「ちょっと待って? 何かの略よね? トラハシって」
「はい」
「じゃあ当ててみるわ。答えは言わないで?」
「はい」
「強い動物の虎にぃ、渡る橋って事じゃないわよね?」
「ですね」
「トライアングルの
「1ミリも合ってないですね」
「じゃあトランクの中に橋田蘇我子?」
「1ミクロンも合ってないです。突然どうしたんですか? 有名脚本家さんをトランクに入れてどうするんですか?」
「……運搬?」
「運搬って……人をトランクで運びませんよ……エスパー佐藤じゃあるまいし。人力車とかタクシーとか別の方法で良いと思いますが……頭でも打ったんですか?」
「異常は無いわ、でも、受付でも噂聞いてたし、予選の人物名当て問題でも出てきてぇ、更に私にだけTシャツくれなかったのもあって頭にこびりついてるのかな? だとすればトラックの中の橋田蘇我子?」
「いや違います。そもそもハシは、橋田蘇我子さんではないんですよ」
「ちょwヒントは無しって言ったでしょ?」
「あっ! しまった!」
「もう! 気を付けてよね! じゃあトラックは合ってるって事ね? うーんとトラックの中の橋本?」
「なんですかそれ? 私は、それを4回やったんですよ? トラックの橋本を4回目ってどういう状況ですか? 訳が分からないですよ」
「でもトラックは合っているんだからあ……トラックの端っこ?」
「すいません。トラックも違うんです……」
「ちょwwwそれを先に行ってよwwwおっちょこちょいの刑事さんもかっこいい! 結婚して!」
「はあ? なんですかそれ? トラックじゃないって事を教えたらそれがヒントになってしまうと思いまして……」
「もう♡分ってる癖に♡でも、そういう気づかい良いわよ♡じゃあトランプの橋を渡る?」
「危険すぎますよ! 私の体重を支え切れませんって」
「トランぺ大統領と橋元竜太郎総理?」
「違いますね。やっぱりヒント言いましょうか?」
「優しい~ん♡でもせっかちさん♡まだ早いわ♡でもそんな菩薩の様に優しい刑事さんも大好き♡結婚しよ?♡」
「なんですかそれ?」
「でも私もね、去年の4月に推理クラブの副部長に任命された程の女なのよ? しかも、6年生が4人もいた中でよ!? そんな私がヒントなんかに頼らない!」
「それって凄いんですか?」
「……うーんまあ良く考えたらそうでもないわ! 所詮小さい田舎の小学校の1クラブの副部長だし。そこまで凄くは無い。
それでも誇りに思っているわ!」
「ぬう……! なんかかっこいいっす」
「でしょ? ウホホッ。じゃあ結婚しよ?」
「なんですかそれ?」
「でも部長は、何とまだ弱冠4年生なの! 凄い推理力、洞察力で、この私ですら及ばない。
悔しいわ……だから彼を抜く為にも、そいつを証明する為にも……ここで諦める訳にはいかない。
そうよ、推理の糸口はまだ途絶えてないんだ!」
「分かりました。今の言葉ちょっと感動しました! そういうチャレンジ精神が大事なんですよね! 彼を超える為にも続けて下さい!!」
「うーんと……トランプの橋本」
「全然違います。その程度の推理じゃあさっき言っていたかっこいい台詞が台無しです。
そうですね。一旦橋本から離れて下さい」
「そういえば橋本って響き。私の頭にずっとこびりついてるな。ホテルでそんな名の犬がいたからか。
確かそいつを探してた時に名前を呼んでいたら、人間の橋本さんに紛らわしいって叱られたもんなあ」
「ああ、いやしたねそういやそんな名前の犬が。ホテルのオーナーさんのペットでやんしょ?」
「オーナーさんなんて大層なもんじゃないけどね」
「貫禄のある立派そうな方だったじゃないですか?」
「えー? あんなもん巻き〇そだよー口も臭いし醜いし年老いてるし太ってるし息も臭いし2頭身だししわくちゃだし口臭も酷いし頭も悪いし息も臭いし」
