴を聞くと、全員が牛乳、チーズ、ヨーグルトなどを毎日食べ、また牛肉も頻回(週に3~4回以上)食べている人たちでした」と書いている(『前掲書』)。新谷はアメリカと日本でガン治療をしている。
 私は、これを書きながら二人の知人女性を思いだした。二人は乳ガンになったが、二人とも乳製品の愛好者だった。
 牛乳がガンの原因と推定されることに関し、ある医師は「牛乳は脂肪量が多いので、それがもととなったのではないか」としている。

・下痢をする
 牛乳を飲む習慣のなかった日本人は、あかちゃんを除き牛乳を消化する酵素をもっていない。そのため、牛乳を飲むと下痢をする人がいる。

・アレルギー体質になる
 牛乳はアトピーや喘息などを誘発すると指摘されている。

 以上、4つにしぼって牛乳の問題点を書いてみた。

 おわりに、新谷弘美のアドバイスを紹介しておく。「大人で牛乳が好きな人なら、週に1~2回くらいは飲んでもかまわないでしょうが、嫌いな人が飲めば必ず何らかの病気になるということを肝に銘じておきましょう」(『前掲書』)



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2019年07月07日

3-7 白砂糖は恐い

 恐いのは白砂糖であって黒砂糖ではない。白砂糖は虫歯を作るので、だれもが良くないと知っている。でも、白砂糖はガンをも起こすと聞くと、「本当か」と思う人が多いのではないか。

 白砂糖について大浦孝秋(食養家、1894~1979)の1972年の解説を紹介しておこう。
「黒砂糖のうちは、その中にビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、少量を用いれば栄養となるものを、精製して純度を高くしていくと、もはや食品といえない”薬品”となってくる。それが身体に毒となって数々の副作用をもたらす。そして、人間の生命は加速度的に蝕(むしば)まれていくのである。虫歯・近視・ノイローゼ・胃弱・アレルギー体質などは砂糖の過食で身体からカルシュウムが奪い去られた結果であり、動脈硬化・高血圧・癌・糖尿病などが白砂糖の多食でおこることは医者も認めている」(甲田光雄『白砂糖の害は恐ろしい』所収)

 くり返すがダメなのは白砂糖である。砂糖には黒砂糖、きび砂糖、てんさい糖、三温糖、白砂糖がある。このうち、前の3つは未精白でカルシュウムや鉄分などを含んでいる。いっぽう、三温糖、白砂糖は不純物(ミネラルなど)をほぼ完全にとりさってある。

 大浦は、いまから45年以上前に、白砂糖の多食とガンの関係を指摘していた。いまでは、ガンの原因の第一は肉ではなく白砂糖とする食養家や医者が何人もいる。

 白砂糖は知らずのうちに体に入ってくる。清涼飲料水、料理、お菓子などから。とりあえず、コーヒーなどはブラック(白砂糖ぬき)で飲むようにし、料理に砂糖を入れない工夫をすべきだ。

 でも、白砂糖をいっさい取らないというのは現実的でない。
 白砂糖入りのものを食べたときは、他のものを食べて白砂糖のマイナスを消せばよい。これについて二人のアドバイスを紹介しておこう。

 千坂諭紀夫(食養家)は、著書のなかで「甘いものを……食べるときは陽性・アルカリ性を摂って中和すると、体に悪影響が残らなくなります」と言い、玄米、ダイコン、ニンジン、梅干し、みそ・しょう油、黒ゴマ、番茶、ウーロン茶などを勧めている。

 五十嵐敏明(漢方薬局、食養家)は「砂糖は使わないこと、どうしてもやめられない人は、きんちと食事をした後なら少量は良い。コーヒーなど、大量の砂糖混入物は一切やめて無糖に変える」と書いている(『病気は基から断たなきゃ』)。



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2019年07月04日

3-8 葉緑素は良い血液をつくる

 葉緑素は植物の葉に含まれる緑の色素で、緑黄色野菜と海草に含まれている。
 葉緑素をとると貧血が治ると伝統的にいわれてきた。また、葉緑素と血液の赤い色素の成分はにており、葉緑素が腸から吸収され、よい血液をつくると考えられてきた。森下敬一(医師)は「臨床的にみても、貧血症患者に葉緑素を与えるとめざましい効果のあることが確認できる」と書いている(『自然医食療法』)。

 私は食養法の勉強をはじめたとき、多くの指導者の本を読んだ。そして、玄米、菜食、少食、葉緑素の4項目を頭にのこした。このうち、葉緑素は森下の影響が大きい。森下は葉緑素の効用を高く評価している。

 葉緑素を意識すると食事がどうかわるのか。それは、副食をとるとき海草と緑黄色野菜を多少意識的にとることになる。私はそのようにしてきた。もちろん淡色野菜 (緑黄色野菜以外の野菜)も食べるが。
 葉緑素が含まれるのは緑黄色野菜と全ての海草のみである。色のうすい野菜(淡色野菜)には含まれない。緑黄色野菜には、ニンジン、カボチャ、小松菜、ほうれん草、大根葉、春菊、ピーマン、パセリ、ブロッコリー、ニラ、アシタバ、などがある。

