にわかお城ファンの旅行記

にわか城好きの歴史探訪記

周りに影響されて城巡りを始めました。百名城スタンプ目当てだったのに気がついたら沼にハマっていました。

谷戸城 (山梨県北杜市) -土塁内側の空堀の意図は?

要害山城に引き続き訪問したのは、北杜市にある谷戸

古い時代に築かれた城ですが、ここも良い残り具合。
整備も行き届いていて、気になる遺構をじっくり見ることができました。

ちなみにタイトルの疑問は結局疑問のまま。誰か教えてください。

お城:谷戸城 山梨県北杜市
HP:谷戸城址(やとじょうし) | ほくとナビ
訪問日:2022年2月

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概要

平安時代末期に甲斐源氏3代当主、逸見清光が築城したと伝わります。
清光の子、武田信義は武田氏の初代当主です。

その後、武田氏の信濃侵攻や天正壬午の乱での北条氏の陣に使われたとも伝わります。

西衣川、東衣川に挟まれた小山に築かれ、同心円に郭が並ぶ縄張を持っています。

訪問記

駐車場~北側斜面

八ヶ岳の麓、北杜市谷戸城へ

ここ、結構地元が力を入れて整備していて、広い無料駐車場とトイレ
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北杜市考古資料館も整備されています。
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あいにく休館日でしたが。。。

八ヶ岳も臨む風光明媚な土地柄で、確かに観光名所になりそうな。コアすぎるような。
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それでは、入り口にいきなり立派な城址碑をもつ城跡へ向かいましょう。
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完全に公園の見た目で不安がよぎりますが、その不安は杞憂でした。
読まれている方の不安もおいおい解消されていくと思います。

最初に看板をお借りして全体像を確認。
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一の郭を中心に、外側に二、三の郭と土塁に囲まれた3つの郭。
外に四、五の郭、さらに遠くに居館スペースである六の郭が置かれています。
土塁や堀もたくさん描かれていて期待が高まる縄張図です。

散策コースは、北側から外郭を回って五の郭。
その後、中心を通って南、西側を見る一筆書きで進みましょう。

という訳で、最初は北側の横堀
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結構広く深い堀が早速お見え。
北側が谷戸城で唯一尾根続きで、そこを切る意図で掘られたもの。

というようなことが、解説板に書かれています。このあたりの整備も万全でした。
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解説全くなし、という城も多い中でこれはありがたい。

堀を越えてまずは北側斜面をまわります。
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大して登っていないのに、ふと気がつくとそれなりの標高差。
うまく地形を利用して築城されていますね。

低くなっているものの短い土塁と
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埋まって通路のようですが、長い北空堀が2本。
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もう1本は浅すぎて分かりませんでした。
左手は北帯曲輪かと思いますが、この辺の遺構は看板も無くて正直分かりにくい。。

そのまま東側斜面に辿り着いて
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竪堀?越しに東衣川を眺めたところで改めて正面へ。
今のところ遺構は玄人向けで公園散策気分ですが、中心部はきっと違うはず。

四の郭、五の郭

ということで、四の郭方面へ
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帯曲輪?とか
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堀跡??とか
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相変わらず首を傾げながら

ようやく四の郭へ到着。ここからだいぶ分かりやすくなってきます。
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四の郭は外周をひざ丈ほどの低い土塁に囲まれています。
防御性は全くないと思われ、ただの目印のようですが、意図が気になるところ。

広さはかなりあるんですが、自分ならもうちょっと守ってほしいかな。。。
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中心部とも性質が異なり、造成中に放棄されたか臨時の郭と考えられているとのこと。

内側に進むと、低い土塁からなる喰い違い虎口
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奥の二、三の郭外周の土塁と比べても喰い違い虎口の土塁が低いことが分かります。
この高さは当時からこうだったのかな。相変わらず防御性を感じない土塁で。

土塁の間は喰い違い虎口に引き続き帯曲輪が広がり、二、三の郭の外周を囲みます。

虎口西側は浅くなっているものの空堀
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内側の二、三の郭を重視していたことが窺い知れるようにも思えます。

東方面も空堀を置いたうえで帯曲輪となっていました。
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今の空堀は、、、少しだけ深くなっているところもありましたが、分からない。。

通り抜けると五の郭方面へ。
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写真奥が、東に突き出た五の郭。
左手の低い土塁は先ほども見た四の郭のもの。ずっと続いていました。
本当に何のためのものでしょうか。

