※ストーリーの核心についてのネタバレはないので安心して読んでね!
人狼がネットで流行り始めたのっていつからだっけ~と思って調べたら想定より昔で時の流れに震えてる。インターネット老人……。
昔から人狼には興味あったけど、友達いないし人狼用サイトも初心者には敷居が高くてずっと見る専だった。
そんな社会不適合者でも安心して人狼を楽しめる1人用人狼ゲーム”グノーシア“の紹介をします。
ゲームの基本
ゲームの基本的な流れはほぼ人狼と同じ。
人狼は有名なので今更ルールとか説明不要な気がするけど軽く説明しておく。ざっくりだけど。
- 村人、人狼など、それぞれに役職のカードを配る
- 人狼同士はゲーム開始時点でお互いを知ることができる
- 毎日の話し合いでその日誰を処刑するか決める
- 人狼は一晩に1人だけ襲撃して消すことができる
- 人間は人狼を全員処刑すれば勝利
- 人狼は人間の数が自分たちの同数以下になれば勝利
- 人間の中には特殊な能力を持つ者がおり、それを使って人狼を炙り出すことができる
- 人狼も能力を持ってるフリをして議論を混乱させることができる
グノーシアも名称は違うが人狼と同じように役職が存在する。
役職名(グノーシア) | 役職名(人狼) | 説明 |
---|---|---|
乗員 | 村人 | 特に能力を持たない人間 |
グノーシア | 人狼 | 人間に化けた人外で一晩ごとに1人人間を襲撃する |
エンジニア | 占い師 | 一晩ごとに1人だけ調べて人間か人外かを判別できる |
ドクター | 霊媒師 | 投票の結果消えた者が人間か人外かを判別できる |
守護天使 | 狩人 | 一晩に1人だけ襲撃から守ることができるが自身は守れない |
留守番 | 共有者 | 2人1組の生存者 |
AC主義者 | 狂人 | 特に能力を持たない人間だが、人外側の味方 |
バグ | 妖狐 |
勝負が決するまで生き残れば一人勝ちになる 襲撃されても消えないが、エンジニア(占い師)に調べられると消滅する(調査結果は人間と判定される) |
一般的な人狼のルールは一通り網羅されているが、以下のような相違点もある
- 留守番は必ず人間であり、グノーシア等が騙ることは不可能である
- 留守番は2人揃っている状態でないと名乗り出られない
- 守護天使は名乗り出ることができない、つまり騙ることも不可能
- 偽物のエンジニアやドクターが現れた場合、本物は必ず名乗り出る必要がある(名乗り出なくても議論は進むが、今後一切名乗ることは不可能になり、偽物が本物認定される)
あらすじ
宇宙船の中で目覚めた主人公は記憶を失っていた。何が何だかわからないままセツに導かれ、グノーシア汚染された人間を見つけ出すための議論に参加することになる。
グノーシアとは人類の敵であり、人に化けて紛れ、人間を消していく謎の存在。
議論を行って投票先を決め、投票数の一番多かった人をコールドスリープする、という方法でグノーシアを炙り出していくことになる。
人間とグノーシアの生き残りをかけた戦い、その勝負が決した瞬間、主人公の意識は遠のき、再び目が覚めるとグノーシアが発見された日に戻って来ていた。
主人公はこの世界をループしていることに気がつく。しかもループするごとに顔ぶれや役割は変わっていた。
同じくループを繰り返すセツとともに2人は議論を生き抜きながらループとグノーシアの謎を解き明かしていく。
作り込まれたストーリー
主人公とセツはループを繰り返しているが、2人のループする順番は異なっているという設定がある。
この設定のおかげでセツに別ループの記憶がなくても矛盾にならないようになっている。また、このループの順番が異なる設定は、その後のストーリにも活かされているため、単なる矛盾を解消するためだけの設定ではない。
そしてループもただ人狼ゲームを楽しむためだけの装置ではなく、ループすること自体が物語の鍵となっている。
なぜループするのか?グノーシアとはそもそもどういう存在なのか?そしてループを抜ける方法は?といった謎を人狼ゲームをしながら徐々に解き明かしていく。
ストーリーを進める中で様々なイベントを見ることになり、その中には一見本筋には関係ない用に思えるイベントもあるが、それが後の伏線となっていたりとかなり細かく作り込まれている。
ストーリーが進むごとに新たな謎が生まれることもあるが、それらの謎もエンディングを見れば解き明かされる作りとなっている。
バラバラに思えるピースがエンディングでひとつに繋がったとき、驚きと達成感、そして感動を得られるだろう。
こんなに完成度の高い作品なのに制作スタッフ4人だけらしくて、スタッフロールめちゃ短くて思わず笑ってしまった。
少ない人数でここまで作り込まれた作品を完成させるのはすごいことだよ!
4人しかいないので大変だとは思いますが、いつか設定資料集出してください!土下座しますから!沙明が!
