こんにちは!心理カウンセラーの松田ちかこです。
発達障害ってよく聞くけど、実際のところよくわからない・・・
神経発達症って言葉も聞くけど、何が違うのかもうわからない!
そう思っていませんか。
今回は神経発達症(発達障害)について、簡単にご紹介したいと思います。
- 神経発達症(発達障害)とは
- 『神経発達症』と『発達障害』の違い
- 大きくは3種類
- 生まれつきの特性
- スペクトラムという捉え方
- 原因
- 育児や環境のせいではない
- 発達の特性が出始める時期
- 二次障害
- ありのままを受け入れる
- 相談機関
- 最後に
神経発達症(発達障害)とは
神経発達症(発達障害)は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、行動面や情緒面に特徴がある状態のことです。
診断基準は『DSM-5』と『ICD-11』の2種類があり、日本では『DSM-5』が参照されることが多いです。DSMは精神障害のみ、ICDは精神障害以外の疾病も含まれているもの、という違いがあります。この2種類の診断基準の間には大きな違いはなく、どちらが優れているということもありません。
『神経発達症』と『発達障害』の違い
米国精神医学会が発行する『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、正式名称を『神経発達症』としています。
世界保健機関(WHO)が発行する『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)では、『心理的発達の障害』と表記されていましたが、『ICD-11』(『国際疾病分類』第11版)が今年発行され、名称を『神経発達症』に統一されました。
『発達障害』というのは、『DSM-Ⅳ』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版)で使われていた用語で、DSM-5で『神経発達症』に改訂されたものの、『発達障害』という名称が浸透したため、俗称として残ったものです。
また、余談ではありますが、『障害』という表記のあり方に対する議論があり、『発達障害』を『発達障がい』と表記する場合も多いです。
障害に対して差別的なイメージを払拭する動きがあり、2006年ごろに自治体の多くが『障害』から『障がい』に表記を改めました。
2010年に内閣府が出した『「障害」の表記に関する検討結果について』で『障害』『障碍』『障がい』『チャレンジド』などの表記を検討結果が出されましたが結論は出ず、現在も議論は続いています。
大きくは3種類
神経発達症の主な3種類は次の通りです。
もう少し詳細をお伝えすると、次のような診断名が神経発達症の中に含まれます。
DSM-5では、
「自閉スペクトラム症」「注意欠如・多動症」「限局性学習症」「運動症」「コミュニケーション症」「知的能力障害」「チック症」
そしてICD-11では、
「自閉スペクトラム症」「注意欠如多動症「発達性学習症」「発達性協調運動症」「発達性発話または言語症群」「知的発達症」「常同運動症」
を神経発達症群とまとめています。
これらを総称して、神経発達症といいます。
生まれつきの特性
生まれつきの脳の働き方に違いがあるものです。
同じ障害名でも、特性の現れ方が違ったり、いくつか併せ持ったりします。
言語・コミュニケーション・社会性などの発達に何らかの特性(偏りやゆがみ)があることによって生じる不適応状態が、さまざまな困難を生じさせてしまいます。
支援のためには子どもの認知機能に関するアセスメント(状態を把握すること)が重要になってきます。
スペクトラムという捉え方
神経発達症は、スペクトラムという捉え方をします。スペクトラムとは連続性という意味です。
わかりやすく言うと、グラデーションのようなものです。
色濃く現れたり、薄かったり、この濃淡や特性の種類によって困りごとが変わってきます。
原因
生来的な脳機能の障害が関係していると考えられています。現段階では原因はわかっておらず根本的な治療方法はありません。
しかし、最近の研究では、できるだけ早い時期に障害に気付いて適切な支援をしてあげることで、発達を促進する可能性があり、優れた能力を育てていくことは十分可能だ、といわれています。
また、早期発見し適切に対応することは、子どものストレスを防ぐ上でも大切なことです。
最近では「障害」ではなく、本人の「個性」としてとらえることで、その特性を伸ばす方法が模索され、さまざまな支援が行われるようになってきています。
育児や環境のせいではない
神経発達症は、親の育て方、本人の性格、生活環境のせいだ、などと思われていたことがありました。その後の研究や観察の結果、現在では多くの専門家が“神経発達症は生まれながらの障害“であること、“育て方や本人の性格とはまったく無関係“であることを確認しています。
発達の特性が出始める時期
他の子どもと比べて「ちょっと変わっているかな」、と感じることが増えるのは2歳前後からのことが多いようです。
