PC版『ライフ イズ ストレンジ トゥルー カラーズ』ネタバレあり感想

2022/07/16 0

Life is Strangeシリーズ Others


steam版『Life is Strange: True Colors(ライフ イズ ストレンジ トゥルー カラーズ)』を全クリしたので、感想を書きました。
ネタバレありの感想文です。⚠ネタバレにご注意ください!

このゲームは2022年2月25日発売の選択方式アドベンチャーで、プレイヤーの選択で物語が変化していきます。
人気シリーズ『Life is Strange』の4作目ですが、今までで一番地味な作品だと思いました。
初代の秀逸なシナリオ、『2』の重厚なシナリオと比べると、今作はあっさり気味です。

初代や『2』ではアメリカ社会の重いテーマ(人種差別、ドラッグ、銃社会など)が盛り込まれていましたが、今作はそういった重いテーマはありません。
過去作は重くてしんどいと感じた方や、シリーズ未プレイの方に今作はおすすめだと思います。


【ざっくりとあらすじ……】 オレゴン州の養護施設で暮らすアレックス・チェンは、『他人の強い感情が読める・他人の感情を取り込む』という超能力を持ち、その影響で対人関係がうまく築けずにいた。

ある日、生き別れの兄ゲイブから「ヘイブンで一緒に暮らさないか?」と連絡があり、コロラド州の鉱山の町ヘイブン・スプリングスに移住する。
明るくお調子者のゲイブは住民達と仲が良く、アレックスは皆から温かい歓迎を受ける。
しかし、激しく怒っている人物と接近してしまい、アレックスは怒りの感情に取り込まれて暴力を振るってしまう。
怒りを取り込んで暴れたのはこれが初めてではなかったアレックス、また対人関係が壊れて居場所を失うのではないかと危惧し、意を決してゲイブに打ち明ける。ゲイブは全て受け止めて、アレックスを勇気づける。

そんな矢先、事故が起きてゲイブが命を落としてしまう。
警察は「事件性なし」として早々に捜査を打ち切るが、アレックスは超能力を使って事故の関係者が嘘をついていると知り、ゲイブの死の真相を突き止めることを決意する。
ヘイブンの人々との交流を通して、ずっと苦痛の種だった超能力とも向き合っていく――。

全5エピソード、クリア時間は13時間でした。

良かったところ

  • 素晴らしいローカライズ
  • 町の住民との心の交流を描いた優しい人間ドラマ
  • ヘイブン・スプリングスの景観が最高
  • 店のインテリアが素敵すぎてずっと眺めていられる
  • 音楽
  • 「LARP」というリアルRPGごっこの演出に感動

良くないところ

  • 超能力がご都合主義
  • 超能力でやれる事が初見では分かりにくい
  • 事故の真相を暴く話は退屈だった
  • カットシーンが多い、セリフ飛ばせない
  • 最終エピソードはプレイヤー蚊帳の外
  • エンディングあっさりしすぎ

クラッシュについて

私の環境ではエラーが2度発生してゲームがクラッシュしました。

■low level fatal error line 3946
ゲームファイルに問題があるというエラーだそうです。
steamのライブラリから『Life is Strange: True Colors』を右クリック、プロパティを開き、ローカルファイルを選択して「ゲームファイルの整合性を確認」をクリックします。
整合性チェックの後、ゲームを起動すると自動的に更新が入ります。私はこの方法でエラーを回避できました。

■UE4 Fatal Error
グラフィックボートやPCのパフォーマンスに関する問題らしい。原因は色々。
私はゲームのオプション設定から「フレームレート」を60fps(デフォルトでは無制限になっている)に変更したら、エラーが出なくなりました。

選択の面白さ、緊迫感が減った


『Life is Strange』シリーズといえば、エピソード毎に心揺さぶられる選択があり、なかなか選べずに選択画面のまましばらく放置してしまうほどでした。
しかし、今作は心揺さぶられるような選択肢はありませんでした。
良く言えば、ドキドキハラハラする場面が少なくなって、精神的に落ち着いてプレイできるようになってます。
(過去作からプレイしてきた身からすると、物足りないんですけどね……)

選択の面白さが減ってしまったと感じた理由は3つあります。

①主人公とプレイヤー(私)の認識に齟齬がする

初代、『2』では超能力に目覚めるところから物語がスタートし、キャラクター達が未知の力に翻弄されながらも徐々にコントロールしていく過程が描かれていたので、プレイヤーにも超能力の使い方やメリット・デメリットが十分理解できました。だからこそ超能力を使うかどうか問われる選択肢は悩みました。選ばなかった方の選択肢も気になりました。

今作はスタート時点で既に主人公は超能力を持っています。本編開始以前から主人公は自分の超能力のことで苦労を重ねてきています。しかし、プレイヤーはそんなこと知りません。主人公が具体的な説明をしてくれないと、こっちは分かりませんでも、ちゃんと教えてくれないのです!超能力について、主人公とプレイヤーの認識に差があるんです。この差は大きいです。
例えば、急に主人公が「私の力で出来るかも」と言い出して【超能力を使う/使わない】と選択肢が出てきても、出来るって具体的に何がどうなるの!?ってなります。分からないから適当に選ぶしかないんです。
適当に選択して、気に入らなきゃロードすればいいやって、それって他ゲーと変わらないじゃないですか。『Life is Strange』シリーズらしくないと感じてしまうんです。

