相州の、ほぼ週刊、1:1250 Scale 艦船模型ブログ

1:1250スケールの艦船模型コレクションをご紹介。実在艦から未成艦、架空艦まで、系統的な紹介を目指します。

DDH「いずも級」二番艦「かが」到着!

DDH「いずも級」二番艦「かが」の到着

前回で少し予告した通り、海上自衛隊護衛艦のうち唯一、コレクションから欠けていた「いずも級」を入手しました。F -toys製のインジェクションキットです。

今回は本稿としては珍しく(?)予告通り、ご紹介します。

 

例によって、本稿の「海上自衛隊 護衛艦発達史(5) 空母型DDHの登場」の回(2019年10月)で、「いずも級」DDHについて触れた記述があるので、少し関連部分も含めて、再掲しておきます。(全文は下記で)

fw688i.hatenablog.com

 

(以下、抜粋)

全通甲板型護衛艦(空母型DDH)の登場

潜水艦の静粛化、高性能化を想定する場合、多数のヘリコプターを搭載する空母型護衛艦保有は、海上自衛隊にとって、多年の念願であった。本稿で既述ではあるが、遡れば、古くは海上自衛隊発足時に既に米海軍からはヘリ空母として運用可能な小型空母の貸与の申し出があった。

併せて、冷戦終結後の複雑化する周辺の国際状況、非正規軍事勢力への対応等を想定した場合、あるいは要請が高まりつつある国際平和活動、災害救援活動等にも、機動性に富む多数の航空機運用が可能な艦艇の保有は、次第に必要性の度合いを高めた。

こうして、いよいよ海上自衛隊は空母型DDHを中心とした編成の時代を迎えるのである。

 

という前文に続いて、海上自衛隊初の空母型護衛艦「ひゅうが級」DDHのご紹介へと続いています。

 

 DDH ひゅうが級ヘリコプター搭載護衛艦(2009- 同型間2隻)

ja.wikipedia.org

Hyūga-class helicopter destroyer - Wikipedia

海上自衛隊が初めて導入した空母型(全通甲板型)ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)である。最大の特徴は、なんと言っても多数のヘリコプターの運用能力がある事で、固有の搭載機こそ、「はるな級」DDHや「しらね級」DDHと同様に3機であるが、格納甲板には8機分の収納スペースが確保されており、最大10機のヘリコプター運用能力があるとされている。

併せて、護衛隊群司令部の収容に対応する司令部施設も設計当初から組み込まれており、高い通信機能等も保有し、災害時の対策本部機能、海外派遣時の統合任務部隊の司令部機能などへの活用が期待されている。

これらを具現化するために、船体は非常に大型化し、護衛艦としては初めて基準排水量が10000トンを大きく超える大型艦となった(13950トン、30ノット)。

(158mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

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 同級がDDHと規定され、いわゆる通常の航空機の運用に特化した「空母」と異なる点は、Mk.41 VLS 16セルから、対空・対潜ミサイルを発射する護衛艦としての戦闘能力を有し、併せて対潜短魚雷発射管も保有しているところである。

加えて個艦防御用には、2基のCIWS保有している。

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(直上の写真は、飛行甲板最後尾に配置されたMk.41 VLS)

 

DDH いずも級ヘリコプター搭載護衛艦(2015- 同型艦2隻)

ja.wikipedia.org

Izumo-class multi-purpose operation destroyer - Wikipedia

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(200mm in 1:1250 F-Toys 現用艦船キットコレクションをほぼストレートに組んだもの)

前級「ひゅうが」級をさらに大型化し、航空機運用能力や多用途性を強化したものとなっている。「ひゅうが」級の船体を排水量で6000トン、長さにして51m拡大し、搭載機数も固有の艦載機を7機、最大搭載機数を14機とした。(19500トン、30ノット)

一方で個艦戦闘能力は抑えられ、近接戦闘用のCIWS2基とSea RAM近SAMシステム2基を搭載するのみとなった。

ja.wikipedia.org


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(「いずも級」の固有武装のアップ:艦尾に配備されたSea Ram(上段手前)とCIWS。艦首のCIWS(下左)と艦橋前のSea Ram) 

上述のように固有武装を最小限にした背景には、同級はもはや単独での運用を想定されておらず、すなわち常に他の護衛艦を伴い、その旗艦機能を果たすことを想定されていることに準じている。この構想のもと、前級「ひゅうが」級で設定された司令部施設は充実されており、100名規模の統合任務部隊司令部が収容できる多目的スペースを有している。

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(「ひゅうが級」(手前)と「いずも級」の大きさ比較。「いずも級」がいかに本格的かを示している?)