酷い言われようである。
「そうなんですか?」
「そう! 犬に人間の名字を付けるような人間だよ? 早く逮捕してよ!」
「残念ながらその位では逮捕出来ないです」
「でも存在自体がスメハラだよ?」
「スメハラ……スメルハラスメントですね?」
「正解! 一発正解って凄い!」
「そうですか? ですがそれも逮捕は無理ですよ」
「でもあいつ銅像に魔力を送り込んで、人を苦しめてたよ?」
「そういう非科学的な事は多分無理だと思いますよ」
「なんでー? 腑に落ちないよー!」
「まあこの際オーナーの事は忘れて下さい。話が脱線してるっす。いいっすか? アッシが出来そうな事でやんすよ? アッシは、そのトランプの橋本……? と言う行為は4回も出来やしやせんぜ?」
「あら? 急に話し方がアッシキャラになったわね。その心はなあに?」
「ヘイ。これは読者を飽きさせない為のマル秘テクニックでやんす」
「ど、くしゃ……? 何それ? 刑事さん! 詳しく聞かせて欲しいの!!」
「知りやせん」
「ふーん。じゃあトランポリンで走る」
「それ、イメージ出来ないっす。あれは跳ぶもんすよ? どうやって走るんでゲス?」
「じゃあトランポリンで跳ねる橋田蘇我子」
「あー……戻ってやす。それはかなり戻ってるでゲス。アッシが出来る事でやんすよ?
橋田蘇我子は捨て去って下さい」
「ぽーい」 ╯⌒
橋<ぅぇ?
田
蘇
我
子↓
〇
橋<いやどぅあ! むぁだ消えとぅあくぬぁい!
田
蘇
我↓
〇
橋<沈む……
田
蘇↓
〇
橋<! むぁだ……
田
蘇
我↑
〇
橋<
田
蘇↓
〇
橋<かずきえりなちゃん助くぇてー
田↓
〇
橋<角野タクローすぁん助くぇてー
〇
〇ヒューン…………ゴン♪
「お、しっかり名前捨て穴に捨てた様でやんすね。で? まだあるんでやすか?」
突然であるが説明しよう! 名前捨て穴とは……ぬう……考えてみれば誰にでもこの名前から容易に想像がつくな。なのでやはり説明は止めよう!! 普段ならば説明する事で文字数稼ぎを行いこの小説をフォローしていたが、高音様が登場されて以来身心と文字数的にも余裕が出てきた為にこんな舐めプをしている。
私も所詮人間であるという事だ。余裕が出来れば休息する。無駄な体力を使わずに、後に来るクライマックスに向け力を蓄える時期なのだ。全てに気を張り続ければプツンと切れてしまい元に戻れぬからな。
「これならどう? トランぺ大統領の橋を渡る?」
「違いやすぜ? それ、大統領を橋にして渡るって事でゲス? かなりの大罪ゲスぜ?」
「トランペットとはしゃぐ?」
「違いやす」
「トマトとラー油とハムとシーチキン?」
「違いやす。かすってもいやせんぜ……でもそれらをサンドウィッチの具にすると中々いい料理になりそうでゲスね」
「むーおっかしいなあ」
「もう諦めちゃあどうでやすか?」
「やだ! もっと考える!!」
「あんさんも頑固でやんすねえ。……しかし、疑問に感じたんでゲスがあんさん本当に昨日のホテルの事件の真犯人を見抜いた人でゲスか? これまでの言動を見る限り、姿形は確かに同じでゲスが、全く中身が入れ替わっちまった別人に見えるでやんす」
竜牙の勘は正しかった。今のアリサは正常でない。恐らくこれは、大好きな男が目の前に居る為に鼻の下が伸び切ってしまっているアリサは、まともに頭が回らないのかもしれない。
「そんなあ♡酷い♡でもそんな疑いの渋ーい表情も素敵! そうだわ! 結婚しよ?♡」
「なんすかそれ? で? まだやりやすか?」
「やる! ……トッキーとラララオウと……は……ハ……ハートーと……後は……シンシン!」
「惜しい! 実に惜しい! 違う意味で惜しい!! これはアッシもピーンと来やしたぜ?