主人公とプレイヤーの差は最後まで埋まりません。最終エピソードでは主人公が勝手にすごい超能力を使って解決、プレイヤーはぽかーんと見ているだけになります。最後までイマイチ理解できません。

私は初代や『2』の初見プレイで辿り着いたエンディングに思い入れがあります。一つ一つの選択肢を悩みぬいて選んできたからこそです。
今作は特に思い入れはありませんでした。どのエンディングでもいいかなぁ~という感じ。

②ストーリー分岐がない

超能力の選択肢をどう選んでも本筋の結末は変わりません。主人公がすごい超能力を使って真犯人を自白させて終わりです。その点も含めて選択の面白さが減ってしまったように感じます。
今作もロマンス相手が2人いますが、どちらを選んでも展開はほぼ同じです。セリフが少し変わるくらい。

③主人公に感情移入しにくい

主人公は超能力の影響もあって、自分より他人を優先する性格です。他人の感情の分析はするけど、自分のことはあまり語りません。プレイヤーとしても、ヘイブンの人々については詳しくなる一方、主人公のことはよく知らないという状態が続きます。それ故に、主人公の将来に関する選択肢を適当に選んでしまいがちです。

主人公について掘り下げられるのは、終盤になってからです。
ほぼ全ての選択肢を選び終えた段階になってやっと主人公の過去と家族の真実が明かされても、時すでに遅しですよ……。もっと早く明かされていたら、主人公に対する思い入れも違ったのになぁと思います。

超能力がご都合主義

公式のストーリー紹介では「兄の死の真相を探るため、町の秘密を暴く」とあります。
超能力を用いた心理戦が繰り広げられそうな予感しますが……。ふたを開けてみたら、そんなことはありませんでした。
アレックスの超能力は場当たり的なんです。

超能力の特徴

人の感情がオーラで見える能力

相手の感情が高ぶっていないと見えません。
感情が高ぶっている人なんて、別にオーラなくても分かりますね。特に今作は表情のアニメーションが進化していますから。
オーラ可視化能力は、別の能力の補助的なものですね。

感情の声を聞ける能力


オーラが出ている相手に対し、なぜその感情を感じているのか心の声を読めます。
逆にいえば、オーラを1ミリも出さないような完全に感情を閉ざした人の心は読めません。
だからテレパシーとは違う……と思っていたのですが、終盤になって突然テレパシーのような描写があります。何なのあれ?

アレックスの性格は、人を信じる心を忘れず、思いやりがあり、自分より他人を優先します。アレックスが相手の感情を読むのは、助けてあげたいからです。
だからこそ人間ドラマ部分は面白いのですが、町の秘密を調査する場面は退屈です。

そもそも人を疑わないアレックスが町の秘密を探るのは無理があります。感情を読む能力を調査に役立てたのは2度だけですし、最後はテレパシーみたいな謎の力で真犯人を自白させるという強引な終わらせ方になっています。アレックスがその場その場で都合よく能力を変えながら解決させていく様を、プレイヤーは見せられます。

強いオーラに共感する能力

激昂状態など強いオーラを発している人が近くにると、そのオーラにアレックスが取り込まれて、相手の世界観と感情を共有します。共感能力です。
これがアレックスの抱える悩みでもあります。相手の激しい怒りに取り込まれて暴力を振るったり、相手の恐怖に取り込まれて怯えてしまったり、他者の感情に振り回されてしまうのです。共感能力のせいで人間関係が築けず、アレックスは他者の感情を恐れるようになったようです。

ただし、取り込まれたのはエピソード1の序盤だけ。それ以降は、都合よく相手と世界観を共有しつつも自分の感情は取り込まれません。なんだか拍子抜け。

物に宿る感情(思い出)を読む能力

強いオーラは物にも残るようで、アレックスはそのオーラから当時の感情の思い出を読み取ることができます。
初見だと勘違いしやすいのですが、サイコメトリーとは違います。
アレックスがこの能力を捜査に使うことはありません。町の住民や兄の思い出に触れる時に使います。ストーリーを理解する上で重要な思い出もありますが、ほとんどは収集要素です。

初見時は操作が分からなくて、エピソード1の最初の思い出収集をスルーしてしまいました。実は最初の思い出が一番重要で、これを見ておかないと兄がヘイブンに来た理由が理解できないのです。最初の思い出を見逃したのは致命的だったと、全クリ後に気づきました……。
(欲を言えば、最初のやつはチュートリアル兼ねて強制でも良かったと思う……。知らなかったから、終盤で父親の話が出てきた時に驚いてしまった😅)

