2016.12.25

昨日はご家庭でクリスマスを過ごされた方も多いかと思います。クリスマスプレゼントを車のトランクに隠しておいたのは、もう40年以上前になるでしょうか。

 ちょうど今から10年ほど前の話です。当時の大阪府教育委員会の委託事業で、府立の特別支援学校(大阪府は特別は付かず○○支援学校)の生徒の就労支援を行っていた事があります。就労を希望する各学校の生徒を実習を体験して、就労へつなげる仕事です。その時に実習で不合格になる生徒には共通点があることに気がつきました。

 それは、基本的な生活習慣が身についていない事です。スキル以前の家庭でのしつけに起因する事案です。たとえば、エプロンが後ろで結べないとか、(もちろん、身体的に出来ない場合は別にして) タオルをたためないとかです。私は彼らの実習でこの様な事に気づき「高校生ではもう遅い」と感じたのでした。

 そこで、進路指導の先生方への支援と同様、各学校を巡回して保護者のみなさまに話をさせて頂きました。特に小学校高学年から中学生の保護者に対して、「働く大人になるために」「障がいのある子どもたちの現状と将来の課題」「幼少期から始めるキャリア教育と社会参画の必要性について」などのテーマでお話しさせてもらいました。

 キャプチャこの中で、共通して話したのは「家庭でのしつけ」や「お手伝いの大切さ」です。前記の不合格の事例で、保護者にそのことを伝えると「もっと学校でちゃんと教えてもらわないと困る」と言ったのです。私は「それは学校ではなく、家庭でしつけを通して教えるのが基本ですよ」と言いました。「教えること=学校」ではありません。家庭で教えて頂くこともたくさんあります。


 家でのお手伝いは案外将来の就労につながる事が多いのです。家で洗濯物をたたむお手伝いをしている子供はタオルたたみも上手です。食後の食器洗いをお手伝いしている子供は、レストランの実習で皿洗いの手際の良さが認められて採用されたこともありました。また、家族に高齢者が居て、普段から車いすを押すことに慣れていた生徒は福祉施設に就職出来ました。お年寄りと話すことにも慣れていてお世話もできたのです。

 watermarkこの様に、家庭でのお手伝いを通じて、しつけの出来ている子どもはやはり見れば分かります。また、お手伝いで「他人の役にたつ」ことや「他人から必要とされる」事を感じます。これが大きな励みになります。こんな事をいろいろな学校の保護者会や地域のグループによる「学習会」などで3-4年話をする活動をしていました。最近では、学校との縁も遠くなり、この活動からは遠ざかっています。

 ところが、先日ある企業の社長さんの話を聞く機会がありました。障がい者を雇用して頂いている企業です。その時に聞いた話で「ぞうきんが絞れない」という話が出ました。掃除のときにぞうきん掛けをするのですが、水に浸かったぞうきんを絞るのにおにぎりを握る様に、手のひらを押し付けていたのだそうです。両端をもって絞るという事を知らないのです。また、洗う時もバケツの水につけて、ひらひらとゆするだけだったそうです。「もみ洗い」を知らないのです。

 その社長さんは「多分、家でもウェットティシュ」を使っているので、ぞうきんなんて知らないのだろうと言っていました。この話を聞いて私は「今も全然変わっていないな」と改めて思いました。やはり家庭で基本的な生活習慣は身につけて欲しいものだと改めて思ったのでした。将来、親亡きあとに自立できる最低限の生活習慣を身に付けさせるのは学校ではなく家庭だと思います。

「サポート21・なら」では、保護者のみなさまへの研修や学習会も受けたまわっています。学校単位・地域単位でも20名程度以上まとまれば可能です。詳細は下記ホームページの支援メニューから「保護者の皆様へ」をご覧ください。お問い合わせは、同ホームページの「お問い合わせ」よりお願いします。

 

本年も「日曜コラム」のご愛読ありがとうございました。新年は19日からとなります。来年もよろしくお願いします。

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