丸い野菜を切る
玉ねぎ、トマト、ジャガイモなど、球形に近い形状の野菜があります。
これらの野菜は、角が無いので、置いた時に安定しません。コロコロと転がってしまいます。
この不安定な野菜を、片手で切る方法を考えます。
(私は右手に麻痺があり、上手く動かすことができません。)
前提として、包丁を使います。コロコロと転がる野菜を、いかにして安定させるかが課題になります。
すぐに思いつくのが、「釘付きのまな板」を使う方法です。
野菜を釘に刺してしまえば、転がることはありません。ジャガイモなどには適したやり方です。
しかし、トマトなどの柔らかい果実には使えません。
「濡れ布巾」を使うのは如何でしょう?
重ねた濡れ布巾ならば、トマトを支えることができそうです。
しかし、濡れ布巾を使ったら、片付ける時に洗って乾かす手間が掛かります。場合によっては殺菌、漂白も必要になります。
完全に乾かして保管しないと、雑菌やカビが繁殖してしまいます。
体に障害があると、布巾を清潔に管理するのは大変です。
たまにならば良いでしょうが、毎日布巾を用意するのは、ちょっと無理です。
「専用の道具を使う」
ネットで検索したところ、二つの自助具(?)を見つけました。
☆ワンハンド調理台 RF1461 価格 18,810円
RF1461は機能が複合されたまな板です。特に、物を押さえるための固定器があり、切るものを挟み込めます。正攻法で考えられたツールです。
このツールは、使っている時は便利なのかもしれませんが、片付けることを考えると、どうかなと思います。
ワンハンド調理台のサイズが大きく、片付ける時には、苦労しそうです。
スウェーデン製の自助具なので、大きな食器洗浄機を前提としているのかもしれません(知らんけど。)
値段は高い。ちょっと買う気が起こらない ほど。
☆クックサポ120 / AYC-120 価格(定価 9500円 税別)
この商品は、「転がりやすい食材を安定させて安全・簡単に調理が出来る」というふれ込みで販売しています。
比較的ポピュラーなものらしく、種々のショップで販売しています。NHK の番組でも紹介されたみたいです。
この「クックサポ120」ですが、その形状から、もの(野菜)によっては、サイズが合わないように思います。サイズが合わなければ、ガタが発生し、上手く使えないような気がします。
(うーん。どうなんだろう?)
説明書がないので、片手で使えるかどうかが分かりません。
ちなみに、NHKの番組では、両手で使っていました。
詳細がよく分からないので、買ってみようかと思います。
買いました。
楽天市場の福祉・介護用品 ゆい というショップを利用しました。横浜に会社があります。
値段は送料込みで 8163円です。
午前中に注文し、翌日に届きました 。(横浜発ー東京都下着です。)
タテ120.7 ヨコ120.7
ギャップー広 29.8mm
ギャップー狭 24.9mm
重さ 361g
箱に簡単な説明書があったので、引用します。
ココカラ
食材を切る場合、包丁の持ち手とは逆の手を添えますが、それが出来ない方、もしくは出来にくい方にとっては、りんごやジャガイモのような丸いもの、又大根やニンジンのような円柱形のものは転がりやすく、最初の一切りが難しいものです。そこでこの「クックサポ」を使用されますと、食材がしっかり安定し、片手で簡単に調理することができます。
ココマデ
つまり「丸い野菜や円筒形の野菜は切りにくいので、 最初の一切りを入れるまで、固定しておく道具」でした。
ちょっとイメージが違ったようです。
まあ、気を取り直して、クックサポ120を使ってみます。
◯りんごを切る
りんごクックサポ120に乗せ
切ります。
包丁を引く(または押す)と、りんごが動いて上手く行きません。
下に押しつけるように切ると、上手く切れます。
切れました。
まな板に乗せて、4分割します。
芯を取るのが、ちょっと難しい。
完成。
◯きゅうりを切る
きゅうりを乗せ
あたまとしっぽを切ります。(あたまとしっぽでいいのかな?)
