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歴音1.人生の旅路・前編「永遠にヤングマン!」
〔音路1の改訂版〕



今回と次回の「歴音」は、毎年、「成人の日」の時期にあわせて掲載してきましたコラム「音路1(改訂版の「音路104」)」に、さらに加筆修正して再掲載させていただきます。
出発、元気、やる気が わきあがってくるような楽曲とテーマで、前編・後編の二回連載です。


◇その手で取り戻した「成人の日」

2022年4月1日より、日本の「成人」は、これまでの20歳から18歳となりました。
昨年2023年、多くの自治体は、「成人式」ではなく、「20歳を祝うつどい」などの名称に変更し、20歳になった地元出身の若者たちを招待し行事を行うところが多かったですね。
18歳を特に対象にはしていませんでした。

いつのまにか「成人扱い」になっていた19歳も含め、二年間は過渡期ですので、自治体の記念行事は、さまざまに対応されていくのでしょう。

18歳という年齢は、まだ受験をひかえた高校生も多く、「成人どころじゃない!それより、受験生人や!」かも…?
今後、自治体のお祝い行事をどのようにしていくのかは課題ですね。

* * *

私は、昨年の本コラムで、あるテレビニュースの話題のことを書きました。

コロナ禍の2021年に「成人式」を開催できなかった和歌山県の串本町が、その当時の新成人を、2023年の正月にあらためて集め、「成人式」を開催したというニュース内容です。

そして、その式を実現させたのは、実は、他の誰でもない、その当時、2023年に22歳となっていた成人たちでした。
今年2024年に、彼らは23歳となっています。

昨年、彼らは、多くの署名を集め、町に嘆願したことで、自分たちの成人式が、二年遅れで実現したということです。

その二年間の空白を埋め、自分たちの手で、「出発の門出」を取り戻した若者たちに、私は感銘を受けました。
どれだけ、すごいことを実現したのか、彼らの年齢では、まだ理解できないかもしれません。
彼らは、昨年当時、まだ22歳でしたが、その表情は、20歳ではなく、22歳の顔になっていましたね。

そして、あれから一年の間にも、彼らは、さらに自立した大人になっているのだろうと思います。

私は、昨年の本コラムの中で、とにかく、大したことをした若者たちと、それに応えた町の大人たちを称賛した内容で書きました。

町や市の規模は関係ありませんね。
大切なのは、人間の思いの強さかもしれません。

* * *

お爺ちゃん、おばあちゃんたちは、「成人の日」に、同年代の仲間たちと、こんな会話をしています。
「あんた…成人式、何べん、しよった?」
「あたいは3回」、「ワシは4回」、「あと一回はできるかの~」…。


◇青春の光と影(Both Sides Now)

成人したばかりの若者たちは、未成年という立場ではなくなり、成人としての立場から、ものごとを見るチカラを、少しずつ手にしていくことになるでしょう。

下記の曲は、1967年(昭和42)に、歌手のジョニ・ミッチェルが、飛行機の中で、空の雲を眼下に見ながら、一気に書き上げた楽曲です。
大人と、若者の、両者の立場から、ものを見る歌詞ですね。

まずは、歌手、作家、女優、司会者で活躍したシラ・ブラックの歌で…。
英国のキャバーン・クラブの前に建つ銅像の女性は、彼女です。

 

♪青春の光と影


若者たちよ…大人になれば、いつか、幻影の真の姿を見極めることができるようになりますよ。

* * *

同曲は、1968年(昭和43)に、ジュディ・コリンズが歌って大ヒットしました。
1969年には、米国映画「青春の光と影」も作られました。

 

♪青春の光と影


* * *

作詞作曲したジョニ・ミッチェル本人が、2000年(平成12)に歌った映像です。
もはや、「青春の光と影」ではなく「人生の光と影」を感じますね。
年齢を重ねることは、素晴らしいこと…。

♪青春の光と影



◇いつまでも少年

「成人の日」に、70年代の洋楽曲をご紹介しようと思います。

若い世代の方々…
「サイモン&ガーファンクル」という男性デュオの歌手を、名前くらいは聞いたことがありますか?

