今週末もコンサート遠征
この週末は京都市響のコンサートのために京都遠征であるが、その前日に別件で大阪に立ち寄る。出かけたのはザ・シンフォニーホールで開催される大阪交響楽団のコンサート。永らく低迷していた大阪交響楽団だが、近年は山下一史を迎えてから上昇機運にあるのを感じている。その現状を確認しておこうかという考え。
金曜日の仕事を早めに終えるとまずは大阪へ。やはりここのところ本業の疲労が半端なく、車内ではほぼ意識を失った状態で大阪に到着する。
福島に到着したのは開演1時間半前。やや際どい時間ではあるが、夕食のために少し足を伸ばすことにする。夕暮れの聖天通りをフラフラ。立ち寄ったのは先週に続いて「イレブン」である。
店内には客が多い。この店は移転してから明るい店内に常に多くの客が押しかけるようになっている。あの薄暗い将棋会館からの移転は正解か。今までは昼の来店ばかりだったのでランチを注文していたが、今日は久しぶりに「バターライスの大盛り(1100円)」を注文する。
いわゆる洋風炒飯というものだが、味付けは明らかに洋風でバターの風味が漂う。これが非常に美味い。さすがに洋食屋だけあって、そこらの喫茶店のピラフなどとは一線を画している。
美味い夕食を堪能しきった頃には既に開場時刻となっているのでホールへ急ぐ。ホールに到着するとしばしアイスコーヒーでマッタリ。どうも最近はこういう贅沢が習慣になってしまって、私も随分と堕落したものである。
しかし今日はあまりユッタリとしている時間がない。コーヒーを飲み干すとすぐに席に向かうことにする。私が確保したのは3階席の前列。いわゆる見切れ席になる。オケを横手から見下ろす感じになる。やはり大阪交響楽団にあまり大枚はたく余裕がなかったというのが本音。場内の入りは5~6割というところか。1階席前半分はほぼ満席、後ろ半分は半分が空席。2,3階席も入りは半分程度。2階正面席の後列に空席がまとまって大量にある。
大阪交響楽団 第278回定期演奏会
[指揮]山下一史
[管弦楽]大阪交響楽団
リヒャルト・シュトラウス:
組曲「町人貴族」op.60(ピアノ:原 由莉子)
交響詩「ドン・ファン」op.20
交響詩「死と浄化」op.24
今回はR.シュトラウスの作品集。プレトークで山下が「果物が腐りかけが一番甘いように、音楽も無調性になる手前ぐらいが一番甘い」という類いのことを言っていたが(無調性音楽はやっぱり腐ってるのか?(笑))、まさに今回のR.シュトラウスメニューはそんなところか。一曲目の町人貴族は元々は演劇の音楽で、この演劇は劇中劇としてオペラ「ナクソス島のアリアドネ」を含むという独特の構成を取っていたらしい。しかし演劇の中にオペラを含むという形式は、演劇ファンとオペラファンのどちらのファンにも不評で初演は大失敗に終わったとか。そこで後にそれぞれの作品を独立させたという。
ステージ上はかなり特殊な編成になっている。室内オケ的な規模の弦楽陣に二管編成。協奏曲というわけでもないのだが、ピアノとハープが鎮座している。R,シュトラウスと言えば、巨大なオケで多彩な音色を駆使するイメージがあるが、本曲が小編成なのは小劇場での上演を想定していたからだとか。ただ編成は小型であるが、やはり音色は極めて多彩であって変化が大きい。
この曲は各奏者のソロ演奏に近い部分が多々あるのだが、それが結構美しい音楽を奏でる。正直なところ「大阪交響楽団にもこれだけ出来る奏者がいたのか」というのが本音。小編成であることもあって全体のアンサンブルもまとまっており、なかなかに聴かせる演奏であった。
前半終了すると休憩時間の間に私は2階正面の空席の方に移動する。これだけ空席が多いと迷惑にもならないだろう。私と同じ行動をとった者が数十人はいるようで、前半は空席だらけだった2階正面席後部に結構な観客が来ている。
休憩時間中にステージ上は大幅組み替え。通常の14型3管編成の配置に模様替えである。
後半一曲目は「ドン・ファン」であるが、これはもう冒頭からバリバリと来る。しかしこうして聴くと間違いなく大阪交響楽団のアンサンブル力が向上しているのを感じる。この曲の冒頭のような素早い旋律だと、以前ならアンサンブルが崩壊して音色が濁りまくるのが常だったが、今回は完璧なアンサンブルとまでは言わないが、破綻のない演奏を聴かせている。
元々が元気めの曲であることから、山下もかなり煽るし、オケもそれに答えてバリバリと演奏する。かなり元気の良い演奏であって割れる寸前の大音響(時には明らかに割れた場面もあったが)でブイブイと気持ちよく奏した印象である。
二曲目は「死と変容」。そのタイトルから静かな荘厳な曲かと思えばさにあらず。山下は相変わらず先程と同様に煽る煽る。そしてオケもブイブイである。正直なところ「死と変容」と言うよりは、「復活と再生」ってイメージがあるのだが、まあそれも良しか。
とりあえずかなりノリの良い音楽を聴かされたという印象であるが、間違いなく大阪交響楽団は実力を付けて上り調子にあるのを感じた。この調子で進化したら侮れないところだ。
今日は京都で宿泊
コンサートを終えると明日に備えてホテルに移動。今日の宿泊は明日の早朝から行動するのに合わせて京都に確保している。京都の私の定宿の一つチェックイン四条烏丸。このホテルもかつてはかなり安かったのだが、昨今のインバウンドの煽りで近年はかなり宿泊料金が高騰している。今回は京都を中心に活動することから、やむなく清水の舞台から紐無しバンジーである。
ホテルは烏丸駅最寄りであることから阪急で移動することにするが、ザ・シンフォニーホールから阪急梅田駅は遠い。JR大阪でも結構遠いのにその先である。なんだかんだで徒歩20分ほど。疲れた。
阪急で梅田から烏丸まで移動。ホテルは駅からすぐのところである。それにしてもこのホテル、交通の便の良いところにあるにも関わらず、1階のテナントだったセブンは撤退、2階に入っていた飲食店も撤退と寂れムードが半端ない。以前なら1階のセブンで夜食などの購入が出来たが、今はそれが不可なので向かいのローソンに立ち寄ってからチェックインする。
確保したのは狭小和室。布団を敷いたらそれで一杯の上に窓もないという部屋である。昔はこの部屋だとかなり宿泊料が安かったんだが、昨今のインバウンドの悪影響で、ここの宿泊料金もうなぎ登り、今では清水からバンジーしないと払えない状況に・・・。なんだが、あちこちとあからさまにコスト低減やっている状況(自動チェックインシステム導入でフロント人員を削減している)といい、宿泊料上げてもそれが経営に好影響しているようには見えないのが何とも・・・。
とりあえず仕事環境構築してから夜食をとって一息つくと、何はともあれ大浴場に入浴に行く。これがこのホテルの数少ないメリット。露天風呂で体を温めつつ、しっかりとほぐしておく。
部屋に戻るとしばしマッタリ。現在改装記念とのことでオンデマンドが見放題になっていたが、そもそも見るべきものもなし。まあ「銀河鉄道999」とか「美少女戦士セーラームーンR劇場版」とかがあったのには驚いたが。共に私がまだ若き頃の作品で私の青春そのもの。どちらも往年の名画ではあるが、まあ今夜更かししてまで見る気もしない。そうこうしているうちに夜もかなり更けてきたので、この日は就寝する。
この遠征の翌日の記事