深まりゆく秋です
山が冬枯れる前の
ひと時の彩り
(画像と本文は直接の関係はありません)
「スーパーカブ」という小説を読んだ。
子熊という奇妙な名前の女子高校生。幼い頃に父親を亡くし、母子家庭で育ち、山に囲まれた高校に進学したが、そのとたんに母親が失踪。子熊は天涯孤独の身の上となるが、奨学金でなんとか高校に通うことができ、アパートでぎりぎりの貧乏生活を送る。
身寄りもない、友達もいない、お金もない、将来の夢もない。そんなないないづくし子熊が、壊れかけた自転車を買い替えようとしたのだが、どうしたことか、1万円の超格安中古の50ccスーパーカブを買ってしまった。そこから子熊の暮らしが急展開する。
まるでカブと二人三脚で暮らすような生活、カブで通学し、カブで文書運びのバイトをし、バイトで稼いだお金で自動二輪の免許をとる。そして中古バイクショップの店主の好意で、子熊のカブはわずかに排気量を上げることで、法的に小型二輪車となり、子熊のバイクの世界は大きく広がっていく。バイクと共に成長していく子熊。原付スーパーカブと少女の物語は、平易で淡々と語られ、徹底してバイクと少女の物語なのだが、地味な少女と地味なスーパーカブが輝いて見えた。
時々、娘や連れ合いを乗せて近くの低山帯をドライブする。といっても、越える峠道は観光道路でも何でもなく、地域の生活道路で、すれ違うのは軽トラやスーパーカブだったりする。でも、僕はそんな山里の道がとても気に入っている、娘も峠の上のちょっとした広場で下界を見るのが気持ちがいいと言う。ふと、そんな道こそスーパーカブで走ったら、どんなに気持ちがいいだろうと思った。
小説「スーパーカブ」はその後の子熊を描く続編が8巻まであるので、読んでみたい気もするが、続編がだらけてしまうということもままあるので、迷っている。多少無理矢理感のある描写がみられるものの、巻数がふられてなく、とりあえず完結しているこの「スーパーカブ」の読後感がとてもよかったので、今はこれだけでいいかなと思う。
久々面白い物語だった。抑うつ状態がおさまったら、週末を使って小型二輪の免許をとろうかな。
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