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ジェシカのサブとして、ジェニーが教室に現れた。私にとっては、初めての先生。(先月、私がクラスを欠席した日も、彼女が教えたらしい)。
ジェニーはブロンド。日焼けをして、ピチピチで、バレエスタジオよりも、ビーチが似合うタイプ。
真っ白なレッグウオーマーをつけた足は若々しくて、憎たらしいぐらい、自信満々だった。
クラスメイトのアビゲールが、私を見つけるなり、小走りで近づいてきた。
映画監督であり女優の彼女は、処女作が無事にプレミアを終了したばかり。屈託のないアビゲールの笑顔を見ていると、私は楽観的になれた。
「Chigusa! ありがとう!寄付金、とても嬉しかった!」アビゲールは、呼吸困難になる程、私を強く抱きしめた。
「大成功、おめでとう!映画、すごく気に入ったわ! あなたには、才能があるって思った」私は、アビゲールの映画を観て、感じたままを言った。「でも、あなたが、あんなに悪い子だとは知らなかった。がっかりよ」と、私は冗談っぽく言った。
「あれは、キャラクター!私とは、別人!」と、アビゲールはシャイな笑顔を作り、私を突いた。
私は、アビゲールの映画サイトで、彼女のプロファイルを読んでいた。それで彼女が、3年前に交通事故で脳挫傷を起こし、手術を数回にわたって受けていることを知った。
一度は寝たきりの人生を覚悟した彼女が、映画の台本を書き、人と資金を集め、撮影をして、プレミアまでこぎつけた。
好きな仕事や、結婚する事、そしてバレエレッスンを続ける事も。アビゲールは、何ひとつ諦めなかった。
ジェニーは、簡単に自己紹介を終わらせて、ステップの順番を見せた。それで私たちは位置についたけれど、音が出てこない。
ジェニーは音響機器に慣れていないのか、ようやく流れたのは、ジェシカがいつもタンデユで使っている曲。
それは、プリエにしては慌ただしく、私たちは急いでバーに手を置いた。
ジェニーは、その後も音出しに苦労したから、汗をかいても身体が冷えてしまい、気分は白けた。
私たちはレッスンとレッスンの合間に、長いストレッチをして、時間をつないだ。
それでも、誰も文句を言わなかったし、表情も穏やかだった。
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