相手の感情を取り除く能力


エピソード3で急に言い出したやつ。プレイヤーはどんな能力なのか分からないので、とりあえず「取り除く」を選びたくなりませんか?私は選びました。
そしたら、シャーロットの怒りオーラをアレックスが吸収。シャーロットは自分が何に怒っていたのか忘れて茫然自失。
次の場面でアレックスは、ステフの大切なボトルを怒りのままに破壊してしまいます。

つまり、取り除く能力は忘却。代償としてアレックスがその感情を背負う。こう解釈しました。
私はロードして、取り除かない選択肢を選び直しました。感情を忘却させるなんてやりすぎだと思ったから。
何の説明もなく急に選ばせるなんて、初見殺しの罠みたいなものですよ。他ゲーなら何とも思わないのですが、1つ1つの選択が重要な『Life is Strange』シリーズでやられたのはショックでした……。


エピソード4で再び取り除くかどうか選択する場面があります。
この時アレックスはこう言います「パイクの恐怖を取り除けば協力してくれるかも」
おいおい、感情を取り除くと忘却するんじゃないのかよ。
試しに「取り除く」を選んでみたら、なんとペイクをなだめたのです。

つまり、この時の「取り除く」は感情に寄り添うことだったのです。マックやライアンをなだめた時と同じように。
なだめるのなら、わざわざ「取り除く」なんて選択肢出す必要あります?シャーロットの時みたいに感情を忘却させるのかと思うじゃないですか。紛らわしい選択肢ですよ。
その場その場で都合よく能力の効果が変わるので、選択肢が選びづらいです。

なだめる場合、シャーロットの件以外は成功します。なだめるパターンに入った途端、どんな選択肢を選んでも必ず成功するんです。緊迫感や没入感がありませんし、セリフの違いもありません。
(しかしながら、町の住民の心に寄り添うエピソードはよかったです)

「LARP」の演出に感動

エピソード3にて、イーサンを励ますために開催されたイベント「LARP」
最初こそイーサンは乗り気ではなく、楽しまないといけない同調圧力を感じて心が押し潰されそうになっていました。その感情を読んだアレックスは、周りに気を使う必要はないと説得。イーサンは重い腰を上げます。


渋々始まったLARPでしたが、いざやってみると雰囲気最高でした!
なんといってもヘイブン・スプリングスの雰囲気とLARPの相性が良すぎ!!
こんな町、憧れるわ~。ロマンだね。


LARPを企画したステフは、前作『Before the Storm』にも登場した人物。クロエと一緒にTRPGを遊んでいました。
ステフのTRPG好きが今作でさらにパワーアップして、一大イベントになったのは嬉しいですね。

LARPの世界観はイーサンが描いた漫画が基になっています。ステフの本気の作り込み。
自分が想像した伝説の剣と全く同じ物を見たイーサン、高揚感に包まれる。アレックスも取り込まれてイーサンの空想の世界を共有。とても良い演出でした。

終盤とエンディングあっさりしすぎ


終盤、アレックスがテレパシーのような何かすごい力で真犯人に説教した後、【許す/許さない】の選択肢が出ます。私は【許す】を選びました。許すからもう罪を認めてくれ……と、そういう気持ちで選びました。
統計データでも【許す】を選択した人が70%でした。
(どちらを選択しても真犯人は罪を認めるようです)

でも、アレックスの立場で改めて考えたら、許せるはずないですよね今まで真犯人は嘘を真実だと思い込み、「良い人」になりきっていました。アレックスの超能力でも見抜けないほど徹底的に自分を偽っていました。嘘がバレそうになると、アレックスを殺して地下に葬ろうとさえしました。重症のアレックスに告発されても尚、自分の罪を認めようとしませんでした。
改めて考えると、【許す】の選択って何の意味があったのだろうとモヤモヤしてしまいました。アレックスにだって怒る権利はあるでしょう。初見プレイではアレックスにあまり感情移入していなかったせいもあって、そこまで考えが至りませんでした。

【許す】を選択した場合、真犯人から父親のジャケットとともに懺悔のメッセージが届きます。真犯人はゲイブ兄貴がヘイブンに来た理由なども全て知っていたのに、ずっと嘘をつき通していたことが判明します。
簡単に許していい話じゃなかった……。自分的にスッキリしない最後になってしまいました。

ちなみに、アレックスは父親のことは許していません(エンディング直前のノートを読むと分かります)


事故の真相が明るみになった後、思い出の中のゲイブ兄貴と今後について語り合います。これが実質的なエンディングなんですよね。
兄の語りが終わった後、ラストの2択【ヘイブンに残る/旅立つ】が出て終了。あっさりしてるなぁ~と思いました。

まとめ


ヘイブンの人々と交流するエピソードは良かったし、ロマンス相手のステフ、ライアンも魅力的なキャラクターでした。町の雰囲気も素敵。
しかしながら、過去作が好きだった身からすると『Life is Strange』シリーズならではの選択の重さがあまり感じられず、やや物足りなかったです。
LARPが最高でした!

自己紹介

あおはさきの写真

あおは さき

ストーリー・世界観を楽しむことに重きを置くゆるゲーマー。RPGが大好物。
YouTubeにプレイ動画も投稿中。
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