マルチリンガル医師のよもやま話

マルチリンガル医師の世界観で世の中の出来事を綴ります

MENU

米『日本人がマスク外さない理由』

5類になったからと言ってウイルスの性質が変わるわけではありません。つまり、5類になることとマスクの着用の是非は全く関係ありません。

ま、何かきっけかげないと話が進まないので”ついでに”議論して5月のG7サミットをなんとしてもマスクなしで開催したいというのが総理のお考えなのでしょう。

さて、今回は日本人のマスク着用について、アメリカでどのように伝えられているのか、ニューヨークタイムズの記事*1から学びましょう♪

アジアでもついに

欧米では、そもそも「マスクは病人がするもの」という概念があったり、『個人の自由』を重視する風潮もあり、コロナ禍で着用を促すだけではつけてもらえませんでした。

マスク義務化の流れ

そこで、マスク着用を義務化しました。しかし、自由を重んじる国で『義務』には反発が高まり長くは続けられません。ということで「もうみんなに任します」としたらほとんどみんなしなくなりました。

海外がどんどんと規制緩和に進む中、取り残されたアジアの国々、特に日本・韓国・台湾(旧・日本帝国)は国民からも「もうそろそろマスクよくない?」という雰囲気が大きくなり始めました。

BBC:中国『W杯は別の惑星?』

特に昨年のカタールでのサッカーワールドカップは、アジア人にとっては『別世界』に見えたことでしょう。

カタールワールドカップ

www.multilingual-doctor.com

ハイブリッド免疫

最初は、規制撤廃して自由を得る代わりにある程度大きな被害を受けることになるだろうと思われていましたが、規制撤廃後の欧米を見てみると、意外とそんなにエラいことになっていないことに気づき始めました。

実はこういった国では、既に大半の人が感染していることがわかっており、ワクチンとのハイブリッド免疫を持つ人たちが多く、甚大な被害が避けれていることがわかってきました。

ハイブリッド免疫

日本は国民一丸となって徹底した感染予防対策で、当初の致死率の高い時期も少ない被害で乗り切りました。現在の”瞬間最大風速”だけを切り取って「日本は世界一の感染者と死者数」とかいうア〇な意見もありますが、その人たちはマスクやワクチンを否定したいだけです。

日本は死者が少ない

一方で、感染予防対策を続けた日本は、ゆーーーっくり感染者が増えるため、ハイブリッド免疫を持つ人もゆっくり増えています。ゆえに、どうしてもコロナ禍が長引いてしまう要因となっています。

後遺症などを考えると、積極的に感染するのは決して勧めませんが、致死率が相当低くなった今、予防レベルを『通常モード』に落として、「普通に生活してかかっちゃう分はしゃーない」と割り切る時期にもう入っています。

ハイブリッド免疫について

www.multilingual-doctor.com

マスクルール緩和も

さて、日・韓など東アジアの国々でも、遅ればせながらマスクを外す話が出てきました。しかし、政府がマスクルールを緩和しても、すぐにはマスクを外すことはなさそうです。

すぐには外さないだろう

実際、韓国では1月末から、病院や交通の公共施設を除いた屋内でのマスク着用義務が解除されました。初日の記事*2を見ると、大部分の人はマスク着用で出勤したと伝えています。

大部分はマスク着用して出勤

記事を詳しく読むと、地下鉄内では着用して、駅で降りたらマスクを外してもよいということになっているのですが、つけ外しもめんどくさいし、ちょっと気まずいという意見が書かれていました。

習慣は抜けにくい

ではなぜ、日本・韓国・台湾(全部、旧日本帝国)ではマスクはすぐに外せないのでしょうか?ニューヨークタイムズの考察を見ていきましょう。

マスク着用が習慣に

まずは2年半以上ずーっとマスクを着け続けてきたため、『習慣』となってしまっていてすぐには外せないと。

そして、こういった国々では、1918年のスペイン風邪以降、予防的にマスク着用をする”習慣”があったことも重要です。

元々、感染予防にマスク習慣

これゆえ、コロナ禍初期に国民がマスク着用にそれほど抵抗がなかったのです。

都合がいい

他にも、マスクをしている方が都合がいいという意見がこれらの地域では見られています。

化粧が楽、愛想笑い不要

これは、コロナ禍前にオペ看の子が言ってました。(笑)

仕事中もオペ室でずっとマスクしてるから目の周りだけ頑張ればいいんで楽と。

そして日本では、

日本では『顔パンツ』とも

マスクは『顔パンツ』とも呼ばれ。。。って何かディスられてますが(笑)

そして、韓国社会では

『美』への社会的圧力から解放

常に『美』が追求されるので、職場でスッピンはタブーに近いのですが、マスクのおかげでその社会的圧力から解放されると、韓国の文化研究者の声を紹介しています。

韓国では近年、このような”社会が求める女性らしさ”から脱却しようというフェミニズム運動がありまして、これを脱コルセット運動といいます。

韓国の『脱コルセット運動』

この流れと、マスクが合わさってスッピン×職場というのが気楽に過ごせるという背景もあるようです。

マスクは”配慮”

日本や韓国で公共の場でマスクをすることは、このコロナ禍では他人への配慮としてとらえられています。

マスクは他人への配慮

もしかしたら話している相手が基礎疾患持ちかもしれないからです。そして、この配慮の気持ちは韓国で特に強いと言います。

韓国でノーマスクは失礼

これもまた、さきほどの韓国人の文化学者の説明です。「周囲の人に害を与えないことが韓国では重要」と。

大気汚染の影響

最後に、実はコロナ関係ない説まで登場しました。

特に韓国では毎年、中国からのPM2.5が襲来し、灰色の空になるのが問題となっています。日本は幸い影響少ないですね。

大気汚染でマスク着用

このPM2.5のせいで、マスク着用が当たり前になっていることも、マスクを外さない理由の一つになっていると書いています。

PM2.5について

www.multilingual-doctor.com

たしかに、こういう背景があることで、韓国式高機能マスク(KF94)などが早い段階から出回ってましたよね。

さいごに

いかがでしたか?

ニューヨークタイムズの考察。ところどころになんか『?』な部分がありますが、なかなか国の文化に踏み込んだ考察でした。調べてみると、この記事を書いたのは韓国人と日本人の2人でした。

日本の顔パンツと韓国のフェミニズムの話、そしてPM2.5の影響など、なかなか勉強になりました。

では、また(^^♪