改めて五の郭。こちらは土塁や堀の全くない無い平場
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立地からすると物見に使えそうな気はしますが、清々しいほどの守りのなさ。
東側も断崖とはいえ、なかなか割り切った構造です。

三の郭〜一の郭

ここから折り返して城の中心部へ。東側からつながる二の郭への虎口を通ります。
この虎口は縄張図に書かれていなかったので、もしかすると邪道な入城かも。。
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内部は二の郭
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一の郭周囲を三の郭と囲む二の郭には、複数の建物があったことが分かっています。

そして、なんといっても特徴的なのが、土塁の内側に設けられた堀
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土塁外に掘るなら分かりますが、内側じゃ守りにくいだけでは?
と思う構造にも、もちろん理由はあるのでしょう。博物館開いている日に来るべきだった。。。

堀底に下りる階段も付けてありました。
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堀はそれなりに深く、その分土塁も思った以上に高いのです。
そして、引っ付き虫だらけでズボンがえらいことに。。

北側、四の郭側の虎口
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こちらは縄張図にも描かれた当時からのもの。やはり喰い違い虎口になっています。

虎口の西側は土塁に登れるようになっていました。
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土塁を崩して平場とした形跡があり、当時から物見だったと考えられています。
木が無ければ麓も良く見えるでしょう。

そのまま西側に回り込んで三の郭
二の郭との境はなく、一体となって一の郭を囲んでいます。
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変わらず土塁内側に堀。こちらは二の郭より狭く、土塁も低め。

土塁の低さは下段の西帯郭との高低差が大きいからと考えられています。
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なかなかな急崖です。

ぐるっと東に戻って、一の郭虎口へ。

ここは谷戸城には珍しく喰い違わない虎口。
門があったと想定されていますが、確実な痕跡は見つかっていないそう。

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今は土塁が整備されていますが、木のあたり雑さを感じなくもないような

一の郭
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土塁に囲まれた一の郭は谷戸城の最高部、中心に置かれています。
柱穴が検出されていますが、建物ではなく柵が置かれたと思われています。

土塁は東側が高く
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西側は低めです。こちらは一の郭西側の虎口。
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ここもやはり喰い違い虎口。当時の流行りか好みか。嗜好が垣間見えて面白い。

この虎口はさらに外側の三の郭との間に階段も置いて防御性を高めています。
その割に土塁が低いですが、これも高低差ゆえかな。

南帯郭~搦手~西帯郭

一の郭の後、南へ抜けて残りを見ていきます。
ここにも虎口が置かれ、やはり土塁内側に空堀を持つ喰い違い虎口
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空堀に降りる階段が設けてありますが、当時から虎口付近ほど空堀が浅く、出入りを想定した造りだったそう。
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虎口を抜けると細い南帯郭。南面も斜面でとても上り下りできる風ではありません。
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という訳で、素直に西に回って搦手虎口
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ここは、空堀が複数掘られていますが、それ以外は自然の斜面が残っているような。

城外まで続き、当時から空堀に隠れて移動する通路でもあったと考えられています。
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こんな感じで登っていたのかな
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かつての城兵になった気分でもう一度登って、西側からスタート地点へ。
途中にあるのが、西帯郭
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今は細い郭ですが、当時は土塁もあり、2段に分かれていたりと違っていました。

最後は道路を挟んで向こう居館ゾーンだった六の郭を上から。
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今は畑ですが、大きな土塁が残るのが見える、かな。
結構立派に残っているものです。

というようなことを考えていたら、一周。余すところなく回って満足です。

感想

満足度 3.5/5

城めぐり素人でも分かる変わった遺構と、素人にはわからない設計思想が気になる名城でした。
土塁内側の空堀や、低い土塁、外縁部と中心部との設計の差などとても気になる点が多く、やっぱり資料館の開いている日に来たかったなぁと。

子供連れもいらっしゃっていましたが、とくに中心部はよく整備されていて古い土の城でも興味を持たれやすい状態でしょう。草原遊び感覚だったかもしれませんが。

アクセス

谷戸

  • アクセス
    電車・バス:JR中央線 長坂駅または小淵沢駅から北杜市民バス JA大泉支店前下車 徒歩5分
    車:中央道 長坂ICから約10分
      無料駐車場あり(約35台)
  • 城跡
    散策自由
  • 所要時間
    ~1.5時間
  • 付近のスポット
    百名城関連だと新府城が一番近くにあります。

    tmtmz.hatenablog.comちと遠いですが、武田氏つながりで。

    tmtmz.hatenablog.com谷戸城は桜の名所でもあるそうです。桜つながりで。

    tmtmz.hatenablog.com

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