2023.1.15-1奈良市内にある菅原天満宮の梅の花が咲き始めました。盆梅展も間もなくです。

 昨年1223日に厚労省及び各地の労働局から、令和4年の障がい者雇用状況が発表されました。詳細データと解説は14日付のサポート21・ならのホームページにアップしいていますので、合わせてご参照ください。このデータを読み解いていくと、いろいろな課題が浮かびあがります。ちょうど1年前の2022116日のコラム「法定雇用率の限界??で書いた課題を継続しています。

 私が一番の課題と思うのは「法定雇用率の達成率」です。全国平均で48.3%、昨年比+1.3%と増加しているものの、50%にも達していません。1976年に1.5%からスタートした法定雇用率制度ですが、現在まで一度も50%を達成出来ていません。達成率のトップ10を見ても、最高が島根県の67.6%70%にも達していないのです。

 前記の様に1.5%からスタートして、1.61.82.02.22.3%と法定雇用率が引き上げられています。しかし、結果として法定雇用率を守れているのは従業員1000人以上の大企業だけなのです。中小企業ほど雇用率・達成率ともに低下していきます。つまり、中小企業にとって障がい者雇用は大きな負担になっている事が分かります。

 「雇用率」だけを求めるのではなく、雇用のすそ野とも言える「達成率」を上げる施策に転換すべきだと思います。前記の昨年の雇用状況によると、障がい者をひとりも雇用していない企業(0人雇用企業)32,342社で未達成企業の58.1%を占めています。また、全国の未達成企業55,684社のうち不足数が0.5または1人の企業(1人不足企業)65.4%もあり、これらの企業が「あとひとり」雇用してもらえば、雇用率は飛躍的に向上します

 来年4月からは週に10時間から20時間の短時間労働も、0.5人としてカウント出来る様になるので、雇用のハードルは下がり雇用しやすい環境になります。(精神と身体・知的の重度が対象) この法律も達成率を上げるためには有効だと評価出来ます。法律はすでに公布されていますが、周知期間が必要なので、施行は1年後になります。

 それと、過去に何回も書いている「障がい者雇用支援サービス」という、障がい者の雇用代行サービスを利用しても、正規の雇用率に算入出来ているのも、現在の雇用率が正確でない一因となっています。実態と数字が乖離しているのです。公表されている企業の雇用率に、このサービスを利用して計上されている数値の公表を義務付けるべきだと思います。

 会社から何百キロも離れたへき地や離島で、会社とは何の関係もない農業などで、雇用率を稼いでいる実態をもっと多くの人が知るべきだと思います。人事の担当者しか訪問したこともなく、働いている本人も、所属している会社にも行ったことがないのです。数字だけ法定雇用率を満足していても、その会社には障がい者雇用の実態がなく、ノウハウも当然ありません。まさに、「名ばかりの障がい者雇用」けなのです。このように、現在の法定雇用率制度は大きなカベにぶつかっているのが現状かと思います。改めて、官公庁も含めて、障がい者の働き方を考え直す時期にきている様な気がします。

 ようやく取り上げるメディアも出てきました。個人的には、もっと問題を大きくして世に問うべきだと思います。参考記事に書かれている会社のホームページに利用している企業の一部が出ています。関西の障がい者雇用のさきがけの様な企業が出ている事にも驚きます。この件については、現在詳しい情報を収集中です。改めて、別の機会に書いてみたいと思います。

 

参考記事  共同通信 19日他

障害者雇用「代行」急増 法定率目的、800社利用
https://nordot.app/985151549346955264

障害者雇用「代行」報道は「一方的で不適切」
https://www.j-cast.com/2023/01/12454004.html

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