 いま、貧血気味の人が多い。貧血の症状は、けんたい感、頭痛、肩こり、イライラ、動悸、夏ばて、冷え症などである。このような症状のある人は、未精白穀物を取り入れるとともに、葉緑素を意識してとるとよい。

 葉緑素を高く評価する五十嵐敏明(漢方家、食養家)の一文を紹介しておこう。
「ご飯を主に味噌汁は必ず飲み、大豆やゴマ、そして緑黄色野菜、海草をたくさん食べる。日本茶、梅干しはもちろん常用する」「緑黄色野菜をとれない人や苦手な人は、クロレラやスピルリナを利用すると良い」(『病気は基から断たなきゃ』)
 クロレラとスピルリナは葉緑素の豊富な藻で、健康食品に使われている。

(参考)スピルリナによる放射線防御の有用性
 スピルリナは水前寺のりやふのりと同じ藻類である。熱帯の湖に自然に生え、古来から食用とされてきた。スピルリナには栄養素が豊富だが葉緑素もそのひとつである。
 スピルリナの放射線防御作用が報告されている。「ベラルーシの放射線医学研究所が、(1986年のチェルノブイリ原発事故での)被害の大きかった地区の子ども100 人にスピルリナを1日5g20日間飲ませたところ、尿中の放射能レベルが50%まで低下」した(『アエラ』2011.6.13)。福島原発事故後、ヨーロッパの人からスピルリナの摂取が日本に勧められた。



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2019年07月03日

3-9 酵素に注目を

 酵素は「生体の営む化学反応の触媒となるタンパク質」である。営む化学反応とは消化や吸収といったことである。これが体内で行われるとき酵素が必要となる。人体には3千種の酵素があり、一つの酵素は一つだけの反応で触媒の役割をはたす。

 食養法では「酵素」を解説している指導者はあまりいない。ただ、私は当初から酵素を少し意識していた。1976年に勉強をはじめたとき、鈴木弘一(医師)の『自然食と玄米酵素』という本に出会ったからだ。ここには玄米菜食と米ぬか発酵食品の解説がのっていた。
 つぎは2003年である。この年に私は集中的に勉強したが、鶴見隆史(医師)が酵素の大切さを強調していた。

 酵素がなければ消化も吸収もできない。体内で作られるものもあるが、体外から即ち食べ物から酵素をとることも大切だ。
 酵素は物質としてはタンパク質で、熱に弱く70度位でほとんど壊(こわ)れてしまう。そのため、生のもの(生の野菜や生の肉など)だけからしかとれない。ただ、いったん加熱したものでも発酵させれば酵素が生まれる。味噌、しょう油、漬け物、梅干し、納豆、かつお節など、日本には発酵食品がたくさんある。
 
 酵素は健康食品からもとれる。酵素の豊富な健康食品は、特定の1~2種類の穀物や果物を発酵させたもので、形は粉末や顆粒である。ここには、デンプンを分解するアミラーゼやタンパク質を分解するプロテアーゼも入っている(すべての製品にかどうかは不明)。
 
 私はこの種の酵素食品を40年ほど食べてきた。ただ、当初の25年間は、玄米食のできない旅行中や美食のときだけだった。そのため効果はあまり実感できなかった。ここ16年ほどは酵素食品の普及販売をしている。そのため、毎日食べ、私と客の状況を観察している。結論をいうと、玄米食をしている人でさえ、常時とると、一段、体調が向上する。なお、先の製品といま食べているものはほぼ同等のようだ。ただ、この種の製品すべてが同じレベルかどうかは私には分からない。

 私がみたところ、食生活改善で病気治しをしている有力な食養家や医者の多くは、酵素健康食品を取り入れている。

(参考)○○酵素といった名前の健康食品が数多く売られている。このうち液体のものは、発酵の過程でビタミン・ミネラルが豊富となっており体内の活性を高めるもののようだ。ただ、液体の酵素には酵素自体はあまり含まれておらず、デンプンを分解するアミラーゼもないという。酵素が豊富な粉末・顆粒のものとは別な目的の製品である。



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2019年07月02日

3-10 「タンパク質を取れ」に警戒を

 細野雅裕(食養家)の本に「『蛋白質を摂れ』は悪魔のささやき」とある(『血糖値がどんどん下がる』1996)。細野のオリジナルかと思ったら、その12年も前に牛尾盛保(医師)が「悪魔の声「たんぱく質が足りないよ」」と書き、「アメリカの栄養学者に呼応して、日本人で、専門家と称する学者達も「タンパク質の不足」を口にするようになりました」と付け加えていた(『食原病』1984)。

 テレビをみていると、高齢者にむけて「粗食ではいけない、肉(タンパク質)を しっかり食べて」といった声が聞こえてくる。10年ほど前には女優の森光子(1920~2012)が「毎日肉を食べていて元気」といったコメントとともに、森のでんぐり返しの映像がテレビに出ていた。
 外食が多い友人は、普通に外食していると動物性食品の取りすぎになるという。また、いまの日本では、気をゆるすとタンパク質の取りすぎになる、と指摘する人もいる。それなのに肉を取れ取れという。