歌手のアート・ガーファンクルは、男性デュオ「サイモン&ガーファンクル」の名前の後者の方です。

ここからは、1973年(昭和48)に発表された、アート・ガーファンクルのソロ活動での楽曲「青春の旅路(Traveling boy・トラベリング・ボーイ)」のことを書きます。
「Traveling boy」を直訳すれば、「旅する少年」といったところ…。

* * *

この楽曲には、女性にはあまりない、男性特有のエゴのような心理が 少し垣間見えてきます。
ある意味、一聴すると、男性の身勝手な旅立ちの歌にも聴こえてきます。
こんな男性に振り回される女性は、今も昔も少なくはないはずです。

男性には、誰しも、理性や理屈ではない…、説明できない…、身勝手な心理が心の底にあるのかもしれませんね。
女性たちからしたら、「まるで子供よね。いつまでも少年してなさいよ」といったところ…。
そこが、かわいい…?


◇青春の旅路

さて、楽曲「青春の旅路(Traveling boy:トラベリング・ボーイ)」について…。

その歌詞内容は、男性から女性への愛と、男性の新しい人生の旅立ちの決意です。

この歌詞の中の若い男性は、「君こそ最愛の恋人、君だけを想うよ、この愛は永遠だ」と言いながらも、彼女をひとり残して、そっと旅に出ていくのです。

「僕は行かなくちゃ」、「さよならという言葉は旅の邪魔になるから言わないよ」という歌詞が出てきます。
「なんて勝手なことを」と多くの女性は感じるかもしれません。
中には、理解して送り出す女性もいるかもしれませんが…。

そんな人生の旅立ちの瞬間を歌った楽曲なのです。
後で書きますが、「サイモン&ガーファンクル」の活動停止後の、それぞれのソロ活動開始の時期を考えても、何とも意味深の歌詞内容です。

* * *

アート・ガーファンクルの歌声を紹介する前に、日本語訳のついた音楽動画をご紹介します。

下記は、2012年に、女性歌手のルーマーがカバーしたバージョンです。
女性歌手が男性心理を歌っています。

女性が、自分のもとを旅立っていった愛しい男性の言葉と姿を思い出すという、美しい映像音楽物語です。
彼から、この言葉を受け取る女性は、実にせつない…。

どうして、私を置いて行ってしまったのよ…。
彼は戻ってきてくれるのかしら…。
男って、身勝手よね。

男性アイドル歌手を追いかけてきた女性が、いつか感じる、ちょっと複雑な心理にも、似ているのかも…?

ルーマー
♪青春の旅路

 

* * *

この歌詞は、ちょっとだけ視点をかえれば、女性が男性から旅立つ内容に入れかえることもできますね。

今は、女性がしっかり自立できる時代であり、夢を追うことができる時代です。
女性が、男性をおいて旅立つことなど、めずらしいことでもありません。

また、別の視点からみれば、母親から旅立つ息子の姿に感じないこともありません。
母親としては、こんなことを言われて、息子が旅立っていくのは、つらく感じる方も多いかもしれませんね。

でも父親は、母親とはまた別の感情を抱くことでしょう。
なにしろ、父親も息子と同じ男性なのですから…。

ようするに、この楽曲は、「別れ」を含んだ、人の旅立ちの歌なのです。

* * *

歌詞の中に、「会えない時間が、二人の愛情を深くする」というフレーズが出てきます。
この楽曲が発表された70年代初頭くらいから、急に、日本の歌謡曲にも、この言葉表現が増えていったようにも感じます。
ともあれ、この歌詞のとおりかもしれませんね。
「愛」が育つのに、「距離」や「時」のへだたりは、関係ないのかもしれません。
「へだたり」は、時に、むしろ思いを近づけて、相手に思いを届けてくれますね。