あんさん今、漫画のトクホのケソの4兄弟人で統一しようとしたんでやんすよね?
その漫画アッシの愛読書で、全巻持ってるでやんす。トッキーとラララオウって聞いた瞬間
もしやと思いやしたが……ハートーとシンシンはその作品に登場こそすれどトクホ4兄弟ではないんでやすね。
これは中途半端でやんす……確かに頭文字は合致してやすが……非常に残念でやす」
「うん、4兄弟を一緒にまとめて言う事は出来なかった……ケソシロウとジョギでコンプだったのに……悔しいよお……ハソシロウとショギに改名しないかなあ……武論尊悟空に抗議の電話してみようかしら……」
「でやんすねえ……これはアッシも悔しいっす。アッシはね? 読んでく内にラララオウに近づきたいと言う一心で始めたのが筋トレなんでやんす。
そのおかげで今は刑事になれたんすよ。まだありやす?」
「
「む? 中々面白いですけど違いやす」
「おいおいさっきから聞いてりゃあよ、途中からトラハシのあいうえお作文になってねえか?」
白川がアリサの変化に対し突っ込む。因みにあいうえお作文とはお題、今回の場合はトラハシであるが、それを決めてト、ラ、ハ、シ、が頭文字に来る文を作る遊びの事。
しかし、遊びとは言えども侮ってはいけない。お笑いの舞台では、見事にそれを駆使し
大勢の目の肥えた観客から笑いを取る一流もいるのだ。
「そう言えば最初はトラとハシで分けて言ってやしたが、途中からト、ラ、ハ、シそれぞれが頭に来る様に答えていやすねえ。どうしてでやんす?」
「2文字ずつじゃ物足りなくなったのかもしれないわ」
フム、いつの間にかアリサと竜牙の二人は最早答えに拘らず、仲睦まじく言葉遊びを堪能している。
そんなのどかなシーンであり、皆次はどんな答えなのかな? と推理しつつもそれを楽しんでいる。
竜牙もかなりの年の差ではあるが、アリサの猛アタックに折れて本当に結婚してしまいそうな勢いであるな。
そんな中、一人だけ顔面蒼白青の男がいる。
その男とは、3番の腕章の鎌瀬犬吉であった。何があったのであろう?
「ね、ねえ、皆気付いているかい? この子、引き出しが凄いんだよ……何で……こんな小さい体のどこにこんな……末恐ろしいよ」
鎌瀬が素直にアリサをほめる。
「鎌瀬さん? 小さいは余計よ? でも段々乗って来たわ! じゃあ次行くわよォ!