 人間は肉をたくさん食べる必要があるのか。動物性食品は食事全体の1割前後ではダメなのか(2-5)。肉からしか筋肉や骨ができないのか。
 これに関し、よく牛や馬が例にあげられる。彼らの食事は草が中心なのに、あれほど大きな体になっている。タンパク質が少ない食事でも筋肉も骨もできるのだ。人間も穀物や野菜中心の食事で筋肉も骨もつけてきた。

 肉を取りすぎるとどうなるのか。腸内で腐敗し血液をよごす(2-5)。そして、心臓病、肝臓病、腎臓病、糖尿病、アレルギー、さらにガンまで引き起こす。
 最近、肉の取りすぎは骨を弱くするとの指摘がある。
 山田豊文(スポーツ栄養学)は次のように書いている。
「多量のタンパク質を摂取すると、その代謝産物として尿酸、また硫酸などの酸性物質が作り出され、血液が酸性に傾きます。体はそれを中和するために、骨や歯からカルシュウムを溶かして血液中に送り込み、酸/アルカリのバランスの調整をします。いわゆる「脱灰」という現象です」(『細胞から元気になる食事』)。

 ネットをみたら何人かが同様の指摘をしていた。

(参考)
 森下敬一(医師)は「『消化』についてのひとつの試案」で次のように書いている。
「まだ医学生であったわたしは「草食動物は、その消化管で、草の炭水化物を固有の蛋白質につくり変えている。草に含まれる植物性の粗蛋白から、ウシの体蛋白ができるにしては、その量が少なすぎるし、おかしい」と考えた。……草食動物の消化器においては、草に含まれる炭水化物が、消化液(酵素)やバクテリアなどの作用を受け、「前蛋白質」となって、腸粘膜の組織に吸収される」(『肉食亡国論』)



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2019年07月01日

3-11 健康食品は不要か

「正しい食生活をしていれば健康食品は必要ない」「玄米菜食をしていれば健康食品は必要ない」と聞くことがある。それも、指導的立場にある人たちから。ここでは、これについての私の見方を示しておこう。
 たしかに玄米や未精白穀物を取り入れた菜食系の食事にし、食事すべてをひと口50回くらい噛めば健康食品は必要ないかもしれない。十分な健康が得られるから。
 
 しかし、重病人などに、1対1でアドバイスすることもある私には、「正しい食生活をしていれば健康食品は必要ない」などと言うことは、とうていできない。
 なぜか。健康食品を使えば、より高い確率で、より高いレベルで健康になってもらえると心の底(そこ)から思っているから。逆にいうと食事を変えただけでは成果が出るのが遅かったり、成果が出にくい(亡くなってしまう)こともあるからだ。

 ここでは、ガン患者の相談にのっている岡本裕(医師)の見方を紹介しておこう。私は岡本の見解とほぼ同じである。岡本は大病院で外科手術をしていたが、退職しガン患者の相談医をしている。
「十二分に栄養豊富な食材を摂取していれば、ことさらサプリメントをとる必要もないというのが理想なのでしょうが、がんの場合には、食事ですべてを補うことは、不可能です。したがって、がんを治すためには、食事のほかに天然サプリメントもとったほうが望ましいと私たちは考えています」
「本音をいいますと、健康な人を含めすべての現代人にとっても有用だと私たちは考えているくらいです。最近の多くの天然サプリは安全性も高く、コストパフォーマンスもよく、むしろ活用しない手はないと思います」(『9割の医師は、がんを誤解している!』)

 ここではガンが事例だが、私は他の重めの病についても同じだと思う。岡本は「食事ですべてを補うことは、不可能です」と言っているが、健康食品を使わずにガンを治した人もいる。しかし、数はきわめて少ないということだろう。

 また、「すべての現代人にとっても有用だ」としているが、私が「はじめに」で書いたように、現代日本人のほとんどは、どこかに不調がある半病人である。だれもが、当然、食生活に留意しているが、もう一歩なのだ。

 あと2つ付け加えておく。
 ひとつは「正しい食生活をしていれば」という人は、食事の内容を自分で決められない人が多いという事実を、実感してないのではないか。外食せざるをえない人が典型だが、「玄米は主人がいやがります」といって玄米食に取り組めない人もいる。
 つぎ、「健康食品は必要ない」という人は、効能面でトップクラスの健康食品の威力を知らないのだと思う(3-9)。知っていたなら必要ないという言葉は出ないだろう。

目 次



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2019年06月28日

4-1 よく噛むだけで健康になる

「よく噛むと体によい」は常識といってもよい。食養法(玄米菜食健康法)でも勧めている。私は、今回、よく噛むことを勉強しなおしたが、内容が2つあることに気がついた。ひとつは健康法として、もうひとつは治療法として。