* * *

歌詞にあるとおり、「帰ってくるよ」「さよなら」などの言葉を相手に言わないで旅立つのであれば、私であっても、寝ている相手を、わざわざ起こさないかもしれません。

きっと、歌詞のモデルとなった実際の場面でも、彼女を起こさず、寝かせたまま、彼女の顔を静かにながめながら、彼は旅立っていったと思います。
この彼が、彼女を眠りから目覚めさせたとは思えません。
歌詞の「君だけを想っているよ」も含めて、おそらくはすべて心の中の言葉でしょう。
彼女に、直接、声では伝えていないでしょう。
身勝手な彼ですが、彼女への最後のやさしさと、受け取っておきたいと思います。

とはいえ、その彼女だったら、起こしてもらうのと、寝かされたままの、どちらのほうが悲しむでしょうか…。
これを読んでおられる あなたが女性でしたら、どちらでしょう…?

* * *

下記が、アート・ガーファンクルの歌声のものです。
こちらには英語の歌詞がついています。
中学校の英語の授業に使えそうな、シンプルでわかりやすい歌詞です。
ただ、意味や感情をくみ取るには、中学生にはむずかしいかも…。

こちらは、男性が自身の思いを女性に向けて歌い(思い)、そして旅立っていく様子です。
この歌詞を、男性と女性のどちらの歌声で、どのような思いで耳にするかで、この歌の受けとめ方が違ってくるでしょうね。
よくできた、素晴らしい歌詞だと思います。

アート・ガーファンクル
♪青春の旅路(1973・昭和48)



◇友に捧げる讃歌

アート・ガーファンクルの声は、男性としては高音域でやさしく、当時、「天使の歌声」と呼ばれていました。
「サイモン&ガーファンクル」の音楽家としての実績は、もはや、ここで書くまでもないと思いますが、彼らのサウンドは、まさにアート・ガーファンクルの声に支えられているといっても過言ではないと思います。

1970年(昭和45)に「サイモン&ガーファンクル」はデュオとしての音楽活動を停止します。
その後、アート・ガーファンクルは、ソロ歌手として、アルバム「エンジェル・クレア(天使の歌声)」を1973年(昭和48)に発表しました。
そして、そのアルバムの一曲目が、この「青春の旅路」でした。

旅立ちの内容の楽曲「青春の旅路」によって、「天使の歌声」のアート・ガーファンクルが再出発したのです。
このアルバムは、彼のソロ活動という旅路の出発を飾るヒット・アルバムになりました。

* * *

このアルバムには、ヒット曲「友に捧げる讃歌(All I Know)」も入っています。
ここで、この楽曲「友に捧げる讃歌(All I Know)」のことを少しだけ…。
「All I Know」を直訳すれば、「僕の知るすべて…」といったところ。

この楽曲の歌詞は、男女の関係性を歌ったようにも聞こえてきますが、実は、ソロ活動の直前に活動を停止した「サイモン&ガーファンクル」のポール・サイモンに向けて歌われたものです。

音楽グループはたいてい、メンバーの音楽性の違いや、これからの方向性の違い、不仲などが原因で解散したりします。
「サイモン&ガーファンクル」では、ほとんどの楽曲の作詞作曲がポール・サイモンで、メインボーカルがアート・ガーファンクルです。

1970年(昭和45)に、アルバム「明日に架ける橋」が発表され、ほぼグループとしての頂点の域に達した二人だったと思います。

その三年程前の1967年(昭和42)の映画「卒業」が大当たりし、彼らの楽曲も大ヒット!
それに続く、1970年の映画「キャッチ22」の製作時に大きな問題が発生し、それをきっかけに、二人は不仲になっていきます。
そして、それぞれのソロ活動に向かいます。

完全にコンビ活動が停止となり、1973年(昭和48)に発表されたのが、アート・ガーファンクルのソロアルバム「エンジェル・クレア(天使の歌声)」でした。

楽曲「友に捧げる讃歌(All I Know)」の作詞者はアート・ガーファンクルではありませんが、彼の思いが大きく反映しているのは間違いありません。

「お互いを傷つけるかたちにはなってしまったが、私は、君に感謝し、大切に思っている」という歌詞内容になっています。

ただ、歌詞の中にある「That's all I know」という部分を、この二人の関係性を考えた場合に、どのように日本語にしたらいいのか 私には わかりません… それが私の「That's all I know.」。

* * *

その後 二人は、よりを戻したり、再び 仲たがいをしたりしながら、今は離れた状況のようです。
二人とも80歳を超えていますので、ミュージシャンとしてのコンビ復活は難しいとは思いますが、いつか、それぞれに向けての 何らかのコメントを聞ける日が来るかもしれませんね。
音楽を作る人…、音楽を美しく歌う人…、いろいろあっても、二人は…。

この楽曲「友に捧げる讃歌」には、次のような歌詞もあります。
When the singer's gone
Let the song go on...

