本サイトでは、海外駐在員になるためのノウハウを紹介しています。管理人のプロフィールはこちら

IT業界の海外駐在について 3度の駐在経験から解説

IT業界の海外駐在について 3度の駐在経験から解説

2度目の海外駐在はITベンダーでした。

2007年、30歳、上海に3年間赴任しました。

この頃の中国は、まだまだ工場新設ラッシュで、仕事は待ってれば来るような状態だったので、私も増員という形で上海に赴任しました。

IT業界は、一社あたりの駐在員の数はあまり多くありません。

1社あたり1~10名ではないでしょうか。

ただし、IT業界は小さい規模ながら会社数が多いので、一度海外駐在を経験すれば、他の会社で再び呼ばれる可能性もあります。

ここでは、IT業界の海外駐在員ってどうなの? どんな仕事をしているの? リアルな年収はどのぐらい?

この辺りを紹介していきたいと思います。

 

Advertisement

IT業界の海外駐在事情

IT業界は、お客様の課題解決にIT商材を幅広く提供するSIerと呼ばれる総合メーカーと自社製パッケージソフトを提供するソフトウェアメーカー、システム開発専門の開発会社などがあります。

  • SIer
  • ソフトウェアメーカー
  • システム開発会社

SIer

まず、SIerについて紹介します。

SIerは、エスアイアーと呼び、お客様の課題を解決するIT商材を何でも提供するのが特徴です。いわば、IT業界の何でも屋ですね。

時には自分達でシステム開発することもありますし、既に世の中に出ているソフトウェアがあれば、それらを組み合わせてお客様に提案し、課題解決をしていく形となります。

有名な会社は、以下の通りです。

・NTTデータ

・NEC

・富士通

・日立製作所、日立ソリューションズ、日立システムズ

・野村総合研究所

・CTC

・SCSK

・新日鉄ソリューションズ

これらの会社の多くは、日本のお客様が海外進出したため、一緒に海外へ出ていったケースが多いです。

お客様が日系企業なので日本人が必要となり、日本人の駐在員を送り込む理由になります。

海外駐在員の数は、それなりに多く、一社あたり5〜10名ほどいるかと思います。

会社規模が大きい会社であれば、社長や事業部長、部長など要所要所に日本人を置く事になり、人数が増えてきます。

また、SIerの特徴として、1つの国ではなく、日系企業の進出する複数の国に進出してくので、海外駐在するべき拠点が増えて、海外駐在のチャンスが広がっていく事も特徴の1つです。

ただし、気を付けなければならない事は、近年、海外の日系企業が日系SIerに頼らず、現地系SIerに相談する事も増えてきました。

これは、日系SIerが高コスト構造だからです。

当然、海外駐在員が多ければ多い会社ほど高コスト構造になるので、日系SIerが提供するITは高くなります。このため、日系SIerから高いITを買うのではなく、現地系SIerから安いITを買う例も増えてきています。

競争が激化しているため、日系SIerも徐々に海外駐在員を減らし、現地スタッフに業務を任せる現地化していく傾向が強まっていると言えます。

ただし、SIerが進出する全ての国で現地化が進むというよりは、国によっては現地化が進み、国によっては日本人中心というように組み合わせもあるので、海外駐在員のチャンスが全くなくなるわけではありません。

ソフトウェアメーカー

続いて、ソフトウェアメーカーについて紹介します。

ソフトウェアメーカーは、日本で開発したソフトを海外市場で販売するために海外に拠点を設けています。このため、自社オリジナルのソフトウェア製品を持っています。

多くは、日本マーケットでシェアを獲った自信のあるソフトで、それを海外で販売しようと拠点を立ち上げています。

このため、海外駐在員の役割は、ソフトの販売、技術サポート、本社との連携が求められます。

海外での販路開拓で、知り合いもコネクションもない現地の会社にソフトウェアを販売するのは非常に難しいため、多くのソフトウェアメーカーは、自社で直接販売するよりも、パートナーを見つけ、パートナー経由で販売する形をとります。

