ろうげつ

花より男子&有閑倶楽部の二次小説ブログ。CP :あきつく、魅悠メイン。そういった類いが苦手な方はご退室願います。

若宗匠の懐刀(総+つく)前篇

2022-01-01 01:11:00 | 短篇(花より男子)
私がお仕えする西門流の若宗匠は、半端なくモテる。
想像を絶するほどのモテ具合なのだ。
何せ若宗匠は、美形でスタイル抜群で頭脳明晰でお金持ちで家柄も良くて愛想も良い。
だから当然、女性陣が放っておかない。
ワンナイトラブでもいいからお相手願おうと、女性達が若宗匠の周りをウロウロする。
となれば、どうなるかは火を見るより明らか。
据え膳食わぬは男の恥とばかりに、アッチへフラフラ、コッチへフラフラとして日に日に女遊びが激しくなっていく。

そしてある日の事、ついに若宗匠はやらかしてしまう。
大事な茶会を翌日に控え、事もあろうに夜の街へと繰りだしてしまったのだ。
流石にこれはマズい。
こんな事が家元にバレたら、叱責を浴びるだけではなく三日三晩、説教を喰らう羽目になるだろう。
若宗匠も、若宗匠のお目付け役である私も。
まあ、それだけで済むのならまだいい。
宗家だけの話として、内々に処理すればいいのだから。
一番厄介なのは、一門衆や後援会や門弟にバレた時だ。
大事な茶会を前に遊び惚けていたと知られたら、叱責どころの騒ぎではなくなる。
示しがつかないどころか、下手をすればそっぽを向かれ、若宗匠を返上しなくてはならなくなる・・・かもしれない。
そう思い至った私は若宗匠の居所を掴むべく、一人の女性の元へと駆けつけた。


「いや、あの、何で私に聞くんですか?私は西門さんの彼女でもなければ、友達でもありません。単なる後輩です。しかも、大学は別々だし余計に接点は少ないです。なので当然、西門さんの居場所なんて知りませんよ」

「えっ!?あ、いえ、あきら様に若宗匠の居所を尋ねたんですが、『生憎と俺は知らない。牧野なら知ってるかもな』と言われたものですから」

「はぁぁ!?」

「とは言え、いきなり牧野様を訪ねても、牧野様が面食らってしまうと思い、道明寺財閥の司様に若宗匠の行方を尋ねてみました」

「・・・既に面食らってますけど」

「司様のオーラに圧倒されそうになりましたが、それでも私は勇気をふり絞って窺(うかが)ったんです」

「・・・スルーかい!」

「そうしましたら『牧野に聞け!』と一喝されまして」

「あぁん!?」

「もっと粘ろうかと思いましたが、取り付く島もない状態でして。ですが、立ち止まる訳には参りません。若宗匠不在を家元に知られる前に、是が非でも見つけ出さなければ。ですので、一縷(いちる)の望みをかけ、花沢類様に尋ねました。そうしましたら・・・」

「そうしましたら?」

「類様は『俺が総二郎の居場所を知ってる訳ないだろ?そんなの、牧野に任せておけばいいんだよ』と、仰っしゃられまして」

「あンのヤロー・・・」

「と、言う訳で牧野様、後生ですから若宗匠の居場所を教えて下さい。でないと、私も若宗匠も大目玉を食らってしまいます。下手すればお家騒動になるやもしれません。お願いですから助けて下さい」

「ですから、何で私!?先程も言った通り、私と西門さんとの間にはなんっっっにもありません。ええ、ええ、それは見事なまでに何っっっひとつもありません。ぺんぺん草一つ生えないくらい真っさらなもんです。そんな私が、西門さんの居場所を知る訳ないじゃないですか」

「ですが、あきら様や司様、類様は口を揃えて牧野様に聞けと・・・」

「アイツら・・・鏖魔(みなごろし)にしてやろうか」

「はっ?」

「いえ、こちらの話です。兎に角、私はアイツらとは何の関係もありませんから」

「そんな後生な!お願いですから、お力を貸して下さい。若宗匠がいそうな所を教えて下さい。私にはもう、牧野様を頼るしか道がないんです」

「何でやねん!」

何でやねんと言われても、意味不明だとボヤかれても、私は諦めませんから。
頼みの綱は牧野様、あなたしかいないんですから。
貴女様は私にとって救いの神なのですから。




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