どうながの映画読書ブログ

~自由気ままに好きなものを語る~

「ザンガディクス 鮮血の悪夢」…7人のマルコメくん殺人鬼と巨大な胎児

(この記事投稿後2~3か月ほど更新お休みします)

92年オランダ・アメリカ合作のルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ監督作。

中古VHSの叩き売りで発見、「アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭大賞受賞」の文字を見つけてお持ち帰りした1本。

思ったより話はまとまっていてイタリアのホラーとちょっと雰囲気が似ていたりで、なんかオモロかった作品でした。

 

冒頭…とある病院で医者が人工子宮による7つ子出産を成功させます。

その帰り道、突然謎めいた儀式を行う医者。

「もう解放してくれ」と彼が叫ぶと、突然水晶体に入った巨大な胎児が現れ、医者の身体はたちまち燃え尽きて死亡してしまいます。

その21年後…母親と2人で暮らす少女・エマリーは7人の少年たちに襲われる奇妙な夢を見ます。少年たちは壁に血文字で謎のシンボルを描いていました。

精神科医は「13歳になっても初潮がまだ来ていないことの不安の表れだろう」と分析します。

一方民俗学者のケラー博士が勤める大学では奇妙な史料が発見されました。

それはアマゾン奥地に住むマクシチュ族の伝承に関するもので、水晶に入った巨大な胎児の姿をした悪の化身《ザンガディクス》の子供を宿した女性は世界を滅ぼす悪魔を産む…というものでした。

母親とキャンプに出掛けたエマリーが誕生日の朝に初潮を迎えると7人の謎の男が突然現れ、エマリーを襲います。

エマリーはザンガディクスの子を産む器として選ばれた女性だったのでした…

 

シュワちゃんの「エンド・オブ・デイズ」と「マニトウ」を足したような??ストーリー。

少女エマリーのパートと探偵役の博士のパートがテンポ良く交互に進んで行きますが、物語の要である7つ子が全く怖くない(笑)。

↑夢に出てくる7つ子の少年、マルコメくんみたいでかわいいやん w w

大人になっても坊主頭、白塗りの特殊メイクが施されるも顔はほとんど映りません。

インパクトのある同じ顔が7つ襲ってくるとか、胎児姿のザンガディクス本体が美少女に襲いかかって来る方がよっぽど迫力がありそうですが…

 

精神病棟に収監された殺人鬼らしいのに驚くほど弱く、14歳の女の子に腕力で押し負けてしまうマルコメくん。

頭部爆発、感電死など実に多彩な死に方を見せながら残機がどんどん減っていきます。

そして特殊なエロ要素を加えたかったのか7つ子とエマリーは異母兄妹関係という設定が明かされます。

冒頭の出産に協力した母親がいて、そのあとに娘・エマリーを産んだ…??

実はお母さんが黒幕で娘を生贄に捧げようとしていた…というストーリーを期待すると肩透かし。

提供していた卵子を勝手に無断使用されただけのようです。(とんでもねえ)

 

それにしてもなぜか映る街並みは常にゴミまみれで、道の至ることろにゴミ袋が散らばっています。

お母さんがゴミ袋にダイブして逃亡したり、過去の病院の記録を調査するためゴミ捨て場漁りをしたり、10分に1回はゴミ袋が出てくるような体感(笑)。

 

クライマックス、1人残ったマルコメくんがエマリーを攫い受胎の儀式が始まりますが…

マルコメくんゴミ袋でウェディング衣装つくってくれてた w w

 

儀式によって謎の水晶体が顕現するとエマリーは催眠状態に陥りザンガディクスに引き寄せられてしまいます。

そこに民俗学に詳しいケラー博士の父親が突然現れ「ザンガディクスは母親の抱擁に耐えられない」と助言。

お母さんが胎児を抱きしめると、愛を嫌うザンガディクスは爆発してしまいます。

びっくりするような量の血の雨が降りそそぎ、笑顔で抱きしめ合う母娘2人。

「キャリー」と「サスペリア」を足したようなラストシーンがなぜかいつまでも心に残ります。

 

しかしこんな珍作がアボリアッツ??…と思っていたらなんと受賞したのは音楽賞だったのですね。

クライマックスでかかる「オーメン」のような荘厳な曲がやたらカッコいいです。

ホラー的にはマルコメくんに怖さがないのがアカンのですが、次々に勢いよく散っていくマルコメくんになんだか笑ってしまう。

なんか雰囲気が好きなホラーでした。