もっともわかりやすいのは言葉の遅れです。アーウーといった声(喃語)は出しても、パパ、ママといった意味のある単語などが出てこない。指をさして教えないなどといった言動が2歳頃に見られやすい特性です。
また、親や兄弟と遊ぶよりも一人で遊ぶのを好む。名前を呼んでも振り向かない。外出するときに親戚や隣人に預けても泣かない。一つのおもちゃに執着して、それを手に取るとほかのことが一切目に入らなくなったりする、偏食が激しい、夜眠らない、いつも身体を動かしている、といった行動も特性の一つと考えられています。
ただし、これらの行動の特徴は育児をしていくうえでも普通に見られるため、短絡的に神経発達症の特性と考えることがないように注意しましょう。
二次障害
行動パターンが多くの人と異なることで本人や周囲が困りごとを抱えることがありますが、脳の働きに特性があることが理由なので、本人の努力不足や親のしつけが原因ではありません。
しかし、この特性が原因で、周囲の人から注意されたり非難されたりすることが多く、傷つき自信を失うことで、神経発達症とは別の精神疾患や症状を引き起こしてしまうことがあります。
これを『二次障害』と呼び、予防やケアの必要性が叫ばれています。
ありのままを受け入れる
神経発達症の特性は、「悪いもの」ではありません。多くの人とは違う、同じようにできない、という部分は「尊い個性」なのです。違うからこそ、多くの人にはできないことができる。そう捉えて「良いところ」として伸ばしてあげることができれば、生きやすさを手に入れていくことができるようになるでしょう。
「直さなきゃいけないところ」ではなく、「ありのまま」を受け入れ、「自分らしさ」を伸ばせる関わりを心がけましょう。
相談機関
神経発達症かも・・・?と思ったら、一度相談機関に相談してみましょう。
診断が行えるのは医療機関ですので、診断が必要な場合は小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などを受診してみてください。
正式な診断がなくても、受けられる福祉サービスはありますので、お子さんの困り感や状況に応じて判断しましょう。
まず、無料で相談したいという場合には、次の相談機関に相談してみましょう。
市町村保健センター
東京都
全国の一覧が見つからなかったため、参考までに東京都内の保健センター一覧のリンクを貼らせていただきます。
1歳半健診、3歳半健診などを行っているのが保健センターです。
各地域の保健センターをご確認ください。
児童相談所
全国の児童相談所一覧
子育て支援センター
東京都
参考までに、東京都の一覧のリンクを貼らせていただきます。
「子育て支援センター」という名称ではなく、「子育てひろば」など各市区町村で名称が異なる場合があります。
一度お住いの市区町村にお問合せ下さい。
発達障害者支援センター
全国の発達障害者支援センター一覧
発達障害者支援センター・一覧 | 国立障害者リハビリテーションセンター
発達が気になる方、困りごとがある方はひとりで悩まず専門機関や専門家を頼りましょう。
最後に
神経発達症の子育てに悩むご家庭は、近年増加しています。
思うようにいかないことが多いので、苦労が絶えないと思います。
しかし、親や保育者・教育者といった大人だけではなく、子ども自身も大人の期待に応えられないこと、みんなと同じように出来ない自分、周りの人に分かってもらえないことに悩んでいます。
まずは、子どもの悩みや苦しみを理解し、それを取り除いてあげることが大切です。
一人ひとり必要としているものも、求めている関わりも違いますが、目の前のお子さんと向き合い、理解し、お互いを信じあえるようになることで、その答えは見つかってくるはずです。焦らず、時間をかけて理解していきましょう。
そして、大人のみなさんも自分を責めることのないようにしてください。”自分が悪い”というものではありません。
頑張っている自分を認め、周囲に助けを求めてください。
もちろん、相談支援室ぐろーいんぐあっぷ!でも、相談やペアトレ講座を随時受け付けておりますので、お気軽にお問合せ下さいね!
<参考>
https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/dsm-5_guideline.pdf
ICD-11 における神経発達症群の診断について
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1230040214.pdf
ICD-11の診断ガイドラインがWHOのHPにアップされました|公益社団法人 日本精神神経学会
「障害」の表記に関する検討結果について-内閣府
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/k_26/pdf/s2.pdf
発達障害を理解しよう
参考図書
発達障害の子どもが伸びる ほめ方・しかり方・言葉かけ: 毎日の生活に取り入れるだけで子どもが変わる (親子で理解する特性シリーズ)
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