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薔薇の名

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  薔薇はまづ名としてあらはれ 概念が空想をそそり そそれられた空想が実体に触れ、 その匂ひ、その色、その形が 記憶へ蓄へられる。 あるひは名も知れずにみた 花の美しさが心に沁み、 認識慾が起こり、 その名を薔薇と知つて 自分の概念世界に 組み込むにいたる。 『暁の寺』 -三島由紀夫- ーayakaー

深き谷ー冬三句

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靴揃へて牡丹さぐられてゆく深度 夜ならば恋したものを冬の鳥 青き林檎さえ嗚呼余すことなく

プラトンー冬三句

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 プラトンの狂気抱きて冬景色 水仙や抽送せざば愛乞ひて 蜜柑含んでまた剥ぐ残酷

愛について

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愛はわたしたちの悲惨のしるしである。 神は自分をしか愛することができない。 わたしたちは他のものしか 愛することしかできない。 『重力と恩寵』 -シモーヌ・ヴェイユ- -kaori-  

夢のこと

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  その小児科医院は昔から坂下に あって白っぽい外観は色気のな い事務所ビルのようだった。わ たしはその入り口に近づいて歪 みで中がみえない窓を覗く。中 はオレンジ入りの灯りで人の気 配もするから後ずさりする。住 宅向けに再利用されているのか 。瞬間、3階あたりに工事現場 の骨組みのような鉄板の上にい る。下が透けていて怖いのだが 覗こうとする。そして終わった 。目覚めたしばらくはそこが実 在する建物だったと思っていた。

冬苺ー冬三句

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生きるとは揺らぎなるか冬の月 口腔にあそばれて果つ冬苺 老境や薔薇のふたゞび荒れ狂ふ

刃より

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刃よりするどきものを 持ちたるが ふたり寄るをば 危くぞ思う 『夏より秋へ』 ー与謝野晶子ー -ayaka-

ハレルヤ

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欲望と愛は交りあう。 そして愛とは欲望の全体に相応しい対象である。 常軌を逸した愛はさらに常軌を逸した愛に 向かわねば意味がない。 『ハレルヤ ディアヌスの教理問答』 -ジョルジュ・バタイユ- -kaori-