2021/12/17

Tommy Tate ('81)

A1For the Dollar BillB1This Train
A2On the Real SideB2I Just Don't Know
A3Listen to the ChildrenB3Let Me Entertain You
A4Castles in the SkyB4We Don't
 フレデリック・ナイトがプロデュースした、おっさんソウルです。
 例によって、フレデリック・ナイトのセッションに招集されるおなじみの面々が伴奏を担当します。ただし常連のフレッド・ノブロックは呼ばれませんでした。

 ナイト「おうノブ、今回のギターはジマーマンに弾いてもらうから」
 ノブロック「え、どうしてオレじゃないんすか」

 というやりとりから、かの名曲「ホワイ・ノット・ミー」が生まれたとか。ともあれのっけのA1から、いかにもフレデリック・ナイトらしいサウンドです。どうですか、この何とも言えない野暮ったい雰囲気は。ピュンピュンとかポンポンとか、ファミコンだってもっとマシなんじゃないかって思えるようなショボくれたシンセサイザーの効果音がたまりませんね。

 本作いちばんの聴きどころはA2でしょう。ゆったりとしたテンポで、心がホッとします。大きな浴槽のお風呂で、手足を伸ばしてリラックスしている気分。

 A4はTuwanda Tyrellとかいう女とデュエット。この頃、ソウル音楽シーンにありがちだったロマンティック男女デュエットとして、なかなか手堅く仕上がっています。しかしそれでもなおほんのり演歌っぽい香りが漂ってしまうあたり、フレデリック・ナイトらしいというか。

 そしてもっともフレデリック・ナイトらしさが発露したのがB3。これだ。これですよ。

 ドラマティックなトラックをオーラスに配置して、全体の印象を底上げするハリボテ戦法はC・L・ブラストの"I Wanna Get Down"と同じ、いつもの手口ですな。B4がフェイドして終わるときの、何とも言えない味わい。

 何だかんだ言っても、明快な自分のカラーを打ち出してくるプロデューサーは強い。フレデリック・ナイトが絡んでいるレコードを見かけると、むしょーに買いたくなってしまう私なのでした。
★★★

Produced by Frederick Knight

Recorded at Malaco Recording Studio, Daily Planet Recording Studio, Boutwell-Wood Recording
Guest Vocalist: The Controllers and Tuwanda Tyrell

Musicians
Bass: Ray Griffin
Guitar: Michael Ward, Dino Zimmerman, Michael Toals
Keyboards: Carson Whitsett, F. Knight, Carl Marsh
Drums: Blair Cunningham, James Robinson, James Stroud
Synthesizer: Carl Marsh
Horns and Strings Arranged by Mike Lewis

Engineered by James Griffin, Wolf Stephenson, Bobby Manuel and Tony Wachter
Mastering: Sterling Studio
Photography: Bill Ray, Jackson, Mississippi
Design: Bob Heimall

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