 噛むことが体によい理由は沢山あるが、ここでは3つだけ取りあげる。
・よく噛むと唾液のなかに炭水化物の消化酵素(アミラーゼ)が出て、食物はよく消化され胃から腸にゆく。アミラーゼは胃では出ない。そのためよく噛まないと胃で炭水化物を消化できず未消化部分をのこしたまま腸にゆき、これが腐敗し血液をよごす。
・よく噛むことで満腹感がえられ少食になる。よく噛むとあごのうごきで脳が刺激され満腹感を感じ食欲をおさえる、などと説明されている。
・よく噛むと脂肪の多いものや肉が欲しくなくなる。よく噛んだ人の実感だが、よく噛むと食材の本来の味を感じるためではないかといわれている。

 つぎは、噛むことの実際や効用である。
 まず、健康法として。この場合、「よく噛むと口の中に唾液が出て消化が良くなる」といったことで勧められている。そして、「食事はゆっくりと」「固めのものも食べよう」などと付け加えられる。私は玄米食をはじめたとき、同時に、よくよく噛むことも実行した。そのため玄米食の効果は早く大きかった。その後、友人と昼食をとると、食べおわるのは私が一番最後のことが多かった。玄米を食べていたので、これで噛む習慣がつき、白米ごはんもよく噛んでいたのだ。

 つぎは、治療法として。一部の指導者は、病人にてってい的に噛むことを勧めている。森下敬一(医師)はガン患者に「玄米は 100回噛め!」といい、岡田一好(医師)は難病人に「一口50回噛む」ことを勧めている。噛む回数は普通は一口15~30回だという。

 ここでは神戸の開業医だった岡田一好の指導法を紹介しておく。
 岡田は玄米菜食とよく噛むことをセットで指導していたが、患者によっては食事を指導せず、噛むことだけを優先させた。かれは著書『血液健康法』のなかで、自身の指導で重病を克服した19例を紹介している。つぎは、その一つである。
 30代後半の女性Tは、重い糖尿病で眼底出血になり手術を勧められていた。岡田はTに「向こう八カ月の間に全快させてあげます」といったが、その指導内容は「三度三度の食事を一口50回必ず噛んでください」というだけで、食事の分量やカロ リーについては一切言わなかった。Tは一口50回噛むことを忠実に実施したところ、4週間目で目がよくなり、3か月で体重4キロ減、4ヵ月目で、岡田が「こんなに順調にいく人も少ない」と思うくらいに回復した。

 私の事例も加えておく。私は4年前ほどまえに、あるきっかけでてってい的に噛みはじめた。当時、体重は私の希望より3キロ多く、皮膚炎もあった。ところが、食事は変えずにてっていして噛みはじめたところ、3ヵ月で3キロ減、皮膚炎もおさまった。私は絶大な効果におどろいた。この経験もあったため、この一節を設けた。



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4-2 好転反応を理解しよう

 玄米(又は未精白穀物)を取り入れた食事にすると健康が得られやすい。しかし、人によっては食事を切りかえるときに大きな壁にあたる。それは好転反応である。ある60代の男性に玄米関連食品をすすめたところ、「市販の玄米がゆを一袋食べただけで下痢をする」といい、強い拒否反応を示した。下痢がかれの好転反応である。

 好転反応について、以前に私が書いたものを引用する。
「玄米ごはんや健康食品などの食べはじめに、一時的に不快な症状が出ることがある。これを好転反応という。なぜ、好転かというと、この症状と並行して、あるいは症状が消えたのちに体調がよくなってゆくことが多いためである。

 好転反応として出る症状は、じつに多様である。そのなかで比較的多いのは、かゆい、しっしんが出る、だるい、眠い、下痢・軟便、ガスが出る、便秘、大量の排便が出る、頭痛、などである。

 好転反応は漢方薬でも出る。また、徹底して噛んだ時、断食、整体、理学療法、温泉療法でも出る。
 好転反応は体質改善反応、調整反応、還元反応などともいわれる。また、漢方では瞑眩(めんげん)といっている。

 好転反応を正しく理解することはとても大切である。健康食品を食べて不快な症状が出たとき、「これは自分に合わないものだ」と思って止めてしまう人がいるが、これでは体調を良くするチャンスをミスミス失ってしまう。私に言わせれば、ほとんどの場合、その健康食品はだれにでも合うもので、それが合わないのは、その人自身の平均人からずれた体質のせいである。ここでは健康食品を玄米ごはんと置きかえても同じである」

「好転反応の理解は大切である。しかし、近年、出版物に、好転反応の解説とか、好転反応を克服した人の体験談が減っている。主因は法改正のためだと思う。健康食品などによって不快な症状が出た場合、販売業者が「それは好転反応です」と説明することが、10数年前に法によって規制された。理由は、もし不快な症状が好転反応でなく病状であるなら、医師の治療の機会を失なわせることになり、それを防ぐためだという。

 このことの当否はともかく、好転反応の理解は必須である。だから、健康に問題を抱えている人は、より努力して勉強しなければならない。幸い、現代はネットから豊富な情報が得られ、本や雑誌からの情報不足を補うことができる。いろいろ工夫して勉強していただければと思う次第である」

