星が見えるよ。と君はいう、渇いた砂漠、ビ
ルの上、バイト上がりの薄汚れた夜景、泥の
ような私たちはいつも隠れている、まだ世界
の誰もが気づいていない真実、虚栄、真夜中
の北北西も輝く星を見つめていると。人の精
神はあっという間に壊れてしまうということ、
ジャンクフードの香り、私は隠れている、君
の背中を盾にして、そういえば。君が入った
ばかりの若い巨乳の子に告られたって、私は
誰から聞いたんだっけ? 生ぬるい風、手を
回す、私の弱々しい小鳥のような心臓を君に
押しつける。光が目に入らないように、ずっ
と夜が終わらないように――。
世界の真ん中、その少しだけ。左右のどちら
かにずれている私たちは、きっとあの星から
見ても、宇宙の彼方のもう一人の私たちから
見ても、タバコ、巨大なビルの陰に隠れて愛
を深めている、ロマンチックな都会の欠片を
交差点に沈めて、星からは。二度と届かない
ように、深く、深く、青い夜が沈んでいく。
※2021年6月の作品です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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