【2023年5月 秩父蒸溜所見学】イチローズモルトのウイスキー造りを解説

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では2008年から生産を開始した、日本のウイスキー蒸留所「秩父蒸溜所」と、2019年から稼働している「秩父第2蒸溜所」の生産設備や製造方法、イチローズモルトの主要な銘柄についても解説致します。

今や世界的人気を誇るウイスキー「イチローズモルト」。一体どのように造られているのでしょうか。

BARWHITEOAKのオーナーバーテンダーである私、ユースケが実際に見学して感じたことも踏まえながら解説。蒸溜所でしか味わえないシングルカスクについてや、おすすめのイチローズモルトもご紹介しております。ぜひ最後までご覧ください。

 

イチローズモルトカードシリーズのまとめ記事↓

 

日本全国にあるウイスキー蒸留所のまとめ記事はこちら↓

 

【2023年9月 三郎丸蒸留所見学】若鶴酒造のウイスキー造りを解説↓

 

 

【2023年5月 秩父蒸溜所見学】イチローズモルトのウイスキー造りを解説|秩父蒸溜所とは?

秩父蒸溜所とは?

秩父蒸溜所はベンチャーウイスキーの創業者である「肥土伊知郎(あくといちろう)」氏が2007年に開設、翌年の2008年から蒸留をスタートさせた、モルトウイスキーの蒸溜所です。

蒸溜所は埼玉県の秩父市にあり、秩父は内陸部の特徴を持ちながらも、夏は暑く、冬は氷点下を下回るほど寒冷な気候で独自のウイスキーを生産しています。

秩父蒸溜所でつくられたウイスキーは「イチローズモルト(Ichiro’s Malt)」というブランド名で販売されています。

 

秩父蒸溜所の基本データ&生産設備

ベンチャーウイスキー秩父第1蒸溜所

所在地:埼玉県秩父市みどりが丘49
オーナー:ベンチャーウイスキー
公式ホームページ:無し
faceBook公式ページ:https://www.facebook.com/ChichibuDistillery
創業年:2004年
蒸溜所開設:2007年
生産開始:2008年2月
仕込水:大血川から取水する市水
年間生産能力:52,000リットル(LPA)
仕込量:ワンバッチ400kg 週7回仕込み(設備点検時に生産休止)
大麦麦芽:ドイツやスコットランド産などのノンピート麦芽。スコットランド産のミディアムピーテッド麦芽。埼玉県産の「彩の星」「みょうぎ二条」「ゴールデンメロン」
モルトミル:ローラーミル(アランラドック製)
糖化槽(マッシュタン):フォーサイス製の撹拌装置の無い特注品×1基(2,400リットル)麦汁量 2,000リットル
酵母:ディスティラリーイースト(プレスイースト)を10㎏使用
発酵槽(ウォッシュバック)ミズナラ製 8基 約3,200リットル(2,000リットル)
醗酵時間:約100時間
初留器:ストレート型(フォーサイス製)×1基 容量2,000リットル
再留器:ストレート型(フォーサイス製)×1基 容量2,000リットル
加熱方式:スチームコイルによる間接加熱
冷却装置:シェル&チューブ
樽詰アルコール度数:約63%
貯蔵庫:ダンネージ式及びラック式

 

ベンチャーウイスキー代表「肥土伊知郎」氏

肥土氏は1625年創業の秩父市の造り酒屋の生まれ。

大手酒類メーカーの営業職に従事していましたが、実家の事業を引き継ぐ形で羽生蒸溜所で働き始めます。

その後、会社の業績悪化により、2000年には羽生蒸溜所は生産停止に。

蒸溜所は手放すことになりますが、2004年に自身で「ベンチャーウイスキー(ウイスキーに賭けるという意味)」を立ち上げ、閉鎖の際に残された羽生の原酒を全て引き取ります。

2005年から自身の名前を冠した「イチローズモルト」というブランド名で、羽生蒸溜所のウイスキーを販売。「イチローズモルト羽生1988」や「カードシリーズ第一弾」は国内外で高く評価されます。

特にトランプの絵柄をラベルデザインにした「イチローズモルト カードシリーズ」は、その後世界的に人気を博し、徐々にコアなウイスキーファンから支持される存在となります。

2007年に秩父蒸溜所を開設し、ウイスキーの製造を開始。「イチローズモルト リーフシリーズ」など数々の人気ウイスキーをリリース。

2019年にはISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)において、洋酒界の最高のブレンダーに贈られる「マスター・ブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

 

ユースケ
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イチローズモルトの生みの親、肥土氏によって、羽生蒸溜所の原酒は廃棄を免れ、日本のクラフト蒸溜所とジャパニーズウイスキーブームを呼び込むきっかけを生み出しました。

 

ベンチャーウイスキーの蒸溜所(閉鎖・計画中も含む)

秩父蒸溜所(稼働中)

2008年から生産開始。

秩父第2蒸留所(稼働中)

2019年から生産開始。(第一蒸留所から直線距離で600m程離れた場所)

新蒸溜所(計画中)

北海道・苫小牧東部地域にグレーンウイスキーの蒸溜所を建設予定。2025年春に操業開始を目指す。

羽生蒸留所(閉鎖)

埼玉県羽生市にあったモルトウイスキーの蒸留所。2000年に閉鎖。残された原酒は全て秩父蒸留所にある。

 

【2023年5月 秩父蒸溜所見学】イチローズモルトのウイスキー造りを解説|製造するウイスキーの種類

秩父蒸留所と秩父第2蒸留所で造られているウイスキー(イチローズモルト)は大きく5種類に分けられます。

 

1,ジャパニーズ・シングルモルトウイスキー

秩父蒸溜所で造られたモルト原酒を100%使用してつくられたウイスキー。代表銘柄は「イチローズモルト 秩父 ザ・ピーテッド」。

 

2,ワールド・ブレンデッドモルトウイスキー

秩父蒸溜所で造られたモルト原酒と、海外から輸入したモルト原酒を蒸溜所内で独自に熟成させブレンドしたウイスキー。代表銘柄は「イチローズモルト ワインウッドリザーブ」「イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ

 

3,ジャパニーズ・ブレンデッドモルトウイスキー

秩父蒸溜所で造られたモルト原酒と、閉鎖した羽生蒸留所のモルト原酒をブレンドしたウイスキー。代表銘柄は「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ

 

4,ワールド・ブレンデッドウイスキー

秩父のモルト原酒、海外産のモルト原酒、海外産のグレーン原酒をブレンドしたウイスキー。海外産モルトと同様に、グレーンウイスキーもそのまま使用されることはなく、必ず秩父蒸溜所内で熟成させてからブレンドしている。代表銘柄は「イチローズモルト&グレーン

 

5,ジャパニーズ・ブレンデッドウイスキー

秩父蒸溜所で造られたモルト原酒、閉鎖した羽生蒸留所のモルト原酒、日本産のグレーン原酒をブレンドしたウイスキー。代表的な銘柄は「イチローズ モルト&グレーン ブレンデッド ジャパニーズウイスキー リミテッドエディション」。グレーンウイスキーは閉鎖した川崎蒸留所で造られたものを使用している。

 

 

 

次のページでは秩父第1蒸溜所の製造方法を順にご紹介

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