 好転反応が強く出ると、だれもがとまどうので、反応を低くおさえることが大切だ。そのためには、玄米食へ切りかえるときは、一日2~3食からではなく、一日1食、それも1食はちゃわん半分から始めるくらいでよい。健康食品なら発売元が勧める量の数分の1位からがよい。



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2019年06月27日

4-3 玄米菜食の落とし穴

 私は16年ほど前に食養法を集中的に勉強した。そのころ、食養法の一部の指導者たちが早死にしていることを知った。業界で話題にもなっていたようだ。早死にとは70歳前後である。また、玄米菜食なのに亡くなった30代の女性の話も聞いていた。玄米菜食も肝心なところをまちがえると大変なのである。

 ここでは玄米菜食の落とし穴として2つのことを取りあげる。
 ひとつは「動物性食品はいっさいとらない」という落とし穴である。
 動物性食品をいっさいとらないとどうなるか。若杉友子(食養家)は「肉はダメ、甘いものダメというけれど、菜食主義の人(マクロビアン)は、動物性のものは一切食べずに野菜類を食べているのに体が冷えて、一般の人と同じく貧血、冷え症、低体温の人が多い」と書いている(『体温を上げる料理教室』)。若杉は料理教室をひらき、そこに来る生徒の食生活と健康を観察してきた。なお、若杉と同じようなことは幕内秀夫(栄養士、食養家)の本にもでてくるし、ほかに指摘している人もいる。

 マクロビアンとは食養法の一派である。今回、マクロビをかかげる食養推進団体2社の食事法を見てみた。2社とも標準食に動物性食品はなく、ある社は、動物性食品は控え目に、どうしても食べたいときは、たまに少量を、と付け加えていた。

 私自身は「動物性食品はいっさい食べない」という人に出会ったことはない。ただ70代半ばで亡くなった男性に、もしかして動物性食品をとっていなかったのではと思うことがある。これは、70歳すぎに亡くなった食養法指導者についても同じである。

 2-5でみたが食養法では動物性食品は食事全体の1割前後とする指導者が多い。人間に近い類人猿のすべては多少動物性のものを食べている。また、人間には犬歯がある。動物性食品を一切食べないのは不自然である。

 つぎは「やせすぎ」という落とし穴である。
 私は、これまで食養法を取り入れている人にたくさんあっている。そのなかでやせすぎと感じた人はいなかった。ただ、食養法指導者の写真を本でみると、明らかなやせすぎという人がいる。そして、この人たちのなかには70歳前後で亡くなった人がいる。また、80すぎまで生きたが、指導者としてはもう少し長生きしてほしかった人もいる。この人たちの死因を私がやせすぎと断定できないが、そう思いたくなるほどやせていた。

 最近、コレステロールは少し高めの方が長生きするとか、やせすぎより多少太っていたほうが長生きするといったような統計結果が公表されている。それはともかく、やせすぎ、そして、その裏にある超少食はよくないのでないか。

(参考)
1.ガンなどの難病の人に一時的に動物性食品ゼロと指示する指導者がいる。ただ、これはあくまでも一時的である。
2.落とし穴に落ちないためには、数人の指導者から学ぶことが大切である。これは、最近、私の友人が語ったことでもある。

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2019年06月26日

4-4 玄米も薬には勝てない

 現代の日本人は食生活を正さないと健康になれない。ただ、もう一つの課題がある。それは、薬(化学薬剤)の使用を最小限にすることだ。
 この節で言いたいことは、どんなに良い食生活をしていても、薬には勝てませんよ、つまり、健康になれませんよ、ということだ。それは、薬の副作用のためである。

 薬(化学薬剤)とは何なのか。それは、化学的に合成された単一成分の物質である。薬は自然界にないもので、人間にとっては異物で、うまく処理できない。そのため副作用がでたり免疫力が下がったりする。
 薬は一時的に血圧を下げたりガンの腫瘍を小さくする。しかし、高血圧やガンという病気を治すことはない。あくまで対症療法(一時的・応急的措置)である。

 私は玄米菜食に切りかえたとき、薬のことも勉強した。そのため、皆無に近いほど薬を飲んでこなかったので、薬の害にあったことはなく知識も十分でなかった。ただ、ここ数年は害を学び縁のあった人に伝えている。
 これにはきっかけがあった。東日本大震災(2011)の前年の2つの事例である。
 ひとつは60代の男性で、ある日突然脳梗塞になり言語障害がのこった。家族によると何種類もの薬を飲んでおり、それが原因とのことだった。
 つぎは高齢の女性である。彼女はひとつの薬だけだったが、その副作用で重い後遺症がのこった。親族の話である。
 この二人は玄米を取り入れ、それなりの食生活をしていて元気だった。でも薬には勝てなかった。なお、二人の病気を副作用だと判定したのは医者のようだ。