そうです… 歌手はいなくなっても、その歌は永遠に残っていきます。
「サイモン&ガーファンクル」はいなくなっても、音楽作品は永遠…。

アート・ガーファンクル
♪友に捧げる讃歌(1973・昭和48)

 

* * *

私は、アート・ガーファンクルの楽曲「青春の旅路(Traveling boy)」が、彼の新しい「旅路」の始まりだったと思っています。
「サイモン&ガーファンクル」から離れての出発だったと思っています。

アート・ガーファンクルは、楽曲「青春の旅路(Traveling boy)」で、自身の思いとは別に、自身のファンのところに、どこかの場所から戻って来たことを伝えたかったのかもしれません。
彼は、もう、その場所(サイモン&ガーファンクル)には戻らないと歌っています。
彼は、その後も長く、音楽活動を続けました。

* * *

「成人扱い」となる18歳…、卒業、進学、就職などで、それまでの仲間と離れていくことの多い年齢です。
これまでの「二十歳の成人」と、新しい「18歳の成人」は、何かが違うようにも感じますね。

元の場所には戻らない…、もう会うことのない…、いつかまた会えるかも… そんな「成人」なのかもしれません。

「成人の旅路」は始まります。


◇旅路の最後に…

この楽曲「青春の旅路」は、今から50年程前の曲ですが、私は若い頃に、本当によく聴いていました。
今、この曲を聴くと、まさに青春の頃の思い出がよみがえってきます。
さまざまなシーンが、まさに映画の回想シーンのように頭の中に浮かんでくるのです。

私は今、原曲のアート・ガーファンクルの楽曲のほうの、チェンバロ演奏による長いイントロ部分を耳にすると、連打音の間隔が徐々に短くなっていく…その間隔の中に、さまざまな思い出が浮かんできます。

♪青春の旅路(Traveling boy)


このイントロに、長い歳月を感じ、多くの思い出が、遠い沖から、徐々に大波となって自分の足元にやってくるような気がしてきます。

かつて、青春という時期から、人生の旅路を歩み出し、旅路の終着地点が近くなってくると、その旅路の思い出を、とても いとおしいものに感じてきます。

あの時の出逢い、あの時の別れ、あの時の葛藤、あの時の苦難、あの時の幸せ、あの時の自分自身…。
そして、今の自分…。

私の自分自身の「人生の旅路」は、とっくに半分以上が過ぎています。
そして、「さよなら」という四文字にも、いとおしさを感じてきました。
大切に使うようになってきた言葉…「さよなら」です。

* * *

実は、男性のアート・ガーファンクルの「青春の旅路」と、カバーした女性のルーマーの「青春の旅路」は、歌詞の最後が違っています。
アート・ガーファンクルの最後の歌詞は…

「no goodbyes(さよならとは言わない)」でした。
まさに、人生の「停車駅」だったのだろうと感じます。

自身が、本当の「終着駅」に着いた時、そこで「さよなら」と言うのか、「さよならとは言わないよ」と言うのか、「では、またね」と言うのか、「いってきます」と言うのか、「ありがとう」と言うのか、はたまた無言でお辞儀するのか…、ゆっくり考えていきたいと思います。


◇「さよなら」は、永遠の別れじゃない

ここで、二曲だけ…。

♪僕は、さよならが得意じゃないんだよ。
♪これまでの思い出が、頭の中を ぐるぐる かけめぐる。
♪ここまでの人生の旅路は、すべて夢だったのかな~。

ナイト・レンジャー
♪グッバイ(1985・昭和60)


