秋なのに・・・2
やばい話のつづき・・・・・です。
グビッと凍結寸前のビールを飲み干したA君、ぶるっと身体を震わせて。
「あのオヤジ・・・冷やし過ぎだって! だからイギリス人が寄り付かないんだよー」
「隣のティムな、あいつ温かいビール好きだもんな、気持ち悪!」
「ほっとけよそんなもん、あいつの自由じゃないか!」
「はいはい、そうでした・・・・・ってお前何か忘れてないか」
「・・・あ、続きな、やばい話の・・・」
(やっぱり、やばいのか・・・)
「んでな、俺の部屋に御厨子あんだろ。(小さな仏壇のような入れ物で仏像や経典『巻物など』を納める容器)あれから遠くへ遠くへ持っていこうとするんだよ何かが・・・であっち行ったりこっちへ跳んだり・・・」
「ごめん、やっぱ夢だと思うぞ俺は・・・」
「違うって、夢ならなんで俺が固まって寝てる俺の姿を見下ろしながら、部屋ん中飛び跳ねてんだよー」
「なんだとー!お前が寝てるお前を見下ろしながらぶっ跳んでんのか?」
「そうなんだよー怖くてちびりそうだってのによ、俺、見ちゃったんだ」
「何を?」
「部屋の天井の一番端の一角がぽっかり空いててさあー・・・そこに吸い込まれそうになるんだよーー!」
「な、なんと・・・夢だって言えよ夢だって、今なら許すからさあ・・!」
「最後まで聞いてくれるって約束したろ?ビール要らないのか!」
「い、いる・・・」
二人は指先を小刻みに震わせながら、おまけにあちこちビールをこぼしながらグラスに注いで飲み干した。
そして再開!
「で、・・・」
「そうな・・・・・・で空いてしまった向こう側が見えたんだが、きれいな星空だった」
「バカ言え、今日はずっと曇ってんじゃねえの昼間っから・・ずっと」
「だからヤバいんじゃないか・・・ただの空間とか星空じゃないってことだろ?」
「そう・・・そうかな?」
「なんか意味もなくそこに吸い込まれたら最後だって、そう感じたんだ」
「馬鹿野郎!吸い込まれてんじゃねえよ!頑張れよ!」
「あ、ああ、で俺おかしなことに気が付いたんだ」
「なんだよ・・・」
「その空間に吸い込まれそうになるんだけど、その途中に御厨子があってそこの前を通ろうとするとスピードが落ちるって発見した」
「それだ、それそれ、何とかしろ!」
「分かってるよ、俺、父さんや兄貴が実家でやってるように、手を合わせてみたんだ」
「その・・・お厨子にか?」
「そうだ・・・」
「そしたら・・・」ごくっと唾を飲み込む音がした。
「噓みたいに、跡形もなく空間が消えた!!!」
「お前、やったじゃん!偉いよ、やったやった!」
「おう!やったやった!・・・ビールあと2本飲む?」
「飲む飲む!このままじゃ眠れないよー!」
A君が降りていく、トントントン。
続きます・・・。怖かった?
いつものように応援のほどよろしくお願い致します。(^^♪