パートナー販売に頼ると、自社に営業機能をあまり置く必要もないので、ソフトメーカーの海外拠点の規模は小規模のものとなります

社員数は20名以下のところが大半で、日本人は1~3名、それ以外は現地スタッフという形が多いです。

日本人の役割は、社長、営業責任者、技術責任者になる事が一般的です。技術サポートを現地スタッフ主体でできる場合は、社長と営業責任者だけ日本人という事もあります。

主にこのような会社があります。カッコ内はソフトの名称を書いています。

・日立製作所 ソフトウェア関連事業部(JP1)

・セゾン情報システムズ(Hulft、Data spiderなど)

・サイボウズ (Kintone、Garoon)

・アスプローバー(Asprova)

・東洋エンジニアリング(mcframe)

・エイチアールワン(HROne)

ソフトウェアメーカーは他にもたくさんありますが、多くなるのでここでは省略します。

システム開発会社

システム開発会社は、システムの開発を海外で行う会社です。

海外で開発する目的としては、安価なコストや優秀な技術者に任せるためです。日本で開発するよりも安く、早くできるため、海外で開発する形となります。

主な会社はこちらです。

・富士ソフト

・トランスコスモス

システム開発会社の海外駐在員の数ですが、一社あたり1名~3名とあまり多くありません。

システム開発自身は、現地スタッフが担当するため、日本人駐在員が担うポジションは社長や開発責任者などに限定されます。

日本からの開発案件を裁く形となるため、営業機能も必要ありません。

ユーザー系IT企業について

先程、紹介した会社は主に外部のお客様にITを提供する会社ですが、IT企業の中にはユーザ系と呼ばれる商社や製造業を母体としたグループにITを提供する会社もあります。

これらはユーザ系IT企業と呼びます。

ユーザ系IT企業は、親会社及びそのグループ会社にITを提供する事になるため、IT企業として海外駐在するのではなく、親会社として海外駐在します。

親会社の情報システム部門に駐在する形となり、親会社の駐在員と同等の扱いになります。待遇も親会社基準でIT企業として海外駐在するよりも好待遇になる事もあります。

例えば、このような会社があります。

・三菱UFJインフォメーションテクノロジー

・日本総研

・みずほ情報総研

・パナソニックインフォメーションシステムズ

・住友化学システムサービス

・JFEシステムズ

・コベルコシステムズ

情報システム部に配属となるため、海外駐在員の数はあまり多くありません。

1つの国もしくは地域で、1名~2名程度と思われます。

情報システム部長と技術担当という組み合わせが多いかと思います。

Advertisement

海外売上高の高いIT業界の会社

残念ながら日本のIT企業は、米国や欧州に完全に負けています。

世界で戦えるIT企業はほとんどないのですが、その中でも海外売上高比率の高いIT企業をリストアップしました。

1位:富士通

2位:NTTデータ

3位:NEC

4位:日立製作所

どれもSIerになります。

やはり特定のソフトや開発だけでなく、PCもサーバもネットワークもデータセンターも何でも売るような会社でないと、海外売上高は高くならないという事でしょう。

 

海外売上高の高いSIerは、様々な拠点に海外進出しているため、海外駐在の可能性も多くなります。なので、海外駐在するために最もお勧めする会社は、この海外売上高の高いSIerで働く事だと思います。

 

IT業界の駐在先での仕事内容

IT業界の仕事について簡単にご紹介します。

IT業界は、金融機関、保険、工場、小売りなど様々なお客様にITを提供する形になるため、市内の移動が便利な場所にオフィスを構える事が多いです。

このため、通勤や食事の便も良く、仕事環境としては快適です。

ただし、少ない人数でいろいろなお客様にサービスを提供する形になるため、海外駐在員は全体的に激務です。

私も過去に駐在した中で、IT業界が最も激務でした(笑)

お客様のやりたい事に対して、どのような提案ができるのか、提案書に纏めていくのですが、嬉しい事に毎日新たな提案依頼が届き、土日含めて休まず働いていた事を覚えています。