成長要素
基本的に人狼で他人を説得するのに必要なのはロジックだ。
グノーシアでもロジックは大切だが、それだけでは生き残れない。
そもそも、主人公がコールドスリープしたり、襲撃されればループは終わり敗北となってしまう。つまり、生き残った上で勝利しなければならない。
そこで重要となるのがステータスの存在だ。ループするごとに経験値を入手でき、上がったレベルを以下6つのステータスに割り振ることができる。
カリスマ |
自分の意見にみんなが感化されやすくなる |
ロジック |
かばったり疑ったりしたときに相手の信頼度に大きく影響を与えられる |
直感 | 相手の嘘を見抜きやすくなる |
かわいげ |
疑われたときに下がる信頼度や友好度を軽減する |
演技力 |
かばったり疑ったりしたときに相手の友好度に大きく影響を与えられる また嘘をついているときに見抜かれにくくなる |
ステルス |
ヘイトを集めにくくなる 黙りすぎ、喋りすぎでも投票されにくく、グノーシアにも襲われにくくなる |
ステータスが上がると議論で使えるコマンドも増える。
エンジニアの報告等から「絶対に人間だ」「絶対に敵だ」と指摘して投票先を誘導したり、疑われた時に「哀しむ」で同情を買ったり、さらにはコールドスリープが決まったときに「土下座する」で一発逆転を狙ったりもできる(成功するとは言っていない)
直感で嘘つきを見抜く、という人狼としてはある意味反則的なステータスも存在する(見抜いてもみんなに信用してもらえないと意味がないので、これだけでは勝てないが)
主人公以外のキャラクターにもステータスが設定されており、ロジックの低いキャラは論理破綻を起こしやすく、かわいげの高いキャラはかばわれやすい、などの形で議論に反映されている。
初期はステータスが低いので、議論の進め方に気をつけないと喋りすぎor黙りすぎで疑われたり、グノーシア側を厳しく追及しすぎて襲撃されたり、確定で黒なのに議論をうまく誘導できずに投票が集められなかったり……となかなか上手く進まない。
ループが進めば主人公のレベルは上がっていき、自分の好きなようにステータスを割り振ることができるようになる。
そうなれば議論はだんだんと簡単になっていき、すぐに無双できるようになる……わけではない。
ループを繰り返し、イベント解放するとキャラクターの特記事項というバックボーンがわかる項目が解放されていく。
そうするとキャラクターたちのパラメーターが上昇したり新しいコマンドを使ってくるようになる。
例えばジナは初期は突出した部分がなく低ステータスだが、ある特記事項を解放すると直感が大幅に上昇する、初期ではククルシカくらいしか使わない「哀しむ」は最終的にはオトメやレムナンも使用するようになる、などがある。
ループは作業感が出てしまいがちだが、キャラクターが成長することで緊張感を保てる作りになっている。
性格と議論
議論にはステータスだけでなく、キャラクターの性格や仲の良さも反映される。
キャラによっては好き嫌いで投票先や襲撃対象を決めたり、嘘が下手なのにやたらと役職を騙ったり、怪しいとわかっていても仲の良い相手だったら庇ったりと、なかなか普通の人狼では味わえない議論の展開を見せる。
キャラクターには友好度と信頼度がそれぞれ設定されており、信頼度はループごとにリセットされ、友好度は若干引き継ぐ。
信頼度は、そのキャラをどれくらい信頼しているか、疑っているかの値であり、議論によって変動する。
友好度は単純な好き嫌いで、かばわれたり自由行動の時間に会いに行くことで上昇する。
さらには議論で発言するたびヘイト値(注目度)が上下する。喋りすぎても黙りすぎても疑われるので、自分のステルス値に合わせて発言量を調整する必要がある。「名乗り出ろ」等のコマンドを使用したときも注目度を上げてしまうので、状況によっては自ら名乗り出るまで待つのも必要だ。
キャラクターの思考ルーチンには信頼度と友好度のどちらを重視するかも組み込まれているようだ。それにより製作者すら予想できない結果を生み出すことがある。
豊富なイベント
ある程度ゲームが進むと、ゲーム開始時に自分の役職やグノーシアの数などを指定でき、色んなパターンを楽しめるようになる。
自分がグノーシアで人間たちを騙してもいいし、バグで一人勝ちを狙ってもいい。
時には身内切りも有効な手段。ちなみにキャラクターも状況によっては容赦なく身内切りしてくる。
イベントはシナリオ上必須なもの以外にも多数用意されており、それらを見るためにイベントサーチ機能でイベントの起きやすい条件を検索できるようになっている。
例えば特定の相手をかばうと発生したり、負けなければ見られなかったり、更には敵だとわかっている相手と協力関係を結んだ上で負ける、と少々難易度の高いイベントもある。
基本的にイベントは一度見たらもう二度と見ることができないし、全てを網羅することは難しいので、クリアした人もまだ見ていないイベントが存在するかもしれない。
かくいう私もまだ全部見れていない気がする。
まとめ
アナログゲームである以上ゲームとしては地味になりがちな人狼を、SF的な世界観と個性豊かなキャラクターたちによって彩り、緻密に練られたストーリーがプレイヤーを引きつける名作。
また、処刑をコールドスリープに置き換えた上に、キャラクターは個性的かつ不快感がなく、コミカルなシーンも加えていることで人狼から殺伐感を上手く抜いて、全体的にマイルドに仕上がっている。
チュートリアルも丁寧で人狼をよく知らなくても、段階的に理解できるような作りになっている。
人狼は面白いんだろうけど、熟練者と初心者の間に大きな溝があって、役職や基本ルール以外の暗黙のルールまで把握していることが必須となっている節がある。
人狼をやろうとして、わけが変わらないまま速攻で吊られたりして嫌な気持ちになって辞めてしまった初心者も少なくないと思う。
グノーシアはそんな人にもう一度人狼に触れてもらうためのきっかけとなれる作品だ。
みんなもグノーシアになって人類を消滅させよう!
ん?違う?でも人類はこの宇宙から消滅すべきだと思うし……。