縦半分に切ります。クックサポ120からきゅうりがはみ出してしまうので、少しやりにくい。
少し、遊びが有ります。
まな板の上で、横半分に切り、
さらに1/2に切ります。
出来上がり。
◯トマトを切る
トマトのヘタを取ります。
包丁を入れます。
90°回して、切ります 。
簡単に切れました 。
◯ミニトマトを切る
ミニトマトを中央の穴に乗せ
へたを取ります。
切ろうとしますが、ぐるぐる回って切れません。
どうもミニトマトは切れないようです。
◯評価
りんごは切れました。芯を取るのは難しいので、予め、芯を抜いておくと簡単です。
きゅうりも切れました。
トマトは簡単でした。
ミニトマトは切れません 。
重さは361gです。野菜を切るには十分な重さがあります。
野菜のサイズがバラバラなので、やはり”ガタ”は発生します。
特にきゅうりなど、ガタが有ると正確なカットが出来ません。
色々書きましたが、既製品としては良いように思えます。
まな板の他に、 クックサポ120があれば、野菜のカットがずいぶん楽になるはずです。
それ程売れる商品では無いので、値段が高めなのは、しょうがないでしょう。
~~おわり~~
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もっと、丸い野菜を切る
しかし、もうちょっとなんとかならない?ミニトマトは無理だったわけだし。
と言うわけで、オリジナルな自助具を作ることにします。
◯材料
ステンレス板SUS430
光 SUS 2×200×300mm HS2320
ブランド: 光(Hikari)
価格: ¥1,656 (Amazon)
両面吸盤
uxcell フック 両面 透明 吸盤 ネジ不要 強力フック ネジ不要 壁を傷つけず 穴なし 繰り返し使用可能 9枚入り
ブランド Uxcell
価格: ¥580 (Amazon marketplace)
キャップ付きフェライト磁石
TRUSCO(トラスコ) キャップ付フェライト磁石 外径28.8mmX厚み5.6mm1個入 TFC28R-1P
価格: ¥165 5ヶ使用 (Amazon)
シリコーンゴム栓
アラム
シリコーンゴム栓 下径 29Φmm、上径 34Φmm、1個
内容量1個 下径(Φmm)29 注文コード18820795 品番400111
販売価格(税込) ¥175 5ヶ使用 (モノタロウ)
接着剤 セメダインスーパー X
セメダイン 超多用途接着剤 スーパーX クリア 135ml AX-041
ブランド: セメダイン(Cemedine)
価格: ¥887 (Amazon)
◯工作
シリコーンゴムとフェライト磁石の接着面を、サンドペーパーで荒らします。
セメダインスーパー X クリアを接着面に塗り、10分間乾かします。
重石を乗せて、一昼夜乾かします。
これを5個作ります。
以上で工作は完了です。
◯使ってみる
磁性のあるステンレス板をまな板として使います。(ここがポイント。)
ステンレス板のまな板は普通に市販されています。ただし、販売されているまな板は、304ステンレスなので、磁性はありません。
ここでは、SUS430の板を使います。
入手性により、厚さは2ミリにしました。本当は3 mm 以上が 望ましいと思います。
包丁(熱処理済み)に比較すると、SUS430は十分に柔らかいので、刃を傷めることがありません。
ステンレス板に、両面吸盤を5ヶくっつけます。これでステンレス板が調理台に固定されます。
◯りんごを切る
りんごをステンレス板の上に置きます。
4方から自助具で押さえ抑えます。
切ります。
向きを90°変えて、切ります。
芯を取ります。
できあがり。
皮はむきません。皮にはポリフェノールが含まれていて、体にいいそうです。
◯トマトを切る
トマトをステンレス板の上に置きます。
4方から自助具で押さえ抑えます。
ヘタを取ります。
縦と横に包丁を入れます。
切れました。
◯きゅうりを切る
きゅうりをステンレス板の上に乗せます。
2ヶの自助具を置き、きゅうりを挟みます。
あたまとしっぽを落とします。
きゅうりが少し曲がっているので、横半分に切ります。
それを縦半分に切って
さらに半分に切ります。
出来上がり。
◯ミニトマトを切る
ミニトマトをステンレス板の上に乗せます。
ヘタを取ります。
2方向から自助具で押さえます。上手く固定できないのではないか?と心配でしたが、安定していました。シリコーンゴムがよかったようです。
縦半分に切ります。
切れました。
◯茄子を切る
茄子をステンレス板の上に乗せ、2方向から自助具で押さえます。
萼を切ります。
縦半分に切ります。
水にとり、アクを抜きます。
食べやすいように、皮に浅く切れ目を入れます。自助具で押さえると、安定して切ることができます。
フライパンで火を入れ、茄子のしぎ焼きができました。
◯結論
ミニトマトも切れました。
SUS430の板はかなり柔らかく、傷がつきます。まあ、傷がついたらサンドペーパーで磨けば綺麗になるので、問題有りません。
シリコーンゴムの直径は、適当だと思います。高さがあと3cm有るとベターです。
本当は、ゴムを自在に整形出来れば良いのですが、たぶん、型が必要になります。
(射出成形用の型は、最低40万円くらいします。)
磁石は少し強いような気がします。動かす時に重い。
クックサポ120に比較して、遊び(ガタ)がありません。正確に切れます。
両面吸盤は、片付ける時にステンレス板か調理台のどちらかにくっつきます。
ステンレス板にくっついていた方が片付け易いので、接着剤でステンレス板に貼り付けた方が良いかもしれません。
りんごもトマトも安定して切れたので
めでたしめでたし