「上手い事鳥でまとめやしたねえ。座布団1枚でやんす。でゲスが、そんな優れた動体視力は無いでやんす」
「座布団一枚ゲットォ! じゃあ早速この上に刑事さんと一緒に座ろうね♡」
「何言ってんすか? で、次は?」
「虎とライオンと、は……ハ……橋本と獅子を倒す?」
「今度は猛獣でまとめようと頑張ったんでやんすね? その努力は感じ取れやしたが、橋本はトイプードルで猛獣じゃないっすよ? それに一話を見ていない読者さんは、橋本の事をただの人名が混ざっている様に見られてしまいやすぜ? それにライオンと獅子は同じでやんす。
折角前半は良かったのに、後半で台無しでやんすよ?」
「ど……くしゃ? さっきも聞いたけども刑事さんは一体何の事を言っているの?」
「忘れやした」
「へえ、でもね刑事さん……は、で始まる物ってあんまりないのよねー」
「泣き言を言っても無駄でやんすよ? それともそろそろ答え行きやしょうか?」
「ちょw♡その心遣いは優しいし、嬉しいけどぉもっともっと考えてからぁ♡あは~ん結婚したい!」
「なんすかそれ?」
アリサは諦めが悪い。ここまで引っ張る必要性は皆無。
そもそもこのトラハシと言う言葉は竜牙が勝手に作った単語で、答えは竜牙本人以外知らない言葉だ。その答えを知った所で辞書にも出ていない言葉。それを知ったところで達成感も無い筈なのだが、彼女自身が価値があると決めた瞬間に、その答えの価値は急上昇する。
「じゃあ
「あながち間違っていないすが、具体的じゃないでやす」
「具体的ねえ……鶏肉とライスとハヤシライスとシュウマイを一気食い?」
「ライスとハヤシライスが重複してるでやんす」
「厳しいわねえ……」
「そういう問題じゃないんでやんすよ? あんさんが正解を言ってくれれば終わりなんでやんす。
何でこんな簡単な略語を気付けないのか不思議っす。まさか敢えて遠回りしているんすか?」
負けず嫌いのアリサの炎に油を注ぐ竜牙。
「簡単って言った? これを簡単って? 相当難しいよ? あはーん結構私の心は傷ついたわ。お詫びに結婚して♡」
「何言ってんすか? で……まだ考えるんすか?」
「当たり前でしょ? この際読者なんて置いてきぼりにしてやるんだ!
ついてこれる奴だけついてくればいいのよ!! 脳みそを絞りきってでも答えて見せる」
「かっこいいでやんすねえ。しかし、読者って何でやす? でやんすが読者なんてって言い方はなんとなくいけないと思うんでやすが……それにしても読者って響き。聞けば聞くほどに尊く最高にかっこいい響きでやんすね」
「乙女の秘密よ!」
「そうでやすか……すごく興味あったんでゲスが……」
「え? 乙女の秘密に興味があるだなんて……じゃあもう私達結婚するしかないのね……!」
「なんすかそれ? じゃあ次の回答どうぞ」
「おい刑事さん! 大喜利の司会みたいになってるぜ?」
火村が突っ込む。
「気のせいでやんすよ。では、続きお願いしやす」
「
「グッ……ガハハハハハハハ」
このネタがなんと竜牙のツボに入った!
「あらあら……初めて笑ってくれたね? アリサ嬉しい♡やっぱり笑った顔が一番素敵よ♡じゃあ、結婚……しようか?♡」
「ひいひい、な、何すかそれ? 面白いけど違うっす」
「むー笑いを取れたのに違うのか、厳しいなあ……でもやっぱり人を笑わせるって楽しい物ね♪」
緩やかに、しかし確実に、趣旨が変わってゆく……
「では次の回答どうぞ」
「
「ググッ、ガハハハハハハハハハハ」
「あ、また笑ってくれた♡」
「ひいひい……羽交い絞めがツボなんですねアッシはw羽交い絞めはどうか禁止でお願いしやす」
「ちょっと♡そんなの酷いわw私、もっともっと刑事さんの笑顔が見たいのに羽交い絞め禁止令出すなんて♡」
「ですがね、羽交い絞めは答えにはならないんでやす」
「あらヒントだった訳ね? さりげなくヒントを出してくれる刑事さん大好き♡絶対結婚しようね♡」
「なんすかそれ?」
「羽交い絞めが禁止となるとちょっと難しいわねえ。でも考えなきゃ……部長に笑われちゃう……」
「そんなに賢い部長さんなんでやすね?」
「うん、悔しいけど本の読むスピードも速いし14ヶ国語を操れるし、しかも私より一つ若いのよ。
優しいし紳士的でスポーツ万能で末恐ろしい人よ。でも、幸いイケメンと言う程でもないのよね」
「安心したよ。顔までよかったら引くよ……因みに14ヶ国語ってどの国の言葉だい?」
安堵の表情で聞く鎌瀬。
「えーと確か、日本語、英語、朝鮮語、ヒンディー語、ロシア語、フランス語、ドイツ語、アラビア語、ベンガル語、第1宇宙言語~第6宇宙言語よ」
「はへー宇宙語って6種類しかないんだぁあ……もっとあるとおもってたぁあ……」
もっと突っ込む所はあると思うが……
「いえ? 800を超えるわ。これから全部覚えるって」
「ほひょ? ほぽー、そうか、くれぐれも、頑張って、欲しい。陰ながララ、ラ♪応援するるん♪」
スケールの大きさに打ちのめされたのだろうか? 突然おかしな言葉を使う鎌瀬。
「では次の回答行ってみやしょう!」
「
「知ってるカタカナ語を並べても駄目でやすよ」
「じゃあこれは?
