心と身体をつなぐコラム&エッセイ「意識と霊性」

心と身体をつなぐコラム&エッセイ「意識と霊性」

私は人間の意識など知れたものだと思っている。
意識だけで考えようとすることは、この世界のすべての物事を人間の頭脳で理解しコントロール(支配)しようとすることに繋がっていくのだと思っている。
また人間が他の人間を理解するときに、すべて自分の意識(概念、価値観)で判断しようとするため、容易に相手を責めたり批判したりすることになっているのだと思っている。
この世界には人間の意識では感じられない霊性がある。

霊性とは宇宙や生命の根源である。
宇宙の一部でもある人間も霊性が備わっている。それは人間の形をした霊性のなにかだろう。
人間が人間を理解するときには、この霊性も含めて理解しなければいけないのだと思う。
人間どうしの理解だけでなく、この世界のすべての理解も霊性を感じずに叶わないのだと思う。
祈りとはこの霊性を感じ、つながる手段なのだと思う。
おそらく人間がまだ野生に近く、意識が現代ほど肥大していなかったときから行われてきたものに違いない。
霊性を身近に感じ、さらに深める手段が祈りだったのだろうと思う。

おそらく現代人の多くは、「祈りをすれば何の得があるのか」などと考えてしまうのではないだろうか。
つまり祈りも意識によって行い、結果を求めるための手段としてしまうのではないかと考える。
私はこの世界の出来事はすべて偶然の産物だと思っている。
人間がなにかを意図して行った結果も偶然だと思っている。
意図する結果があらわれたとしても、それは確率が上がっただけであり、根源的には偶然でしかないと思っている。

人間は意識のある動物である。ゆえに科学を発展させさまざまに農業や工業を発展させ、子孫を増やしてこれたのだろう。
しかしこの意識があるがゆえに、地球を汚染し、動植物を絶滅に追いやり、他者を攻撃し戦争を起こしているのだと思う。
そして意識が霊性への感性を鈍らせていると思っている。
日本では縄文時代以前の戦争の痕跡が見つかっていない。縄文時代というのは人間の生活が祀り(祈り)とともにあった。
私は今の社会で、現代人が忘れているであろう”祈る心”を取り戻すことが必要なのだと思う。
霊性を感じる能力を取り戻すことで、すべてのものに腑に落ちて感謝することができるのだと思っている。

こう言っている私も日常生活において心が乱れ、祈りが浅くなることがある。
そして意識だけで考え、委ねることができず、自分で自分を苦しめてしまう。
こういうときに遥か太古からの祈りの智慧が有り難い。
断食や瞑想、護摩行、回峰行や滝行、修験の荒業、祭り、礼拝、これらすべてには太古からの祈りの智慧があるのだと思う。
祈りを深め霊性を感じるためのこれらの智慧にあやかって行きたいと思う。

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