【HIFIMAN HE400se レビュー】有りえんコスパの平面駆動開放型ヘッドフォン。ただ見た目が悪い。

4.0
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このヘッドフォンを導入するためにヘッドフォンアンプを導入したといっても過言
そう、あくまで過言。本機は未だ先の見えぬヘッドフォン沼への通過点にすぎない。
…つもりだったのだが、どうにも予想以上に満足度が高くて現状で満足してしまいそうだ。

そう思わせるほどコスパで申し分の無いヘッドフォンを入手してしまった。
今回はそんな平面駆動開放型ヘッドフォンHIFIMAN HE400seをレビューしていこうと思う。

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HIFIMAN HE400se の基本データ

HIFIMAN について

HIFIMANとは中国天津に拠点を置くオーディオメーカーである。
ヘッドフォンからイヤホン、アンプからプレイヤーなどなど、スピーカーを除いた音楽を楽しむ製品を展開している。

コストを度外視した製品づくりをモットーにしているようであり、それでいながら社長のオーディオヲタクの魂が注ぎ込まれた「こだわり」のあるラインナップが揃っている。
とにかくコスパの良さが特徴的なメーカーであるが、それ故に一昔前は「壊れやすい」なんて声が多く見かけられた。
そんな中でもオーヲタ達からは「音響面にべらぼうに力を注いでいるせいでそれ以外がおざなりになっているのだからしょうがないw」と何故か好印象を抱かれている様子。

なお最近はそんな様子も無く安定している模様。

ちなみにHIFIMANとはなんぞや、というPDFが何故かネットに公開されており、製品への「こだわり」と決めポーズのシャチョーを拝むことができる。

https://www.jas-audio.or.jp/journal-pdf/2020/01/202001_060-063.pdf

HIFIMAN HE400se について

それではHIFIMAN HE400seについて触れていこう。

HIFIMAN HE400seは2021年4月にリリースされた平面駆動開放型ヘッドフォンである。
同社ヘッドフォンとしてはエントリーもエントリーなモデルであり、1.6万円という激安な価格設定がされている。
にも関わらず、同社高価格帯モデルでも採用されている平面駆動型ドライバが搭載されており、HIFIMANのポリシーが活きた妥協の無いモデルでもある。

なお、平面駆動型とはなんぞやという話であるが、端的に話せば「歪み」の無い音が出せるというのが特徴だ。
多くのヘッドフォンがダイナミック型のドライバを採用しており、その機構というのが一部の振動板しか直接的に振動させることができないため、出力音のバランスが崩れてしまう場合がある。
尤も、その機構を活かせばまるでコンサートホールにいるような臨場感であるとか迫力を生み出すこともできるので、そこは良し悪し。
対して平面駆動型は振動板全体を揺らせることができるので出力音のバランスが非常に良いという傾向がある。
ただ、機構的に全面にコイルを張り巡らせる事になるため、多少コストがかかってしまうというきらいがある。

HE400seは、そんな平面駆動型でありながらも上述したように激安価格に設定された珍しいヘッドフォンだ。
噂によると、同社7.7万クラスとなるAnandaに匹敵する音質を誇るそうな。
それが真実であれば、とんでもないコスパモンスターではなかろうか。

HIFIMAN HE400se の外観

まずは外箱。
なんだかすごく業務的。

開けるとこんな感じ。
まぁ折り畳めないので当たり前にデカい。

内容物は上記の通り。
本体と謎のデカい箱。

このデカい箱を開けてびっくり。なんとケーブルと説明書のみ。
「おい嘘だろ」ってリアルで呟いていたと思う。

付属ケーブルは元先3.5mmプラグ。
この価格帯で両出しリケーブル可なのはいいね。
6.35mmプラグが刺さってた。

本体。
なんというかこう、正直「ツマランデザイン」だとは思う。
ぽよーんとしてモサーっとしてノシって感じがする。

古典的な丸形ハウジング。
でありながら透けて見える平面駆動ドライバが目を引くところか。

開放型ヘッドフォンなので全面メッシュ。
表も裏もドライバ部分が丸見え。もちろん遮音性もゼロ。
しっかりと耳を覆う部分にコイルが張られていることがわかる。

開放型故密閉感も無く、蒸れることもないため長時間の装着も苦ではない。
イヤーカップは耳を完全に包み込むような大きさが十分に確保されており、耳介を圧迫する箇所が無いく装着感は良好。
ただし大型の丸形形状のためか装着感は安定せず、”極めて良好”とは言えない。