「ハで始まらなきゃ駄目でやんすよ? パテラではなくプテラでやんすよ? ノーカウントでやんす」
「きびちい(T_T)」
「そろそろ室内の皆さんも飽きてきてやすぜ? どうしやす?」
「まだまだぁ!
「綺麗に楽器でまとめやしたねえ」
「で? 正解?」
「いいえ? もっと真面目に考えて下せえ」
「スパルタな刑事さんね♡アリサ頑張る♡」
「じゃあ次の回答どうぞ」
「
「まあそのそういう時もありやした。ですがねこう見えて12年刑事やっていやす。
あの……アッシそんな新人に見えやすか?」
「フレッシュよ?」
「そうっすか? なんか嬉しいっす」
「じゃあ結婚……」
「なんすかそれ?」
「最後まで言わせてよ♡もう♡」
「じゃあ次でやんす」
「
「そうありたいでやすがとんちなんてやった事は無いっす。いっつも給料前の家計はピンチなんすけどね」
「まあ、お上手よ? とんちとピンチが掛かっているおしゃれなとんちじゃない。
フム。よろしい! 褒美として、この私を嫁として取らせよう」
「なんすかそれ? じゃあ次をお願いしやす」
「
「今度は歴史年表に出ている物で統一しやしたね? なかなかやりやすねえ。では次の回答頼みやす」
「うーん何があるかなあ?」
その時! 名前捨て穴から不気味な音が響く。
ΦゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴΦ
ポン ⌒〇←名前捨て穴の封印のフタ
ξ〇ξ
ΦゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴΦ
橋<ぬぅっ!
〇
橋<むぁだ終うぁわらぬ
田
〇
橋<
田
蘇
〇
橋<だぐぅあ私は
田
蘇
我
〇
橋<私は……
田
蘇
我
子
〇
ЖジャーンЖ
まずいな……名前捨て穴の封印を解き、蘇我子が復帰してしまった様である。
これではアリサの回答にも影響が出るやもしれぬ。
「
「戻ってやすぜ? 蘇我子しっかり捨てたんすか?」
「あら? おかしいわねえ」
「ちゃんと捨てて下せえ。ただ捨てるだけじゃなくしっかり2重の封印を施さなくてはいけやせんぜ?」
「でも蘇我子は何も悪くないんだよ? 逃がしてあげよ?」
「そうっすか分かりやした。今回だけでゲスぜ?」
「さあお逃げ!」
橋<
田
蘇
我
子
蘇田橋<ペコリ
我
子
↓
蘇田橋<ペコリ
我
↓
蘇田橋<ギロリ……!
すうっ
そして蘇我子は去って行った。しかし、彼女は最後にアリサを睨んでいる様にも見えたが気のせいか?