「いずも級」は以降の整備時に艦首部を角形に変形しするなど、固定翼機の配備にも対応できるような改修を施される予定。最大の改修ポイントは、飛行甲板や上部構造物の熱耐性を上げることになると思われる。

 

そして同回では、発展形として空母「いぶき」も、こんなふうにご紹介しています。

 

DDHからDDV(固定翼機搭載型護衛艦)へ 

既に前出の「いずも級」DDH 竣工前から本級での固定翼機搭載の可能性が議論されていた。防衛省の公式見解としては、検討の事実すら否定しているが、本級が最も近い距離にある事は間違いない。

「いずも級」で実現するかどうかはさておき、本稿では既にDDV「いぶき」が登場しており、これを再度紹介しておくこととしたい。

 

ja.wikipedia.org

正確には、本稿での「いぶき」は、オリジナルの設定通り「いずも型護衛艦」にスキージャンプ台形式の飛行甲板をつけたもので、例によって「いずも型護衛艦」のモデルを既に上市されていた3D Printing メーカーさんにジャンプ台の追加をリクエストし、制作していただいた。

www.shapeways.com

製作者のAmature Wargame Figures(Nomadire)は、主として第二次大戦以降のいわゆる現用艦(もしくは計画艦)に多くの作品があり、スケールも実に多岐にわたるラインナップを揃えていらっしゃる。今回のリクエストのような既成モデルの改変、あるいはスケール間のコンバージョンにも比較的気楽に対応してくださるので、大変ありがたく利用させていただいている。

モデルの素材は、White Natural Versatile Plasticというやや柔らかめで粘度のある樹脂で、下地処理をした後、普通に塗装ができる。(私の場合にはサーフェサーで下地処理をしたのち、エナメル塗料で塗装をしています。基本、全て筆塗りです)上掲の写真の通り、マスト、CIWS、SeaRAMなどの対空火器も全て一体整形された完成形で手元に届いた。下記の写真ではマストのみ、F-toys製のストックモデルと交換し、仕上げた。

搭載機も同様、3D Printing メーカーさん(SNAFU Store:   SNAFU Store by Echoco - Shapeways Shops)によるもので、F-35JBの他に、X-47Bという無人機(下の写真では、ブリッジ後方の黒っぽく塗装されている数機)を搭載している、という設定になっている。(多分、オリジナルの設定はそんなことにはなっていないと思います。ヘリはF-toysのモデルから流用)

 

(Ibuki: 26,000t, CWIS *2, SeaRAM *2, F-35JB *15 etc, 202mm in 1:1250)

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(直上の写真は「いずも級」DDH(手前)と「いぶき」の大きさ比較。「いぶき」は「いずも級」の設計をベースにした為、外観や上部構造物の配置は「いずも級」に準じたものになっているのがよくわかる。固定翼機の運用を想定した艦首形状や スキージャンプ台の配置が、架空艦とはいえ興味深い)

kuboibuki.jp

www.youtube.com

 

(これらの内容は前掲の「海上自衛隊 護衛艦発達史(5) 空母型DDHの登場」にも反映しておきます)

 

ドイツ海軍Uボートのコレクションにも新顔が加入 

本稿下記の回で、第二次世界大戦期のドイツ海軍Uボートの各形式についても概論しています。その中で、いくつかコレクションに欠けていたもののうち、II型とVIID型のモデルを入手しましたので、ご紹介します。

fw688i.hatenablog.com

 

沿岸警備用、小型潜水艦:みんな最初はこれで訓練したのかな(?)

