父と息子の簿記検定、合格ストーリー

父と息子で簿記を学び、簿記・会計資格の合格を目指すブログ。息子は、日商簿記2級合格を目指します。

全商 第0回 会計実務検定試験(財務会計) 解説

全商 第0回 会計実務検定試験(財務会計)の解説を書きたいと思います。
全商のホームページには問題・解答は公開されていますが解説がありません。おそらく高校生は学校で解説等を見れるのでしょうが、一般受験者には何の情報もないので、微力ながら解説を作成してみます。
間違い等ありましたら、ご指摘のほどよろしくお願い致します。

ところで、第0回って何なのだろう???
本施行前のエキシビジョンみたいなものなのか・・・

第1問 理論(語群選択)

1. 市場販売目的のソフトウェア
(研究開発費等に係る会計基準 四 2、4 参照)

2. 外貨建取引
(外貨建取引等会計処理基準 一 参照)

3. 企業結合の会計処理
(現在、持分プーリング法は廃止されている)

4. 減損会計
(固定資産の減損に係る会計基準 四 2 参照)

5. 連結会計
(連結財務諸表原則 第四 二 参照)

第2問 ファイナンス・リース取引(所有権移転外)

問1 リース料総額の割引現在価値
問題文に従い、追加借入利子率5%の年金現価係数(3年)2.7232を使って計算する。
リース料年額 30,000円 × 2.7232 = 81,696円

 

問2 リース債務の返済予定表
(1) ×9.4.1(リース取引開始時)
貸手の購入価額が不明のため、借手の見積現金購入価額とリース料総額の割引現在価値のうち、少ない額(81,696円)が取得原価となる。

(借) リース資産 81,696 (貸) リース債務 81,696

(2) ×10.3.31(リース料支払時)
解答のコメント欄に書いてある通り、支払利息の算定には、リース債務残高に割引率を掛けて算出する方法と年金現価係数を使ってリース債務返済額を先に求め、支払リース料との差額を支払利息とする方法があるが、問題文に年金現価係数が与えられている場合は、年金現価係数を使って支払利息を求めるのが暗黙の了解となっている。
リース債務 ×9.4.1 残高 81,696円
リース債務 ×10.3.31 残高 30,000円 × 年金現価係数(2年)1.8594 = 55,782円
リース債務返済額 81,696円 - 55,782円 = 25,914円
支払利息 支払リース料 30,000円 - 25,914円 = 4,086円

(借) リース債務
支払利息
25,914
4,086
(貸) 当座預金 30,000

(3) ×11.3.31(リース料支払時)
リース債務 ×10.4.1 残高 55,782円
リース債務 ×11.3.31 残高 30,000円 × 年金現価係数(1年)0.9524 = 28,572円
リース債務返済額 55,782円 - 28,572円 = 27,210円
支払利息 支払リース料 30,000円 - 27,210円 = 2,790円

(借) リース債務
支払利息
27,210
2,790
(貸) 当座預金 30,000

(4) ×12.3.31(リース料支払時)
リース債務 ×11.4.1 残高 28,572円
リース債務 ×12.3.31 残高 リース契約終了なので 0円
リース債務返済額 28,572円 - 0円 = 28,572円
支払利息 支払リース料 30,000円 - 28,572円 = 1,428円

(借) リース債務
支払利息
28,572
1,428
(貸) 当座預金 30,000

 

問3 ×10.3.31(決算日)の仕訳
(1) リース料支払時 上記参照
(2) 減価償却
定額法(間接法)、耐用年数は「所有権移転外」なのでリース期間の3年で計算する。
減価償却費 取得原価 81,696円 ÷ 耐用年数3年 = 27,232円

(借) 減価償却 27,232 (貸) リース資産減価償却累計額 27,232

※ 全商の解答では、機械減価償却累計額となっているが、勘定科目の指定がされていない以上、リース資産減価償却累計額のほうがいいんじゃないかと個人的に思います・・・ が、採点リスクを考えて、許容範囲の明示がされている、ただの「減価償却累計額」がいいかもしれません。

第3問 新株予約権

問1 新株予約権発行時の仕訳
500個 × @10,000円 = 5,000,000円
なお、新株予約権の価額は、権利行使時の出資額とは無関係。

(借) 当座預金 5,000,000 (貸) 新株予約権 5,000,000

問2 権利行使時の仕訳
資本金とする額は、新株予約権と出資(払込)額の合計額。原則的方法なので、全額を資本金としなければならない点に注意する。
なお、出資額は、時価と無関係。
新株予約権 権利行使450個 × @10,000円 = 4,500,000円
出資(払込)額 権利行使450個 × 50,000円 = 22,500,000円