「じゃあねー! 一礼して去っていくなんて礼儀正しいわねー。でも小さいは余計よー」
「蘇我子を逃がしてよかったんでやすかねえ? またあんさん使いかねないでっせ」
「大丈夫よ。で、そろそろ正解でしょ?」
「そういう問題じゃないでゲスよ。数を言ったからって積立式で正解が現れるシステムなんてないんでゲスから……どちらかと言うと、トランポリンの方が近いっす」
「あー勝手にまたヒント言って! そういう所があるから結婚したくなるんだよ? 責任取って♡」
「なんすかそれ?」
「でもヒントがあってもムズイよー。トランポリンじゃないのよね? 跳ねるとか飛ぶとかの意味なのかなあ?」
「まあそんな感じです。それをやった後、下顎が外れくるりと回って嵌り直した時と同じ位に死ぬかと思ったんでやす。
そこをしっかり踏まえた上で考えて下さいよ」
「
「ランニングと走ったりと疾走したりは同じっすよ? ですが惜しいでやんす。この路線でやんすう!」
「飛んだり楽したり走ったり瞬間移動する?」
「アッシはエスパーじゃないんでやんす。敢えて言うならスーパーディテクティブっす」
「かっこいい!! ぜひ結婚してくれ」
「なんすかそれ?」
「いい加減に結婚してやれよ……」
白川の突っ込みが入る。しかし、その突込みはどうなのだろうか?
「あのね? 私って、外見は非常に大人に見えるし仕方無いけどぉ、年齢の関係でまだ結婚できないのね。お分かり? まあこの身長の高さだしねー。どこからどう見ても大人の女性にしか見えないけど、ね♪
……私はこのやり取りを彼と楽しんでいるだけで、本気じゃないんだから邪魔しないでね? 白川のぼ、く、ちゃん♡」
何とアリサは今までのプロポーズは遊びだったと言うのか? すっかり騙されてしまった……この娘! 魔性の女であるな!
「あ、ああ、そういえばそうだったな。色々とすまん」
突っ込む所が多すぎて全てを諦めた白川。
「でもどうしても答えが分からないなあ? トラハシ一体何の略なのかなー?
トラハシトラハシトラハシトラハシトラハシトラハシトラハシトラハシトラハシトラハシトラハシあー駄目だーもう出てこない……」
床にへたり込むアリサ。
「そうであってほしいよ……放っておいたらこのまま無限に出て来るかと思ったよ……
何でここまで色々な言葉が出て来るんだよ? 引き出しのバケモンじゃないかこの子……初めて聞く言葉もあった。
どんだけ知識があるんだよ? 僕はこんな奴に本当に勝てるのだろうか?」
大きめの独り言を言う鎌瀬。
「ククク……うちのクラブの部長は、もっと凄いわよ?」
「ひいいいいっ……や、やめてくれよ……」
突然死角から目の前に飛来してきたゴキブリでも見るかの様な怯えた目でアリサを見る鎌瀬。
もはや彼の中で、アリサと自分の立場が逆転してしまったのかもしれない。
そして、竜牙もしびれを切らしている。
「さあ。いい加減答え言いやすよ?」
「えー♡やだぁ♡」
「でもねぇ、余り粘ると読者さんに悪いっすよ」
「えっ? どくしゃ? なにそれ?! 詳しく!」
「死んでも分かりやせん。ですが、とにかく急に脳みそから湧いて出た言葉なんす」
「そうかあ、刑事さんがそこまで言うならここまでね。答え、聞いてあげようじゃない! ギブアップよ」
おお……あの諦めの悪いアリサが奇跡的に諦めてくれた!!
「わかりました、では答えは……次回発表します!」
「やったあ楽しみィ!! ……って次回ってなあに?」
「えーと……間違えました」
「なーんだそうよね? 急に変な事言うからビックリしちゃったw」
「これ……引っ張る程の事なのかなあ?」
鎌瀬の当然の様な疑問。
私の書いている小説です
リンク先はブログより4話ほど進んでいます。先が気になる方はご覧下さい。
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