 この後、私が周辺の人を観察していると、良い食生活をしているのに70代で重い病気になったり亡くなった人たちが、薬の常用者であることに気がついた。
 ここ2~3年、私は、縁のあった方に安保徹(医師)と石原結實(医師)の薬の見方を紹介している(『病気が逃げ出す生き方』)。ごく一部を紹介しておこう。
 安保 徹
「薬は一生懸命に飲んでいても病気が治ることはありません。あまりに症状がひどい場合は1~2週間飲み続けることはありえますが、半年も一年も対症療法の薬を飲むというのは、明らかにおかしいことです」
 石原結實
「必要な時にパッと使ってパッとやめる。これが薬の本当の使い方だと思いますね。薬という異物を最終的に解毒しなければならない肝臓や腎臓がやられてしまいますからね」

 近年、週刊誌を中心に薬の記事が多いが、薬の弊害が多いことの反映といえよう。

(参考)
 後藤邦汎(くにひろ、食養家)は、彼のクリニックにきたガン患者の食生活歴を観察し集計結果を公表した。それによると、ガンの要因は、薬害が一位、以下、手術、甘党、肉・牛乳である(『もうガンはコワクない』)。なお、後藤は、薬害をガンの主因とみることは、後藤が言い始めたことはではなく、他に同じ見解の人がいると書いている。



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2019年06月25日

4-5 食品添加物や農薬など

1.食品添加物
 食品添加物の多くは化学的に合成された単一成分の物質であり、薬(化学薬剤)と同じ性質をもつ。化学的に合成された食品添加物(以下、食品添加物と書く)は、人間にとっては異物であり、体に悪影響をおよぼす。
 食品添加物は調味料、甘味料、保存料、酸化防止剤、ph調整剤、着色料などで、たくさん使われている。これは、加工食品の箱の裏の原材料名をみてもわかる。

 これまで私は、食生活のセミナーで「日本は諸外国にくらべ多くの食品添加物が許可されている」と聞いてきた。
 日本でもっもと多く使われている添加物は調味料で、そのうち85%はグルタミン酸ナトリウム(「味の素」など、以下は略称のMSGとも書く)である。そこで、ここではMSGだけみておく。
 グルタミン酸は昆布などに含まれているが、それとは別物のグルタミン酸ナトリウム(MSG)はサトウキビから化学的処理でつくられており、純粋な化学物質である。
 MSGを料理に入れると特有の味がする。問題は人体への影響である。これに関して中華料理症候群という言葉がある。「アメリカのボストンの中華料理店で食事の10~20分後に首筋から腕にかけてのしびれや灼熱(しゃくねつ)感、全身の圧迫感やだるさを訴える人が続出した」といったことで、中華料理にMSGが多めに使われていたのが原因とされている。そうしたこともあって、アメリカではMSGには使用制限があり、ベビーフードには禁止されている。日本には使用量の規制はない。(以上、㈱皇帝塩本舗のホームページを参考とした)
 MSG(グルタミン酸ナトリウム)は、「調味料(アミノ酸)」「調味料(アミノ酸等)」などと表示されている。今回、私が、ある大手スーパーで調べたところ、一つを除くすべてのインスタントラーメン(袋麺)に入っていた。一つは別の化学調味料だった。なお、自然食品店で買ったものには入っていない。

2.食の安全と自然医食
 食の安全とは食品添加物や残留農薬をさけるといったことで、自然医食とは健康維持・回復のための食事である。これについて、私が以前に書いた「無添加・無農薬より、まず未精白穀物を」を引用しておく。
「Aさんは、無農薬・有機肥料の白米と牧草で育った牛の肉を常食としています。Bさんは化学肥料と農薬で作られた玄米・野菜を常食としています。どちらが健康でしょうか。
 他の条件が同じなら、明らかにBさんの方が健康でしょう。食べ物の選択に熱心でありながら、そのエネルギーが無添加・無農薬に片寄りすぎている人がいます。この人たちは、努力の割りには良い結果は得られません。無農薬・無化学肥料であっても、白米は白米です。また、牧草を食べている家畜の肉も肉です。いっぽう、化学肥料で育った玄米でも、その胚芽・表皮には、ビタミン、ミネラル、食物繊維は豊富です」
 日々の生活のなかで、食の安全にどう対応するかの参考となればと思い掲載した。



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2019年06月21日

4-6 食べる物は沢山ある

 ある日、私は食養法(玄米菜食健康法)のセミナーに参加した。講師は冒頭で「食品添加物の入っているものには注意してください」などと言った。私は、これでは参加者に「食べる物がなくなる」と感じる人がでると思った。とくにはじめての参加者に。なお、私はこの種のセミナーに40回以上参加しているが、食品添加物から入ったのはこの日だけである。

 食養法の話を聞いた人のなかに「これでは食べる物がなくなってしまう」という人がいるようだ。私も、たまに耳にする。
 たしかに食養法には、白米はダメ、肉・卵・牛乳はダメ、白砂糖はダメ、食品添加物はダメで、ダメダメの連続といったところもある。そのため食べる物がなくなると思う人がいても不思議ではない。

