「クスリはイラナイ」
精密検査も受けたくない。手術なんてもっての外。
自分はもう充分に生きたのだから、最期は家族のみんなに囲まれて、安らかに終焉を迎えたい。
切った貼ったや隔離や謝絶。そんな状態のままの最期だけはどうにも勘弁。在宅で人生の終末を
“迎えたい!”
これが私の母親の願いになります。
このことは私の母のみならず、多くの方の願いではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
とはいえ、願いはあくまで願いであって、その前には現実という名の壁が立ちはだかるもの。
入院もイヤ!検査も受けない!主治医なんて必要ない!こうしたことを言い出してしまうと・・・、
・24時間以内に医者の死亡診断書がないと、殺人事件の捜査対象にもなりかねない
・介護保険の介護認定を受けるためには、主治医による意見書の提出が必要になる
・最終末に待っている痛みなどの苦しみの軽減。緩和治療などを受けにくくなってしまう
こうした問題がどうしたってつきまとってしまう。自宅で最期を迎える。
それは現在の日本においては実にハードルが高い、こうしたものでもあるのです。
母の願いになるべく沿った形で残された人生の時間を過ごしてもらいたい。それが私や妻の願いではあるものの、そのためには事前にしっかり対策をしておかなくてはならない。
そう思って色々と調べてみると、私の住まいの近隣に、
「往診診療」
これを中心に行っている医療グループがあることが分かりました。
『メドアグリ』という名の医療グループなのですが、患者と家族の意向にどこまでも寄り添っていく。
患者の意向を無視した強引な治療などは決して行わない。ドクハラめいた脅しのような行為も一切やらない。
家族と一緒に悩み考え、必要なサポートを行っていくのがポリシーとのこと。
母が信頼して止まない鍼灸師さんから、そうした医療サービスがあることを教えてもらいました。
鍼灸師さんのお母さんもお世話になり、最期の最期に少しだけモルヒネを処方してもらい、痛みを緩和してもらったそうなのです。
患者と家族、そして地域に寄り添う医療の実現。そしてそれこそがこれから真に求められていく医療のあり方。
そう思い定めて日々活動を行っている団体がメドアグリ。
料金も含め詳しい説明を受け、本人も家族も皆、納得も得心もいった上で登録し、月2回程度の往診診療をしてもらう運びになりました。
そして今日はその最初の往診日となった次第です。
■強い意志!
往診の医師が来られると、挨拶もそこそこにノーマスクの私の母は、
「先生、私はもう充分に生きたから何があっても覚悟しています。手術もイヤだし、クスリもイヤ。精密検査なんかも絶対に受けたくありません!」
こんな感じでいきなり医師の出鼻を挫くといった挙に及びました。
医者も看護師も笑っていましたが、このことは事前の説明の段階において、私が強く念を押しておいたポイント。
でもそれでは心もとなかったのか、母はダメ押しでいきなり医師に対してそのように告げたのです。先日街の大病院で、
「いつ心停止してもおかしくない状態です」
こんな風に言われて脅かされてしまったことへの母なりの防衛策だった模様です。
往診の医者が、酸素や輸血、造血剤についてはどうですか?医師がそう母に尋ねると、
「そうした外部の力に頼れば、自分で生きようとする力が弱くなってしまいます。先は分かりませんが、今は一切必要ありません!」
こんな感じで拒絶の意志を明らかにすることに終始しました。
医者の側も変わった患者さんだな。そう思ったに違いはありませんが、それ以上深入りをすることもなく、ましてや無理強いなんかをすることもなく、
「検温・血圧・採血・検便・検尿・胸部レントゲン」
こうした最低限のことだけを行ってお帰りになりました。採血や検便、レントゲン検査によく応じたね。私が母にそう尋ねてみると、
「全部イヤ!では医者の方だって立ち場がないでしょう?」
そんな感じで返してくれました。母の強靭かつ柔軟な対応にすっかり感心してしまった次第です。
全身にむくみがあり、歩行が困難な状態を鑑み、しばらくは看護士さんが毎日通ってくれるそうです。
もちろん夜間の緊急往診にも応じてくれるとのこと。
病名もよく分からないので何とも言いようがありませんが、意志あるところに道は拓けていくもの。
そんな言葉を信じて、私もますます全力のナチュラル介護に努めていこうと思います。
また報告させて頂きます。
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