2023年2月26日21時

注目の植田日銀新総裁候補の衆院での聴取が終わりましたので、
その後の動きも含めて以下について見て行きたいと思います。

1、植田新日銀総裁候補の聴取はそんなに緩和的であったか?
2、米株急落の割に下がらない日経(先物)

以下順に見て行きます。
植田氏0224議運(日経新聞より)

1、植田新日銀総裁候補の聴取はそんなに緩和的であったか?
事前の予測通り、植田氏の評価は上々でまずは無難なスタートを切った。
というのが一般的な見立てです。これを受けて市場は円安・株高で反応。

ただし、個人的には突っ込みどころ満載なのでは?と感じています。
まず、植田氏は
・4%台に及ぶ消費者物価でみたインフレ率を
 「輸入物価の上昇によるコストプッシュ要因であって需要の強さによるものではない」と指摘し、
 いまの日銀の判断に寄り添った。(日経新聞)

・「消費者物価の上昇率は2023年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下していく」
 3月発表の2月分から「かなり大幅にインフレ率のデータは(上昇率が)下がる」との見解も披露した。(日経新聞)
とのこと。
しかし、海外の物価高は収まっていませんし、ドル円も再び騰勢を強める可能性があるのではないでしょうか?
恐らく僕のような凡人には理解出来ない確たる数値を持ち合わせているからこそ
「具体的に2月分からはかなり大幅にインフレ率のデータは下がる」
としているのでしょうが、それをもって、自身が緩和的な姿勢を鮮明にすればするほど、円は下落しますので、正に輸入物価を押し上げる可能性があり、自己矛盾に陥る可能性があるのではないか?


また(偶然か?)同日発表の
・米PCEは前年比5.4%の上昇(前月の5.3から伸びが加速)
・コアPCEも前月比1.8%増(前月の0.1%減からプラ転)
・新築一戸建て住宅販売戸数は前月比7.2%増の76万個。(昨年3月以来10カ月ぶりに高水準)
などの指標発表を受けて米2年債は4.8超まで上昇し終値ベースで昨年11月の高値を更新。
米2年債

当然、ドル円は急伸。
ドル円0224

植田氏は以下のように語っていますので、これはよく覚えておきたいと思います。(日経新聞より)

「私の使命は魔法のような特別な金融緩和政策を考えて実行することではない」とした植田氏。2%の物価目標が近づく場合は「適切なタイミングで金融緩和の手法を正常化していく判断が求められる」とも語った。
長期金利を無理に低く抑える政策が市場金利をゆがめている長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)については、昨年12月の日銀の政策修正を踏まえ「本当に市場機能の向上につながっているかどうか、現在見守っているという状況」としたうえで、将来は「様々な可能性が考えられる」と語った。
「市場機能の低下を抑制するというところに配慮しつつ(YCCという)措置をどうやって継続するかを考えていかないといけない」と修正の可能性を示唆した。
大量に買い上げてきた上場投資信託(ETF)の扱いはどうなるのか。「今後どのようにしていくかは大問題だ」として対応に悩んでいる思いをにじませた。YCCとは異なり、金融政策が出口に向かう場合には「具体的に考えないといけないが、まだそこには時間がある」として途中修正の可能性は否定した。


2、米株急落の割に下がらない日経(先物)
24日の晩、上記の通り、米金利は上昇し、米株は下落しました。
NYダウ-336.99ドル安(-1.02%)Nasdaq-195.45ポイント安(-1.69%)
対して、日経平均先物3月限は-50円安の27330円、TOPIX先物に至っては1982.5ポイント±0という状況です。
これは
・ドル円が136.48円+1.78円+1.32%の円安ドル高に動いたから
という理由が大きいと思われますが、さらに
・植田氏新日銀への緩和継続期待(金曜日中の動きが継続)
・円安による日経平均株価のEPSの上振れ(下振れの否定)
などが加わっていると思われます。

この動きが週明け以降も継続するか?
単に連休の狭間におけるミスプライスか?
は重要な分かれ目。

万が一、上昇継続となれば、日本株の上値はかなり大きくなるかも知れません。
そしてそれは植田日銀が発足し、YCC撤廃などに追い込まれるほど
円が急落している局面まで継続する可能性も否定しきれません。
そう言った意味で(日経VIも煮詰まっていますし)
週明け~の日本株、ドル円の動きは特に注目して行きたいと考えています。

日銀が緩和を継続すればするほど、ドル円は下落し、輸入物価は上昇し
日銀は出口に向かわざるを得ませんので、ドル円を上昇させることは
日銀を出口に向かわせる催促相場でもあり、ここはガイジンの思惑が一致しやすいところか?

なお、日銀の利上げは米利上げ打止め直後と想定。
その前後で日本株急落・ドル円は急速な円高へ向かうと見ています。