II型(A〜Dタイプまで、同型艦60隻)

沿岸警備用に設計された小型潜水艦で、250トン級の船体に艦首部に魚雷発射管3基を持ち、魚雷5本を搭載していました。水上速力は13ノット、水中速力は7ノットで圧壊震度150mとされていました。(いずれもIIA型)

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(II型:U9の1:350スケールモデル。下段右の写真は、II型の特徴である艦首の3門の魚雷発射管。(底辺を上にしたような逆三角形配置なんだけど、ちょっと暗くてわかりにくいかな?)私がずいぶん以前に楽しんだUボートのPCゲームでは、II型の艦長からキャリアをスタートしました)

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from uboat.net

小改良を加えながらIIAからIIDまでの3タイプが建造され、同型艦は総数で60隻でした。大戦初期には北海、バルト海等、近海での作戦行動を行いましたが、大西洋等の遠洋に戦場が移ると作戦従事は困難で、主として訓練用と沿岸警備に用いられました。乗組員は25名でした。

ja.wikipedia.org

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(U9:II型とU552:VIIC型の大きさの比較)

 

VII型派生形:機雷敷設潜水艦

VIID型(同型艦6隻)

VIID型はVIIC型をベースに艦橋後方に機雷敷設のための機雷筒ブロックを挿入した機雷敷設潜水艦で、900トン級のやや大きな船体を持ち、魚雷発射管5基と魚雷12本の他に機雷15基を敷設する能力がありました。機雷敷設ブロックの挿入により船体が延長され、燃料搭載量が増えたため、11200海里という長大な航続距離を持っていました。

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(直上の写真: VIID型の概観:61mm in 1:1250 by Neptune: 下段右では艦橋後部の特徴である機雷射出筒がよくわかります)。

 

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(U214: VIID型の1:350スケールモデル。艦橋後部の機雷射出筒が、よりよくわかります)

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(上の二点の写真は、いずれもVIID型とVIIC型の1:1250スケールと1:350スケールでのそれぞれの艦型比較。いずれでもVIID型がVIIC型をベースに艦橋後部に機雷射出筒関連のブロックを挿入して設計されたことがよくわかります)

 

(これらの内容は前掲の「ドイツ海軍の第二次世界大戦での通商破壊戦:Uボート総覧」にも反映しておきます)

 

ということで今回はおしまい。

少し予告編「北欧諸国の海防戦艦

fw688i.hatenablog.com

上記の回で少し火がついた感のある「海防戦艦」ですが、フィンランド、スウエーデンについづいて、続々とバルト沿岸の北欧諸国のモデルが到着中です。現在、鋭意、ディテイルアップと塗装に構想中、あるいは奮闘中。近いうちにご紹介できるかも。

調べるにつれて(そんなに日本語で当たれる資料もないのですが)、奥が深くて結構面白い。興味深い「脇道」ではありますが、なかなか総覧、というところに踏み込むには・・・。でも、そういう迷走も含め、「脇道探検」満喫中です。

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(直上の写真は、続々と到着しつつある北欧諸国の海防戦艦群。右から、デンマーク海軍「ヘルルフ・トロル級」ノルウェー海軍「ハーラン・ホールファグレ級」同海軍「ノルゲ級」そしてスウェーデン海軍「ドリスへティン」の水上機母艦への改装後のスクラッチ途上の姿。1番左は北欧でも海防戦艦でもありませんが、制作途上のフランス海軍機雷敷設巡洋艦「プリュトン」。ちょっと塗装がワンパターンになってきているかも、という反省がむくむくと湧き上がりつつ) 

 

という訳で、次回はどうしましょうかね。

北欧編は、もう少し時間がかかりそうです。一旦、北欧海防戦艦編で中間報告、ならありかも。

あるいは「第二次世界大戦のフランス巡洋艦」なら間に合うか?

第二次世界大戦シリーズなら、「ドイツ海軍駆逐艦」「イギリス海軍駆逐艦」「アメリカ海軍駆逐艦」などもそろそろという感じ。今、揃っていないのは、かなり難航しそうなので、一旦見切りで?大きな展開としては「日本海軍空母発展史」も、一応、モデルは揃ってきました。

後は、いずれもちょっと纏まった時間が作れるかどうか。

 

もし、「こんな企画できるか?」のようなアイディアがあれば、是非、お知らせください。

 

模型に関するご質問等は、いつでも大歓迎です。

特に「if艦」のアイディアなど、大歓迎です。作れるかどうかは保証しませんが。併せて「if艦」については、皆さんのストーリー案などお聞かせいただくと、もしかすると関連する艦船模型なども交えてご紹介できるかも。

もちろん本稿でとりあげた艦船模型以外のことでも、大歓迎です。

お気軽にお問い合わせ、修正情報、追加情報などお知らせください。

 

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