* * *

前述の「青春の旅路」と同じ、女性歌手ルーマーのカバー歌唱で…。
原曲は、1977年(昭和52)の米国映画「グッバイ・ガール」の主題歌で、ブレッドのリーダーのデヴィッド・ゲイツが歌ってヒットしました。

ルーマー

♪グッバイ・ガール


* * *

人は歳を重ね、高齢の時期をむかえてくると、自身がクチにする「さよなら」に重みが加わってきますね。
残りの歳月を考えると、相手との「さよなら」が、永遠の別れを意味することも少なくありません。

もし、それをクチにするなら、良い「さよなら」であることを願うようにもなります。
時に、「いい人生をね…」とか、付け加えたりもします。

別れの相手が、若い世代であればあるほど、それが、その若者たちへの「さよなら」と同時に、若者たちの「良い旅立ち」であってほしいと願ったりもします。

楽曲「青春の旅路」の中の若い男性が、恋人との愛を永遠だと思い続けるのと同じように、自身の「さよなら」が、次の誰かの「出発」「永遠」であってほしいと願ったりもするのです。

人生の旅路の始発駅で…、終着駅で… 旅路の楽曲が流れていてほしい…。


◇旅する少年

人の「別れ」には、いろいろなかたちがありますね。

お互い笑って握手して別れることもあれば、片方に何かを託して去る場合も…、時には、片方がそっと隠れて身を引く場合もあります。
また、「別れ」をしっかり告げずに、またの再会を願いながら去る場合もあります。

男性には、よほどの事情がなければ、初恋の相手や、一度は思いを抱いた相手などに、いつまでも幸せでいてほしいと願うような身勝手な心理もあります。
もう戻ってこない時間を、美しいままにしておきたいという心理もあります。
歩んできた旅路の思い出を、美しいものだけで埋めておきたいという心理もあります。
悲しむ相手の顔を見たくないという心理もあります。

特に、青春時代は失敗もしますし、後悔もします。
若いうちは、それを回避する術(すべ)を知りません。

楽曲「青春の旅路」の歌詞には、内容として、「僕は、どうしても、ここを出ていかなくちゃならないんだ。戻ってきちゃいけないんだよ…」とあります。
男性の、理由なき身勝手さは、昔も今も、そう変わりません。

女性たちからしたら、男性たちに、「とっとと旅にでも何でも行きやがれ… 私は、ここで待ってなど いないわよ」ですね。
一応、クチではそう言いたい…。

「私を想っているなら、どうして何も言わずに旅立つのよ。どうして旅になど出るのよ…」。

楽曲「青春の旅路」の原題は、「Traveling boy(旅する少年)」ですね。
「トラベリング・ボーイ(旅する少年)」… 多くの男性に、そんな一面があります。

その少年の旅は、生涯続く「青春の旅路」。

* * *

「ねえ、あいつ今ごろ、どこを旅してるの?」

ドイツの DJ 兼 音楽プロデューサーである「BUNT.」が創る「壊せやしない」音楽世界。
♪アンブレイカブル(Unbreakable)

 

♪アンブレイカブル(和訳付き)

 

そこのあなたも、旅の途中…。


◇日本をリゲイン!

「歴音fun」ですので、少しだけ、歴史のお話しも…。

かつての日本の武家には、「元服(げんぷく / 成人の儀式)」という儀式がありました。
男性の12歳から16歳のあいだで、その若者の成長度合いに合わせて、適切な時期に、その一族が「元服」の儀式を行いました。

第三者である関係者や後見人などを、「烏帽子親(えぼしおや)」として立ち会わせ、多くの周囲が、その若者を一人前の成人として認めるものでした。
その家族だけの勝手では、成人させなかったのです。

一族の中で、どのような個性や能力を持つ若者がいるのかを 一族全体で認識し、チカラを持つ第三者に「烏帽子親」になってもらい、一族を中心に関係性を深めておく必要があったためです。
戦国乱世であれば、一族の「生き残り」がかかっている重要な儀式でした。
女性は女性で、儀式がありました。