ヘッドバンドは合皮のような触感。
低反発クッションのようなモフ感で、高級感は無いが安物感も無いちょうどよい塩梅。

筐体はプラスチッキーで価格相応な印象を受ける。
固定部分は素材が異なりスチール感がバリバリで手触りも角々しい。
つや消し加工がされているのが唯一の良心か。

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HIFIMAN HE400se の良いところ

たまげた音質

開封15時間程度はもにゃーっとしたはっきりしない感じの出力が行われていたのだけど、20時間ぐらいから高音から低音まで心地よく鳴らしてくれるようになった。
この状態がまぁびっくり。
あくまで個人的な感想であるが、筆者が筆者少年時代だった頃から愛してやまないStax SR-L300に肉薄するレベル、いやそれ以上のパフォーマンスを感じることができている。

平面駆動ドライバという共通点があるというのも考慮する必要があるかもしれないが、高い解像度と繊細な再現力は中々にいい勝負をしている。価格差は2倍にも関わらず、だ。

開放型はモニター系の音出力傾向が多く、音楽を楽しみたいという人には不向きな機器が多く見受けられる中、本機は多少の味付けがあり低音も強めに出してくれている印象を受ける。
とりわけウッドベースの再現性がべらぼうに良く、クラシックやジャズなどにとてもマッチする。
弦の揺れを身近に感じることができてとても気持ちが良い。

また高・中音域に関しても過不足というものは見受けられず、何かが潰れているような印象も無い。
サ行がささるということも無く高域をのびのびとだしてくれている。
ピアノ曲なども心地よく視聴することができる。
ただ、ポップスのような女性ボーカルは少々力不足気味か。

平面駆動はのっぺりした出力になりがちなので、そこを考慮したうえでのこのチューニングであるとするのならば、結構なこだわりがあるのかもしれない。
尤も、モニター向けのようなバランス感重視の人には不向きではあろうが。

他レビューでは、7万円以上する同社ANANDAという製品とほぼ同等という音質評価を受けているようだ。(上述)
筆者はそれを所持しておらず、またいくつかの視聴可能な店舗を廻ったが確認することができなった為、そのレビューの真偽の確認はとれていないが、さもありなんというところ。

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HIFIMAN HE400se の残念なところ

見た目が…

上述したとおり、見た目がチープ。
重そうなフォルム(実際重い)、モスっとした印象はなんともにまぁ野暮ったい。
本機は「かかる経費から音質のみを重視した」という説明を受けても納得なデザインをしている。
もうちょい工夫が欲しかったなぁ、という話。

付属ケーブルが出力不足ぎみ

付属ケーブルだと音量の確保ができない。
本機は21Ω・91dBとそこまでのスペックを要していながらも、付属ケーブルだとアンプを噛ましても出力の確保が難しい印象を受ける。

発売当初は「白くてやわやわなケーブル」が付属していたようであり、いつの頃からかグルーバル版同様の黒ケーブルになったようではあるが、やはり付属ケーブルの品質には問題がありそうだ。
事実、バランスケーブルに換装した後は、ボリュームMAX/GAINMAXなんかにせずとも十分な音量を確保することができ、また解像度の向上も見込めている。
本機を利用するのであれば、リケーブルは必須なのかもしれない。

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HIFIMAN HE400se の総評

HIFIMANの理念を体現したような製品。
音質のみを特化し、他は結構テキトーな印象。

この音質で1.6万はたしかにとんでもない。ただ、それだけ。
外箱だとか内容物であるとかデザインであるとか筐体素材であるとか、そこらは正直価格相応というか、まぁ中華ヘッドホンだな、という感じ。
ただ費用対効果はとんでもなく高めなので、低価格で高音質なものを、という人には是非おすすめしたいところ。
正直、同価格帯では絶対満足できない体験ができると思うよ。

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