野田あすかさんのコンサート

先月のことになりますが、コロナのために延期続きだった「野田あすか」さんのコンサートがようやく開催され、キャンセルせずにキープしていたチケットが、やっと日の目を見ることになりました。

私が野田あすかさんを知ったのは、TBSテレビ「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」でした。
あすかさんは、小さい頃から周囲の人とうまく交われず悩み、そのストレスのためにパニック障害、自傷行為や過呼吸などに悩み、大学も中退。
その後、留学中のウィーンで「広汎性発達障害」と診断されました。

診断がくだったことで、あすかさんもご家族も、これまでのことは病気のせいだったのだ、とやっと理解することができたのです。
それまでは、なぜ?何がいけないの?と自分を責め、追い詰めるばかりだったのでしょうね。
テレビで彼女の演奏を聴いた時に、1度ナマで聴いてみたいと感じました。

パニックで自宅2階から飛び降りて右足を粉砕骨折したあすかさんは、車いすでステージに現れ、可愛い水色のドレスでピアノの椅子を覆い、譜面と鍵盤を見つめ、暫く何か自分に言い聞かせるように時間をおき、それからスーっと鍵盤に手を置いて演奏が始まりました。

1曲演奏が終わるごとにご自分でも拍手をして、ピアノの演奏をする喜びと、観客の拍手の温かみをかみしめているようでした。

今年はベートーヴェン生誕250年の年ということで、「エリーゼのために」と「ピアノソナタ第8番ハ短調(悲愴)」を、ある時は繊細に、ある時はダイナミックに。
その後は、ご自身のオリジナル曲を披露されました。

曲と曲の間にはトーク(曲の紹介)を挟みましたが、言葉の一つ一つが(決して難しい言葉を使ってはいませんが)心のこもった言葉であり、彼女なりに想いを伝えようとする真摯な姿勢を感じさせ、私は母親のような、保護者のような気持で一生懸命に耳を傾けました。

オリジナル曲はどれも美しいメロディと優しく温かなハーモニーで時に切なく、時に優しく、そして時に力強く胸に迫るようでした。

野田あすかコンサート

発達障害を抱えた方々が、皆さんこのような才能(プロとして活躍できるような才能)をお持ちだというわけではないかもしれませんが、どのようなことでもよいので何かひとつ、夢中になれるもの、打ち込むことができるもの、これは得意だと自信がもてるもの、そのようなものを持てたら、と願わずにはいられません。

また、なぜ自分はこんなに生きづらいのだろうと悩んでいる方の中に、発達障害に気づいていない方もいらっしゃると思います。そういう方は受診してみてほしいと思います。あすかさんも、診断がくだったことで道が開けたのだと思います。

野田あすかさん、これからも応援していきたいアーティストのひとりです。

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