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2023.01.14
カテゴリ：ライトノベル
小説 「scene clipper」 Episode 7
「あれです、あれですよ！」
部屋の一隅を指さす水城の声はひどく上ずっている。
俺がその壁に近づいて行ったのは、マリの白い歯の笑みの理由が 壁に飾った写真にあると、そこまでは読めたからだ。
「だろうな、けど少し静かにしてろ」 （なるほど・・・これはマリさんと俺、そんな訳ないがしかし・・・）
映らないだろう。 目の前にあるこの写真の中で、マリにしがみつかれて余裕の笑みを浮かべてる男・・・。
「俺にそっくりだよな・・・」
そこで水城は藪をつついた。
「いやいや、瓜二つっていうんでしょこの場合」 「良く言うわねー、本当なら山本さんに初めて会ったその時にコージのこと思い出して、『瓜二つ』ってセリフが出てくるんじゃないの？」
可哀そうなくらいしょげ返った水城を見てさすがにマリもそれ以上追及することはやめた。
「ま、いいわ・・・」
そう言ってマリは人差し指と中指の間にはさんだ電子マネーカードを揺らした。
「はい、モカですね」 「うん、あんたのタバコも買っていいから」 「あ、ありがとうございます」
やっと本来の笑顔を取り戻した水城は飛ぶように部屋を出ていった。
振り返ると、いつの間にかマリがすぐそばにいて、壁にあった写真をはずすと裏返しにして傍の棚の上に置いた。 俺を見るマリの瞳は強くそして純粋な光に満ちていて、目をそらすことなど出来なくなってしまった。
忘れきれない人への想いは、いつも胸の真ん中あたりを漂っていて、人はそれをぼんやりと眺めていることで、心の波を鎮めて生きていけるのかもしれないが・・・。
そう言って俺はマリを抱き寄せた。 書く者にとって応援ほど励みになるものはありません。 いつも有難うございます。 
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