上半球の最後のクォーター(3サイン)についての記事が残っていました。

前回の射手座では「社会全体」が視野に入ってくる壮年期を迎えました。

 

射手座、山羊座、水瓶座は、社会や組織の中における貢献性を意識するサインです。

 

 

集団のために自分の見識や地位を向上させようと切磋琢磨したり(=射手座)

重要な社会的ポジションに就いて、社会運営の主体となって尽力し(=山羊座)

既存社会の問題や課題を批判して、新しい選択肢を提示しようとし(=水瓶座)

 

といった壮年期の問題意識とリンクしています。

 

山羊座や水瓶座の支配星(ルーラー)は「土星」です

土星は社会の秩序や枠組みを定める天体です。

 

山羊座

 

山羊座は「真冬の星座」です。太陽の位置的には「冬至点」と関係します。

厳しい寒さで乾いていて暗い季節ですから、土星とリンクするわけです。

 

 

前の射手座では、社会全体や集団に役立つものを模索しながら

自分の見識を高めるための学びや探求の旅がテーマでした。

役に立ちそうなオプションをいっぱい探索して拾っていた射手座に対して

 

山羊座は「地」のサインですから、現実的に役に立つかどうか?を第一に考えて

実用性の視点からふるいに掛けて、役に立つものだけを選別します。

 

「実際に役立つもの」だけに特化してそれを活用して

社会や組織の「枠組み」「秩序」「ルール」を組み上げます

 

土星が支配星ですから長期的な視野のもとに計画性を持って

マネジメントしながら全体の枠組みやシステムを構築していく仕事人です。

コツコツと長期間の努力を惜しまず、実力を着実に蓄えていきます。

 

 

ヤギが険しい山の尾根を駆け登るように、着実に一歩一歩と

高み(山の頂点)を目指して努力を重ねて、最終的に目標を達成します。

結果として、社会的に高い地位や、重要なポジションを任されます。

(山羊座はハウス理論では10番目のハウス=MCと関連しています)

 

山羊座は、現実の社会や組織を計画し構築して運営する

「権力の主体」となってコントロールする立場を示しています。

いわば、会社や組織や社会における主流派(意思決定のトップ)です。

 

しかし、その高い地位や権力に到達するためには

誰もやりたがらないような地道な努力や膨大な下積みがあるのです。

山羊座はそういう長期的努力を厭わず黙々と続けられる気質です。

それは支配星である「土星」の性質を帯びているからです。

 

さらに、山羊座は「社会」「組織」だけでなく「国家」をも表示します。

権力者(トップ)がいる縦のヒエラルキー構造が明確な「主権国家」

山羊座の示す「保守的な国家観」です。

 

山羊座の場合は、1つの主権国家の中だけで視野が閉じています

これが次の水瓶座(グローバルな視野)との大きな違いです。

 

地位の高み、権力の頂点ではあっても、それは1つの組織や国家といった

限定された狭い領域や閉鎖的な組織の中だけの話です。

なので、気を付けないと「お山の大将」になりかねません。

 

また、役に立つかどうかという実用性だけで判断しがちですから

いわゆる「遊び」や「懐の広さ」に欠け、視野が狭く狭量になりがちです。

真面目で堅実だけども、安定志向でつまらない感じも与えます。

 

また、縦の権力構造やヒエラルキー秩序がガチガチに固まりすぎていると

上からのパワハラ気味になり、何かと息が詰まってしまいます。

 

水瓶座

 

厳格な社会秩序や国家的ヒエラルキーを作り上げた山羊座に対して

既存の枠組みを批判して、それ以外のあり方(オルタナティブ)を模索するのが

次の水瓶座の意識です。

 

水瓶座の支配星(ルーラー)は、古典占星術では山羊座と同じ「土星」ですが

モダン占星術では「天王星」が追加されています。

(水瓶座、魚座、蠍座は 新旧2つのルーラーを持っています。詳しくは「支配星」の記事で書く予定)

 

山羊座と同じく「土星」の扱う社会秩序や国家制度に関わるのですが

そこに「天王星」の変革や革新という側面が強力にプラスされてきます。

 

固定化した権威、既存の保守的な秩序を批判するのが水瓶座の役割です。

 

 

ここから個性的で変わっている、新しい価値や未来的な理想を求める

といった水瓶座らしい特質が生まれてきます。

 

山羊座も水瓶座も「土星」と関係が深いサインなので性質は理性的かつ合理的です。

水瓶座は「風のサイン」であるので、山羊座よりもさらに理論派・情報通の傾向となります。

 

水瓶座の思考は、何が普遍的で理想的な価値を持つか?というところにあります。

ローカルな狭い範囲において実用的な要素だけに縛られていた山羊座と違って

グローバル、横断的、未来を志向する考え方をします。

 

