鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「はだかのくすりゆび」の続編「あの夜のささやきが」

あの夜のささやきが。

あの夜のささやきが。

「はだかのくすりゆび」の続編という触れ込みで、作者自身もあとがきでそう書いてあったが、主人公の名前が「翠」で共通しているという以外、特に一致する登場人物はいない。独立した短編と考えてもおかしくない。続編だとしても矛盾はないが、だとすると「はだかのくすりゆび」直後に相当なことが起きたと考えられ、それはそれで興味をそそられる話である。*1

さびれた町で居酒屋を経営するワケあり女の翠。客がどんなにコナをかけても決してなびかないことで有名だったが、さすらいのチェリストとついに関係を持ってしまう、という話。

翠は、男好き、セックス好きの血が流れていることを自覚しているがゆえに自ら禁欲を課していたが、葛藤の末についにチェリストの彼を求めてしまう。しかし、そこの到るまでの彼女の生活が、なかなかに情緒的で興味深い。



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*1:離婚したことになるが、慰謝料はもらえたのか、払ったのか、両成敗となったか。これまでパート仕事すらしたことのない翠が居酒屋を経営するまでには相当な苦労があっただろう。煙草を吸うようになった点でも、かなりの変化があったことが窺える。しかし、抱かれた男のことは思い出しても娘のことは思い出さないのが哀しい。