特に、激務なのはSIerです。

SIerは何でも屋のため、様々な要求に対して答えていかなければならないため、カスタマイズ性が高く、パターン化して仕事を回していく事が困難に近いです。

逆に、ソフトウェアメーカーやシステム開発会社は、提供するITが決められたものになるので、業務のパターン化が容易で、比較的に余裕があると思います。

仕事は激務でしたが、他の業界と違って最も良い事は、どこでも場所を問わずに働ける自由な環境がある事かと思います。

IT業界は、PCとWifiや4Gさえあれば、どこでも仕事ができるので、カフェで仕事をする事も多かったです。

家でも仕事ができます。

それが逆に土日に仕事を持っていき、働く事にもなるんですが(笑)

IT業界の駐在先での役割

駐在先ではほぼ高い可能性で、マネジメント業務に就くと思います。役職も日本の時と比べて1段階、2段階上を任せられる事が多いです。

ITは技術の進化が早く、年齢とともにIT技術で勝負する事は難しくなるため、多くの駐在員はビジネスや営業などをマネジメントしていくような仕事を担います。

海外で就く役職のパターンとしては、社長、事業本部長、部長職です。

社長:会社全体の採算責任を担う
(日本の役職は部長、本部長)

事業本部長:事業本部のマネジメントや採算責任を担う
(日本の役職は部長、副部長)

部長:部門のマネジメントを行う
(日本の役職は課長、係長)

 

IT業界はあまり駐在員が多くないため、現地スタッフ中心の組織をマネジメントしていく形になります。

多い会社で、100名~200名の部下を抱える事になります。

 

また、IT業界で、若手のプレーヤーを任せれる駐在員はほとんどいません。あるとすれば、海外トレーニーとして1年、2年間の業務体験を積むための赴任という形にとどまると思います。

IT業界における海外駐在員の職種

IT業界の職種は、営業、技術、サービス企画の3つが中心になると思います。

それでは、3つの職種について紹介していきます。

営業とは?

営業は、お客様先を訪問し、商品の説明を行い、見積り、受注と進めていく仕事となります。常にお客様の窓口を担当します。

お客様の主力が日系企業であれば、日本人駐在員が営業部長になるケースが多いと思います。現地スタッフをマネジメントし、期に建てた営業目標を達成していく形となります。

営業は、成果が見えやすいので駐在員のレベルによって大きく差が付くと思います。

技術とは?

技術は、プリセールスと呼ばれる技術営業と実際にシステムの開発やネットワークやサーバの導入を行うシステムエンジニアの2種類があります。

日本人駐在員が多く赴任するのは、プリセールスの方だと思います。

IT業界の海外拠点は日本に比べてそれほど大きくなく、お客様数も少ないため、営業してなんぼのところがあります。このため、営業にかかわるプリセールスに日本人駐在員を置く会社が多いです。

日本で構築中心のエンジニアでも、海外駐在すれば日本人の求められるプリセールスへ転身という事もあり得ます。実際に私も構築エンジニア出身でしたが、2度目の海外駐在ではプリセールス部門の責任者を経験しました。

サービス企画とは?

最後のサービス企画ですが、こちらは新しい商品を企画開発する職種となります。

この職種を置いている会社は、業績が良く儲かっている会社だと思います。

海外駐在員は人数が限られるため、サービス企画職に海外駐在員を置く事はなかなか難しく、本職種を置いている会社は、マーケットで強いポジションをとっている余裕のある会社に限られると思います。

また、専任化できない場合は、他の海外駐在員が兼務する事もあります。

現地にあったITを提供していこうと思うとサービス企画職が必要になってきます。

IT業界における海外駐在員のリアルな年収

皆さんが一番気になるところではないでしょうか?

Iそれでは、海外駐在員になりどのぐらい収入をもらえるのか?お伝えしていきます。

IT業界は、昔から歴史のあるSIerやユーザ系IT企業は待遇が良いです! ただし、新興企業やベンチャー企業、ソフトウェアメーカーやシステム開発会社はあまり待遇が良くありません

30歳での年収の例となりますが、

当時の年収700万弱に対し、海外赴任では1,200万円近くをもらっていました。

給与は約1.7~1.8倍です!