戦国乱世の時代は、少人数の武家単位で生き残っていけるような甘い時代ではありません。
大人数の一族内で、ひとりでも多くの人間が助け合わないと、生き残っていけません。
場合によっては、一族の中で、ひとりだけでも生き残らせるために、他の者たちは全滅します。

あの伯父さん…、あの叔母さん…、遠くのあの親戚…、元は同じ土地出身の同族…。
元服により、急に「顔見知り」の親族が増えたのです。
主君と家臣の関係性とは、また違う関係性でした。

* * *

当時の「元服(成人)」は、その本人にとって、社会や人間のつながりが一気に広がるという意味だけでなく、一族の生死をかけた責任を背負うことも意味していましたね。
元服した若者は、一族の中で、相当な役割と責任を背負うことになります。

元服の日は、若者自身が、一族全体の生死に関わる、重要な存在となる「決意の日」でした。
今でも、どこかの武家の末裔では、儀式の一部が残っているかもしれませんね。

今も、「成人」とは、まさに、人が「大人社会」の一員になった「証(あかし)」です。
日本の未来を託される日なのかもしれませんね。
決して、大げさに述べていることでもありません。

* * *

少し話しが固くなりましたので、ここからは、昭和と平成の、面白い社会人の曲を二曲…。

成人の日… めでたい! めでたい! たべたい! およげ たいやきくん!

社会人の悲哀を「たいやき」に込めた、昭和50年の名曲です。
当時、子供たちよりも、大人たちが喜んで聴いていた楽曲です。
新成人も、いつか、この歌詞の意味を実感する時がきますね。

子門真人〔しもん まさと〕
♪およげ たいやきくん(1975・昭和50)

 

* * *

私も含め、多くのビジネスマンは、下記の楽曲の1989年(昭和64・平成元)当時、月200時間超えの残業は当たり前!

活力ドリンク「リゲイン」を、毎日、数本飲んでいましたね。
「Regain」とは、「Re(再び)+gain(獲得する)」、または「Regain(取り戻す)」という意味(第一三共ヘルスケアのサイト内の説明文より)。

そして、毎朝、この曲で自身を奮い立たせ、いざ出陣!
スーツは、鎧兜!
毎日が、肉弾戦!
24時間戦うぞ!

80~90年代当時、世界でバリバリ働く「ジャパニーズ・ビジネスマン」たちは、まさに覚悟を決めた「サムライ」でしたね。
当時のジャパニーズ・ビジネスマンたちの、世界への、あの猛烈な「強気」はいったいどこから来ていたのか…!?
「スポ根(スポーツ根性)」、「ヒーロー・ロボット・マンガ」、「時代劇」で育ってきた、24時間 戦えた リゲイン世代!

* * *

1990年頃までの日本人の年間労働時間は、統計的には、2100時間超で、世界のトップ!
実際のビジネス現場では、4000時間超の人もたくさんいたと実感しています。
人間の年間時間8760時間のうちの半分以上を、仕事にあてていた人が相当な数でいましたね。

もちろん、自主的な労働だけではなく、家族を食べさせるため…、長時間労働を強いられて…、などの長時間労働もあったでしょう。

適当に、それでも全力で、ストレスを発散させ、手抜きを含め体力を維持、とにかくバリバリ仕事して、稼げ!稼げ!の時代でした。

日本の社会全体が そんな雰囲気でしたので、今の時代のような、自分だけが不遇…という疎外感は、あまりなかったかもしれません。

とにかくライバルだらけの競争社会!
人手多過ぎ… 自分の代わりは、はいて捨てるほどいた時代です。
割のいい仕事の仕方を見つけるよりも、仕事量(労働時間)で勝負!
「俺は、あいつよりも長時間働ける」…そんな意識もありましたね。

* * *

統計的に、2021年の日本の年間労働時間は1600時間あまりで、ほとんどの先進国、韓国、中南米よりも相当に短いです。
今は、もっと短くなっているでしょう。

かつてのモーレツ昭和世代からすると、ちょっと「アレッ」と感じますが、労働時間が短くなるのは、仕事がないのか? 実は表向きの数値なのか? ひょっとして労働時間に換算されていないのか? はたまた、残業代をくれないのか?
まさか、残業代なし、休日なし、休憩なし、福利厚生なし、通勤費なし、長時間労働へっちゃらのロボットたちに仕事を奪われるとは…。
ロボットたちは、「リゲイン」を飲まなくとも、24時間働ける!