山羊座の示す国家像が「縦のヒエラルキー構造をもつ保守的な主権国家」でしたが

水瓶座の示す社会像は「フラットで横断的=グローバルワイドで相互対等な関係性をもつ

普遍的価値を等しく共有するメンバーによる横の連携(友愛的な連盟)です。

 

水瓶座は「風のサイン」ですから、情報の共有や他者との交流において、どこまでも客観的(中立的)な立場を保とうとする本能があります。

 

なので、人と人との関わり方において、蟹座や蠍座のように「あなたと私」というパーソナリティや感情の深いレベルで「心を通わせて温め合う」という感覚が希薄です

このことが、水瓶座って何だか機械的で非人間的で冷たいという印象を与えることも。

 

水瓶座にとって、自分以外の他者は「みんな同じ」「人類皆兄弟」という「集合」や「集団」として一纏まりに認識するだけで、あの人やこの人という個別性や特殊性に深く分け入って、特殊な関係性を深めることを好みません。

 

いつでも、誰とでも等距離で、公平に普遍的・客観的に接しようとしてしまうがゆえに、いつまで経っても個人的な深い関係がなかなか暖まらないという対人傾向を持っています。

 

特に、月や金星といった情緒的な対人関係を司る天体が水瓶座にあると、そうした対人傾向や恋愛傾向が出てきます。いつまで経っても関係性や心の距離が近づかない感じがするのです。

 

 

 

魚座

さて、牡羊座からスタートした12サインの旅(魂の成長の記録)は

この魚座をもって完結・終了します。

 

射手、山羊、水瓶において、意識は壮年期に到達して

社会や集団において自分がどのように関わり貢献するか?に尽力しました。

 

魚座は人生の最終段階である「老年期」に相当します。

社会や現役から引退して、隠遁して、老衰して死を迎える準備に入るのです。

 

よって、魚座には明確な「自己実現」や「自己主張」の輪郭がありません

「結局私って何がしたいの?」という混乱や放浪をしやすいサインです。

 

魚座のルーラー(支配星)は、海王星と木星ですが

海王星は「個人の自我」「社会の規範」といった輪郭線を解体・溶解して無くし

いわゆる「集合的な無意識」という全体に意識を溶け込ませていく作用をします。

 

 

最初に「牡羊座」で「自我」を持って

「これが私だ!」「あなたとは違う個性よ!」という

明確な「自分の輪郭」「意識の枠組み」を持って地上に誕生した魂ですが

 

老年期になり死の間際になると、「自我の輪郭」が緩んで曖昧になってきて

自他一体の境地=宇宙に溶け込んで帰還していく意識状態に移行していくのです。

 

ちょうど、老人が認知症などで恍惚状態になり、自分と他人の区別が付かなくなり

「私は誰?ここはどこ?」という精神状態になっていくのと似ています。

 

これは、別の視点からみると、「死」によって個人の魂(自我)の輪郭が解体されて

宇宙精神と一体化(魂の母体である集合的無意識に帰還する)ための準備をしている

というふうにも見ることができるのです。

 

こうした「海王星による自我解体の作用」が色濃く働くサインであるため

魚座は何となくボンヤリして曖昧でよく分からないという混乱性を特徴とします。

 

ここから、海王星が管轄するスピリチュアル系やドラッグやアルコールによる

恍惚感やトランス状態といったヤバめの現象がぼちぼち出てきます。

 

「自分と他人を分け隔てる境界線や輪郭」があって無きが如しなのが魚座です。

ゆえに、「他人の感情や思考」が勝手に自分の中に流れ込んできます。

自分と他人を仕切る防御壁が薄すぎるがゆえに、他者の感情にもろに影響されます

 

蟹座や蠍座は、感情的な共感をする範囲が狭く限定・制限されていました。

家族や友人といった近しい身内や特定の親密な相手だけでした。

 

しかし、魚座の場合は、不特定多数の誰にでも共感性のセンサーが及びます

それは、自分と他人を分かつはずの輪郭や境界線が緩すぎるからです。

他者の思考や感情が自分の中に侵入してくることを止める防波堤が弱いのです。

 

これは逆手に取ると、「水」=感情的共感性においては無類の強さにもなります。

他者の気持ちを繊細に感受して、気持ちに寄り添い共感できるという点では

無類のカウンセラーや対人サービス能力の高さにもなるのです。

 

また、土星が形成した「社会規範」や「ルール意識」を曖昧にして解体していくのが

海王星の融解作用ですから、魚座に天体が過剰にあると、

社会のルールや規範を無視するアウトロー的な傾向性が強まってきます。

 

さて、以上のように、12のサインは

精神的かつ内面(心理)的な成長プロセスを表示するものです。

1つ後ろのサインは、1つ前のサインを乗り越えて、新しい経験を求めていくのです。

 

そして、12サイン全体を広く経験することで、魂の学びと人格化が完成に向かうのです。

そのような魂の成長と経験の道行きを「サイン」が担当しているのです。