 私は、いまから40年ほど前に玄米菜食に切りかえたが、この直後の印象では「食べる物がなくなる」どころが、食べる物がありすぎて選ぶのに困るくらいの感じがしていた。
 では、どうして「食べる物がなくなる」と思ってしまうのか。それは、食べてはダメなものと、しっかり食べるべきものを、同時に学ばないからだと思う。同時に学べば、食養法がすすめる食材の豊かさを感じることができると思う。

 これに関して、森下敬一(医師)はつぎのようにいっている。
「実をいうと、何が悪い食べ物かということを知るよりも、体にとって必須不可欠な食べ物が何であるかを知ることのほうが、ずっと重要なのである。必要な食品を必要なだけしっかりとっていれば、不必要・有害な食品が入り込む余地がなくなるからだ」(『慢性病は食べ物で治る』)

 では、「体にとって必須不可欠な食べ物」は何か。
 それは、2-1でみたように、玄米又は未精白穀物、みそ汁、野菜・海草、そして少しの肉・魚などである。

 森下敬一の「とるべき食品」も紹介しておこう(『前掲書』)。
  未精白穀物  玄米、麦、キビ、アワ、ヒエ、トウモロコシ、ソバ
  根菜類  ごぼう、にんじん、れんこん、大根、山いも
  葉菜類  にら、春菊、玉ねぎ、もやし、しいたけ
  種実類  ナッツ類(松の実、くるみ、ぎんなん、かぼちゃのタネ)、ごま
  発酵食品  味噌、納豆
  海藻類  昆布・わかめ・ひじき
  小魚貝類  シジミ、アワビ、ナマコ、ウニ、イワシ、カキ、イカ、エビ
  調味料  しょうゆ、自然塩、自然酒、黒砂糖
  健康補強食品  胚芽、葉緑素、酵素、高麗人参、ローヤルゼリー、花粉
  和漢茶  ヨモギ、オオバコ、クコ、ハトムギ、ゲンノショウコ
 これをみると、けっして日々の食材の選択に困ることはないと思う。

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2019年06月20日

4-7 食生活に迷ったら

 主食を玄米又は未精白穀物とする食養法を学び、実行していても、食生活に迷いがでることがある。それは、よさそうな情報がマスコミなどを通して伝わってくるためだ。最近では、2008年頃から糖質制限食の本が売れだし、あっという間に広がった。これは、糖質の多いもの(穀物、いも、かぼちゃなど)は、一日にご飯茶碗1杯程度にし、あとは肉、魚、大豆、野菜中心の食事にしようというものだ。長いあいだ玄米菜食だったのに糖質制限食に変え、あっという間に病気になった人もいる。糖質制限食は推進者の一人が62歳で死去したことがきっかけで、10年たたずにいっきょに衰退しつつある。

 食生活に迷いがでたときは、大局的な観点にたつことが大切だ。ここでは2つの見方を紹介しよう。

 まず、第一は「人間は何を食べる動物か」と考えてみることである。
 これについては人間に近い動物の食事を調べるとよい。一番近い動物は類人猿といわれる大型さるで、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンの3種である。かれらは、主として果実、木の芽、葉の芽、木の葉などを食べ、基本的に植物食である。3種とも動物性のものを食べるが少しだけだ。
 迷ったときは、人間に近い動物は何を食べているかと考えてみるとよい。かれらと体質的に似た人間も基本的には植物食である。

 つぎは「日本人は何を食べてきたか」と考えてみることである。
 人間は、長年、アフリカだけでくらしていたが、数万年かけて世界中に広がった。そのため、地域の気候によって食性がちがっている。高温多湿の地に住む日本人は、穀物を主食とした菜食系の食事に魚介類をプラスしてきた。和食である。そして、日本人はそのような食事に対応する体になっている。いっぽう、同じ人間でありながら、北極海沿岸でくらすイヌイットはアザラシ・トナカイなどから食料を得ているが、これは超寒冷地の食事である。日本人が適応できるものではない。
 迷ったら、日本人は何を食べてきたかと思いめぐらすとよい。

 「食生活に迷ったら」について、もうひとつの視点を付け加えておく。
 私は、食生活で大切なことを一つだけあげるなら、それは「未精白穀物を食べること」だと思っている。これは、多くの食養法指導者の見解といってもよいだろう。それは、未精白穀物を食べると、ほとんどの栄養素が取れるためだが、さらに、肉などの味の濃いものや、甘いものもを欲しくなくなるためでもある。私は、食生活に関しては「未精白穀物、未精白穀物」と、毎日、心のなかで唱えながら生活するくらいがよいと思っている。



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2019年06月19日

4-8 現代医学は診断学

 ここまで慢性病の予防・治療のための食生活を書いてきた。それを行えば健康面で安泰な生活を送れる。しかし、医者の世話になることは必ずある。そのため現代医学(病院の医学)の特徴を知っておくことは大切だ。

 現代医学の特質を知るために、2つの事例を紹介しよう。

・私がここ10数年、週に一度ほど通る道に「乳がん検診」と書いた大きな看板がある。私は通るたびに、なぜ検診であって治療でないのかと思ってきた。このクリニックは乳ガンと診断したら、治療はしないのか。
(コメント)慢性病については、現代医学の得意分野は診断であり、いっぽう、治療法はあまりもっていないことを示した事例である。このクリニックは、乳ガンと診断したら、治療は他の大病院を紹介するのか、患者自身にまかせるのか。