今さら、国は、スキリング(スキルの習得)、リスキリング(スキルの再訓練)、アップスキリング(スキルの向上)などと、カタカナを並べやがって!
「スキスキ(好き好き)」って、うるさいわ!
嫌いや、スキリング!

とはいえ、昭和時代のビジネス思想やスキル、慣習やシステムのままでは、次の時代に通用しないのは明らか…。

いつの時代も、旅路はつらい!

* * *

今の時代なら、この楽曲は、パワーハラスメントの「しるし」!
今、こんな上司は嫌われる!?
30年で、世の中は、ここまで変わった!
若者たちの気持ち…ホントに変わった?

夢や理想だけでは食っていけん!
ロボットやAIに、負けてたまるか!
あの時代の日本を、リゲイン(取り戻す)できるのか!?

牛若丸三郎太(時任三郎)
♪勇気のしるし(1989・昭和64・平成元)

 

2000年代も、こうでした!
2007年のCM。

 

2010年代…音楽のチカラでなんとか…。
2019年の東京マラソン。
昭和世代のランナーは、これで生き返って、3分間は猛ダッシュ!
みんな、無理はするなよ!
もう、あの時代の年齢ではないよ!

 

日本のリゲインは、若者たちに、まかせた!
ワシらは、温泉旅行に…リピート!


◇サライがある!

新成人たちよ…、今の時代なりの、戦い方のコツをつかめ!

新成人たちよ…、昭和のベテラン世代に 全力で ぶつかっていけ!
いや、ベテラン勢を上手に使え!

新成人たちよ…、自分なりの栄光と幸せをつかんで、いつかは故郷に帰ってこい!
そう、いつか「サライ」に胸を張って帰って来い!

挫折して帰ってきたって…、人生の休息だって…、まったく問題ない!
受け入れてくれるのが「サライ」!
故郷は雪の吹雪でも、心の中では、ずっと「桜ふぶき」…。

加山雄三 & 谷村新司
「サライ」とは、「故郷」「心のふるさと」という意味。
♪サライ(1992・平成4)

 


◇さあ立ち上がれ!ヤングマン!

かつての「元服」とは違い、現代の「成人」は、ある意味、誰かに与えられたり、認めてもらうものではありません。
すべての人間が、一定のルールと年齢により、ほぼ無条件に、「成人」という扱いになります。

今年、「新成人」になった若者たちには、本当の意味の「成人」としての立場や意識を、自身の手で、しっかり つかみ取ってほしいと思っています。

中高年世代は、毎年やってくる「成人の日」が、若い世代の「希望ある、素晴らしい旅立ちの日」になってほしいと、強く願っているのです。
そして、社会の中で、助け合い、協力し合い、生き残っていく仲間が増えると感じるのです。
「成人」とは、みなで、平和で安全な社会を作っていくメンバーになるということでもありますね。

それぞれの「人生の旅路」の目的地は違いますが、そこに、それぞれの「旅路」が、しっかり作られていくことを願っています。

成人、おめでとう!

後に、新成人の皆さんが、妙な英語名称の付いた世代ではなく、「逆境に強い世代」「乗り越えた世代」と呼ばれるようになることを願っています。

若者よ…、ついでに中高年も…
さあ立ち上がれ!ヤングマン!

(歌詞の一部を変えて)
中高年よ…
♪老いてのちも、やりたいこと…、まだまだ、あるものさ~
♪O(old)・M(man's)・C(continue)・A(association)
♪ゆううつなど、吹き飛ばして~
♪君も元気だせよ~
♪ヤングマン!

「永遠のヤングマン」のヒデキ~! 天国から 届けて!
♪ヤングマン(1979・昭和54)


2024.1.8(初回執筆:2021.1.12)
天乃みそ汁
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