<真の「市民と一緒に」とはどういうことか>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
界のメディアがいま、最も注目する
テクノロジー界の叡智が、描く
デジタルとAI(人工知能)の未来!
台湾は、2020年に全世界を襲った新型コロナウイ
ルス(COVID-19)の封じ込めに唯一成功しました。
本書は、その中心的な役割を担った若きデジタル
担当政務委員(閣僚)が、コロナ対策成功の秘密、
デジタルと民主主義、デジタルと教育、AIと社会
・イノベーション、そして日本へのメッセージを、
自身の言葉で語りつくします。
◆この本は
ボリューム:★★★☆☆(普通)
読みやすさ:★★★★☆(楽しく読めました)
気付き学び:★★★★☆(具体例がたくさんありました)
考える :★★★★☆(一緒になって解決するとはどういうことか?)
こういう傑物が裏方で政治機構を改革していることで、連携が良くなり問題解決がスピードアップし、市民と政府の相互信頼が高まる好循環。市民の政治参加意欲は高いし、さらにそうできる仕組みがある。私たちが見習うべき点は多いです。
◆内容紹介・感想
2年ほど前から日本のメディアにも多く登場し、「ITで政治に革命を起こした」というふうに、なんだかすごい人なのか?と気になっていたので、この本を手に取ることになりました。
記憶にも新しい、コロナウィルス対策での「マスクマップ」。読んでみると、オードリー・タン氏が作ったというより、市民が共同作業で作っていったものでしたね。
彼の仕事は、どこかの省の大臣というわけではなく、簡単に言うと「それぞれの省の連携が良くなるように、ITを活用した仕組みで支える役割」といった感じでしょうか。
どこの省にも属さず、裏方として行政府を支えることで、市民の声を受け止め、対応のスピードアップと課題の解決確率を高めています。
彼のユニークなところは、「誰も置き去りにしない(インクルージョン)」という政治信念でしょう。
「5Gは地方や離島から普及させる」や、「システムの開発は高齢者と一緒に」といったやり方にその信念が現れています。
最も強く持った感想は、台湾における市民の政治に対する参画意識と、お互いの信頼関係です。
このオードリー・タンという人物は確かに傑物なのですが、彼が政治の世界に入る前より、総統をはじめとする政治家や役人は「市民とともにある」という印象がしっかり根付いているのだろうなぁと感じました。
例として挙げられていた、「道に穴ぼこが開いていたら、市民がその場で写真を撮って役所にメールする」という行為。
日本ではそういったカジュアルな行政関与は、おそらく行われていないように思います。そもそもどこに送ったらいいかわかりませんし、こういった小さな困りごとだけでもとても手間と時間がかかるだろうし、フィードバックもないだろうし、と考えるからです。
彼がやっていることのひとつに、市民の声を集めるサイトの運営があります。一定の賛同者が集まると必ず行政は議題に乗せないといけない、という規則ができており、そうなると、「その後どうなったか」という説明責任も義務付けられることになります。
こういうふうにきちんとフィードバックがなされることで、「ちゃんと受け止めてくれている」と感じることができますし、「市民生活がよくなるために、もっと意見を言おう」となるように思います。
そしてその信頼関係を、オードリー・タン氏はITという武器を活用しさらに加速させている、そんな印象を受けました。
ひるがえって、日本に住んでいる私にとっては、「政治に参加する」=「選挙やデモぐらい」、という古典的なものぐらいしか思い浮かばずに「台湾すごいなぁ」、なんて思ったんですが、実際は知らないだけで、(さすがに令和の時代になったので)こういった仕組みが作られて政治参画できることもあるのではないか、ちょっと調べてみようかな、と思ったのでした。
感想は以上になります。
では、また!