・リウマチの女性(50代)は2度も倒れたほどの重症だったが、食改善などで克服した。その後、クリニックにゆき、医者に「リウマチはどうし起きるのですか」と聞いたところ、医者は無言をつらぬき返事をしなかったという。
(コメント)現代医学は外面にでた症状をみて薬を処方する。そのため、症状の原因がなんであるかに関心がない。だから、医者は質問されても答えられなかったのだ。

 現代医学(内科系)の得意分野は診断であり、治療法としての薬(化学薬剤)は一時的・応急的措置(対症療法)にすぎないことは、すべての医者は知っている。また、東洋医学系の人も含めた多くの医療関係者も知っている。しかし、この事実を公言する医者は少ない。でも、いないわけではない。3つ紹介しておこう。
・一患者の言葉から
「私は、病院を全面的に否定する者ではありませんが、若年より、肺結核、腸結核などで北大病院にお世話になったとき、教授の言葉が、「病院は、病気を発見するところで治すところでない!」ということでしたので、以後、このような認識をもっています」(鈴木弘一『自然食と玄米酵素』1975所収)
・小田慶一(医師)
「世の中にはさまざまな病気があるが、いろいろ検査をして、正確な病名がわかったなら適切な治療が受けられるというのは、根本的な間違い(幻想)であることを理解していただきたい」(『はぐれ医者の万病講座Ⅰ』1990)
・柴田二郎(医師)
「診断して病名が分かったところで、どうしようもない。医者にできるのはじっと経過を見守り、対症療法を施すことくらいである。医療はもはや病気に対して無力なのである」(『医療の常識を斬る』1997)
 肩書、権威にまどわされず、医者のいう言葉を冷静に聞けば、現代医療の特徴がつかめることもあるのではないか。医者に過大な期待をするのは禁物である。



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2019年06月18日

4-9 治る人治らない人

 人さまの健康支援をしていると「玄米菜食にすると治る」と言うだけではすまないと痛切に感じる。同じことを伝えても、治る人と治らない人がいるからだ。

 私が直面した事例を紹介しておこう。
 ひとつは16年ほど前のことである。ある日、私が大型書店の家庭医学コーナーで本を見ていると、一人の女性(20代後半?)がきた。彼女は体格が良すぎて(陽性体質?)、明日入院してもおかしくないようにも見えた。本が沢山ありすぎるので探せないと思い「何を探してますか」と聞いたら「尿から糖が出ている」という。5分ほどの会話ののち森下敬一(医師)の文庫本を教えたところ買って帰った。私の資料も見たほうが良いといったところ、住所を教えてくれたので、後日、資料20枚ほどを投函しておいた。彼女はこれだけがきっかけで、あっさり糖尿病を克服した。結果は数度のハガキで教えてくれた。見知らぬ人とのたった5分ほどの会話で重病を克服したのだ。
 いっぽう、長年の知り合いであるため、セミナーにさそったり、資料を渡したり、ついには必死で支援したのに成果がでなかった人もいる。

 こういったことは食養法の指導者ならだれもが経験している。食養家の後藤邦汎(くにひろ)は「私どもに相談に見えた方の中で、全身末期ガンでも奇跡的に完治した人もいれば、ごく簡単な肩こりで相談に見えていながら、あっけなく亡くなってしまった方もいる」と書いている(『「ガン」あなた、あきらめないで』)。

 どうして、治る人と治らない人がいるのか。
 私はここ16年間に支援した多くの人のことを思い出してみた。気づいたことは幾つもあるが、2つだけ書いておこう。
 まず、第一は、食生活を変えると病気が良くなることを、感覚的につかめるかどうかである。
 慢性病の原因はまちがった食事にある。それなのに、医者はそうは言っていない、薬(化学薬剤)でも治るはずだ、などと、食生活に目を向けられない人がいる。
 つぎは、病気治しに意気込みがあるかどうかである。いまの日本は薬で病気を治すことが主流である。こんななか、食事改善で病気を治そうとすると、医者や、時によっては家族とあつれきがおきる。また、指導者もテキストも自分で探さなければならない。これをやり抜くには自立性が必要となる。

 感覚とか自立性は、他人がかんたんには変えられない。そのため、いかに有能な指導者でも、それほど多くの人の病気は治せない。

 精神面の指導がきびしかった牧内泰道(断食・食養指導者)の言葉を紹介しておこう。
 牧内は、断食道場に来て「治して下さい」という依頼心の強い人たちには「毎日みなに「指導者になれば治るぞ!」と演説する」(『断食パワー「超」健康法』)。
 一般には「自分の病気を治したいなら、自分と同じ病人を探して、その病人を治してやるのである。他人様の病気を治すには、まず研究しなければならなくなる。研究したことを自分で試さなければならない」と(『森下自然医学』1990.2)。
 牧内は「自分の病気治しに真剣に取り組め」と言いたかったのだと思う。
         
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