私の場合は、上海への赴任でした。

正直言うと、2002年の1度目の蘇州駐在の方が多くもらえたのですが、海外駐在が一般的なものになったため、海外駐在員手当も減り、ハードシップも減り、かなり減りましたね。

それでも30歳で、1,200万円も立派かと思います。

1度目の海外駐在の年収はこちら↓で公開しているので、興味があればぜひ読んでみてください。

 

製造業の海外駐在について 3度の駐在経験から解説

Advertisement

1,400万円の内訳ですが、海外赴任手当が20万円、ハードシップ手当(危険国手当)が10万円ぐらいでした。2002年の蘇州に比べたら大分減りましたが、それでも日本に比べたら圧倒的に多いです。

また、住居は会社負担だったので、タダで借りてました。

上海は、物価も高く、食事もお酒も美味しいので、お金を使ってばかりで、残念ながらあまり貯金できませんでした。(笑)

結婚した時に、今の嫁から「あなた全然お金ないじゃん?」と言われたのを今でも覚えてます。

でもまあ、それでもきちんと節制していけば、十分お金もたまります。海外駐在すれば、家が建つという都市伝説がありましたが、これは本当の話なんですよね、

IT業界の駐在員を目指すには?

それでは、IT業界の駐在員を目指すにはどのようにすればよいのでしょうか?

IT業界は、ライバルも多く、海外駐在のチャンスなあまりないのですが、実際に私がなぜ海外駐在できたかと言うと以下が理由となります。

  • 海外売上高の高いSIerに入社すること
  • ITに強いプロジェクトマネジメント資格を持っていたこと
  • 語学を話せるようになること

 

この中でもっとも重要なのは・・・

海外売上高の高いSIerに入社する事だと思います! 海外駐在は会社選びでほぼ決まります。その中でも、SIerは、複数の国に海外進出していることが多く、他のソフトウェアメーカー、システム開発会社、ユーザ系IT企業よりも圧倒的にチャンスが多いです。

 

それでは、海外売上高の高いSIerをどうやって探せばよいでしょうか? 日本には、3,600社の上場企業がありますが、ここから1つ1つ調べていくのは非常に大変です。

探すだけで1年以上かかると思います。

なので、時間に追われるあなたに紹介するおススメの方法は、転職エージェントに登録して、勝手に探してもらうことです! これ、とても重要です。

私が一番おすすめする転職エージェントSAMURAI Jobをご紹介します


有力な求人はすぐになくなるのでお早めに!

SAMURAI Jobは、年収700万円~2,000万円のハイクラスに特化しており、海外駐在の求人が多いのが特徴です。私が過去に利用した大手転職エージェントのJAC Recruitmentが参画したサービスで、JAC RecruitmentはIT企業に非常に強いです。

【海外駐在員転職のおすすめ度】:★★★★★

SAMURAI Jobはこちら↓↓から


有力な求人はすぐになくなるのでお早めに!

私のおすすめする転職エージェントを他にも紹介していますので、時間があればこちらをご覧ください。
5分ほどで読める記事です。

まとめ

IT業界の海外駐在についてご紹介しました。

IT業界は、あまりチャンスは多くないのですが、海外売上高の高いSIerに所属をすれば、チャンスはあります

若手で海外駐在するのは比較的難しく、30代、40代以上の経験値を海外で発揮するパターンが一番多いのではないでしょうか。

海外駐在員は、社長や副社長、事業本部長、部長など、上位の職位を担う事が多いと思います。

海外駐在を目指すには、やはり海外売上高の高いSIerに所属するのが一番の近道で、転職エージェントに相談して、早めにアプローチしてください。

転職するなら、SAMURAI Jobをお勧めします! グローバル求人が多数登録されています。

海外駐在カテゴリの最新記事