教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

3/10 TBS系 世界遺産「奇妙な生き物たちの島!マダガスカル」

固有種の宝庫のマダガスカル

 アフリカ東のマダガスカル島は様々な固有種が生息する地域である。マダガスカルには原始的な猿であるキツネサルの仲間が多種生息している。動植物の9割はこの島だけの固有種である。


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 東海岸は湿った熱帯雨林であり、年間降水量は日本の2倍に達するところもある。ここにインドルという体長90センチもある最大のキツネサルが生息する。またラノマファナ国立公園の森林にはゴールデンタケキツネザルという猛毒を食べるサルがいる。彼らが食べる竹の芽は栄養は豊富であるが、人間の致死量を超える青酸が含まれている。彼らは栄養を摂るために毒素を分解する酵素を獲得したのである。またこの森林には70種ものカメレオンが生息する。そして夜行性の手のひらに載るぐらい小さいキツネザルがブラウンネズミキツネサル。このような小型のキツネザルが元々のキツネザルであり、かつてマダガスカルが大陸から分離した時に、孤立した島の中で彼らが多様に進化したのだという。

 

 

針の山で暮らすキツネザル

 島の内陸は徐々に乾燥地帯となる。ここに生えるのがトゲトゲで金棒の木とも言われるアルアウディア。この地域で一番高いこの木の上で暮らすのがヴェロシファカというキツネザルの一種。原始的な彼らは体温調節機能が弱いために、朝は日光浴で体温を上げないと動けない。背が高いこの木は日光浴に適しているから住処とした。体が温まると森に降りて植物を食べる。

 西海岸は乾いた大地の広がる乾燥地帯。乾期には6ヶ月も雨が降らない地域で、乾燥に対応したバオバブの巨木がそびえる。茶色の固い殻に覆われた実が生るが、その果肉は実は食べられるという。シャキシャキとして甘酸っぱいそうな。川に沿ったツィンギ・デ・ベマラハ国立公園には、石灰岩の浸食で出来た針山のような地形が存在する。この剣山の先端で暮らすキツネザルがフォンデアデッケンシファカである。彼らはこの剣山の上で日光浴をする。天敵であるフォッサはこの岩山を登れないことから、彼らにとっては安全地帯なのだという。身体が温まるとフォッサがいないことを見計らって森で食事を摂る。

ツィンギ・デ・ベマラハ国立公園の剣山

 かつては島の南端には巨大鳥(ダチョウより大きい)であるエピオルニスが生息したが、これは人間の狩猟で絶滅した。まだ体長1.5メートルにも及ぶ巨大なキツネザルであるメガラダピスも生息したが、住処である森が開墾されたことで生息域が激減したことで絶滅した。17種のキツネザルが絶滅したという。今や本来の姿を残す森は全体の8%に過ぎない。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・マダガスカルの動植物の9割は固有種である。
・特に他種のキツネザルが生息する。
・島の東の熱帯雨林では最大のキツネザルのインドルや、猛毒のある竹の芽を食べるゴールデン竹キツネザル、また加賀田のブラウンネズミキツネザルなどが生息する。
・内陸の乾燥地帯のトゲトゲの巨木、アルアウディアの上ではヴェロアシカというキツネザルが、西海岸の石灰岩の浸食で出来た剣山の頂上ではフォンデアデッケンシファカが生息している。
・かつては巨大なキツネザルも存在したが、開墾による森の現象で絶滅した。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・マダガスカルはかなり古い時代に大陸から分離したので固有種が進化したようです。同じような環境はオーストラリア大陸にもありますね。あちらは有袋類が独自進化をした。

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