(借) 新株予約権
当座預金
4,500,000
22,500,000
(貸) 資本金 27,000,000

問3 権利行使期間満了時の仕訳
権利行使期間満了時、未行使の新株予約権の価額を「新株予約権戻入益」で処理する。
未行使50個 × @10,000円 = 500,000円

(借) 新株予約権 500,000 (貸) 新株予約権戻入益 500,000
第4問 キャッシュ・フロー計算書(直接法)

(1) 営業収入 2,600

売掛金
前期末 500 営業収入 2,600
売上 3,000 当期末 900

(2) 商品の仕入による支出 △700

買掛金   仕入(売上原価)
仕入支出 700 前期末 400 期首商品 800 P/L 売上原価 1,200
当期末 700 当期仕入 1,000 当期仕入 1,000 期末商品 600

(3) 広告費支出 資料(2)、P/L 広告費より △500
(4) 給料支出 資料(2)、P/L 給料より △300
(5) 配当金の受取額 (未収・前受利息が無いため)P/L 受取配当金より 20
(6) 法人税等の支払額 △200

法人税
当期支払額 200 期首未払 200
期末未払 459 P/L 法人税等 459

(7) 建物の取得による支出 △300

建物
前期末 900 売却 0
当期取得 300 当期末 1,200

(8) 配当金の支払額 資料(3)より △50

第5問 連結精算表

タイムテーブルと連結修正仕訳を書いておきます。

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(1) 開始仕訳
a. 土地の時価評価

(借) 土地 50,000 (貸) 繰延税金負債
評価差額
20,000
30,000

b. 投資と資本の相殺消去

(借) 資本金
利益剰余金
評価差額
のれん
500,000
100,000
30,000
36,000
(貸) 子会社株式
非支配株主持分
540,000
126,000

(2) X2.3.31 当期連結修正仕訳(資本連結)
a. のれんの償却

(借) のれん償却額 1,800 (貸) のれん 1,800

b. 子会社の当期純利益の振替え

(借) 非支配株主に帰属する当期純利益 5,000 (貸) 非支配株主持分当期変動額 5,000

c. 受取配当金の修正

(借) 受取配当金
非支配株主持分当期変動額
4,000
1,000
(貸) 剰余金の配当 5,000

(3) X2.3.31 当期連結修正仕訳(成果連結)
d. 売上高と売上原価の相殺消去

(借) 売上高 960,000 (貸) 売上原価 960,000

e. 商品に含まれる未実現利益の消去(ダウン・ストリーム)

<期首商品>
(借) 利益剰余金当期首残高
繰延税金資産
8,000
3,200
(貸) 商品
利益剰余金当期首残高
8,000
3,200
(借) 商品
法人税等調整額
8,000
3,200
(貸) 売上原価
繰延税金資産
8,000
3,200
(借) 利益剰余金当期首残高
法人税等調整額
8,000
3,200
(貸) 売上原価
利益剰余金当期首残高
8,000
3,200
<期末商品>
(借) 売上原価
繰延税金資産
10,400
4,160
(貸) 商品
法人税等調整額
10,400
4,160

f. 売掛金と買掛金の相殺消去

(借) 親会社買掛金 180,000 (貸) 子会社売掛金 180,000

g. 貸倒引当金の修正(ダウン・ストリーム)

<期首貸倒引当金
(借) 貸倒引当金
利益剰余金当期首残高
1,600
640
(貸) 利益剰余金当期首残高
繰延税金負債
1,600
640
(借) 貸倒引当金繰入
繰延税金負債
1,600
640
(貸) 貸倒引当金
法人税等調整額
1,600
640
(借) 貸倒引当金繰入
利益剰余金当期首残高
1,600
640
(貸) 利益剰余金当期首残高
法人税等調整額
1,600
640
<期末貸倒引当金
(借) 貸倒引当金
法人税等調整額
3,600
1,440
(貸) 貸倒引当金繰入
繰延税金負債
3,600
1,440

h. 貸付金と借入金の相殺消去(それに伴う利息の相殺消去、貸倒引当金の修正)

(借) 親会社借入金 100,000 (貸) 子会社貸付金 100,000
(借) 子会社受取利息 2,500 (貸) 親会社支払利息 2,500
(借) 貸倒引当金
法人税等調整額
4,000
1,600
(貸) 貸倒引当金繰入
繰延税金負債
4,000
1,600

i. 土地に含まれる未実現利益の消去(ダウン・ストリーム)

(借) 子会社土地売却益
繰延税金資産
2,000
800
(貸) 土地
法人税等調整額
2,000
800