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現地人と話して見えてきた衝撃的なエストニアとロシアの関係

バルト諸国の人々は英語ペラペラの人が多いので今回いろいろ地元民と話す機会がありました。


エストニアの首都タリンの旧市街の良さげなバーに行ったときのこと。


このバー、普通のバーと違って、ドリンクはチェリー酒とカシス酒だけ。日本の梅酒のように、チェリーやブラックカラント(カシス)に少量の砂糖を入れ、スピリッツを加えて、漬けておくと出来上がり。普段チェリー・フレーバーってあんまり好きじゃないのですが、ここのチェリー酒激うま!好きなカシスより全然美味しかった♪


さて、ここのバーのカウンターに50代くらいの夫婦が座っていて、どこの人たちだろう?


オーナーはエストニア系で背が高くてブロンドの見た感じ北欧人。


この旦那さんとオーナーが英語で喋っている割には、会話の内容が、このドリンクを旦那さんの家ではどう作っているかという話。エストニア人じゃないだろうから、近隣諸国の人たちにに違いないと思い、どこ出身か聞いてみると「エストニア」と!


しかもタリンの旧市街に住んでると言うこと。話を聞いて見ると、彼らはロシア系でエストニア語はあまり話せず、オーナーはロシア語は喋れないので(オーナーは、30代後半くらいなので学校教育はエストニア語)、英語で話しているとのこと。


衝撃的!


エストニアは18世紀からロシアに何度か占領され、ソ連からの独立したのはラトビアやリトアニアと同様30年ちょっと前。


エストニアの国境の町ナルバではロシア系が多いなとは思っていたのですが、なんと国の総人口130万人のうち、30万人はロシア系なんだそうです。しかも一番ロシア系住民の数が多いのが首都タリン!


エストニアはソ連時代にロシアによってロシア化を進めるため、多くのロシア人がエストニアに移住し、その結果エストニアの独自の言語や文化は抑圧されたとのこと。そのため独立前の教育を受けたロシア系の人々はエストニア語が喋れないよう。


この日は昼間にエストニア国会のツアーに参加したのですが、国会スタッフの人が言っていたこと… 


学校の社会科見学で国会に訪れた子どもたちに「エストニアの大統領はだれ?」と聞くとロシア系の子どもの中で、「プーチン?」という子もいるのだとか!そういうロシア系の子たちは家で家族が見るテレビがロシアのチャンネルなので、ロシアのプロパガンダに洗脳されているという懸念が政府の間であるらしいです。


そして問題はエストニアの公用語がエストニア語のみということ。


この言語、ラトビア語ともリトアニア語とも語源が異なり、バルト・フィン諸語というフィンランド語に近い言語。そしてロシア語とは全く別の語源なんだそうです。


確かに文字はフィンランド語っぽいし、音もロシア語の属するスラブ系言語とは全然違う!バルト・フィン諸語を話すエリア↓はフィンランド、エストニア、フィンランド近くのロシアとラトビアの一部。


独立しナショナル・アイデンティティを形成するにあたってロシア語を排除し、独自のエストニア語を公用語に。つまり、政府機関職員や国会議員、政治家はエストニア語を話せなくてはならないということ。これってロシア系の住民を排除することになっているのでは?


そして独立を機に、エストニア語が公用語となった結果、ロシア系住民がエストニアの国籍を取得するためにはエストニア語の試験を受けなければいけなくなったそうです。この言語のハードルのため、多くのエストニアに住むロシア系の人が無国籍となったそう。諸外国や人権保護団体から批判され、条件は多少緩和されたものの、未だに総人口の6%以上が国籍を持っていないそうです。恐らく年配の人たちでしょうね。


バルセロナのあるカタルーニャ州もフランコ政権の抑圧によって同様なことが起こり、そのあとは、独自言語(カタルーニャ語)のリバイバル、そしてカタラン・ナショナリズムの台頭、独立運動の活性化。なんだかダブります。


色々調べてみると、エストニアの政治家は最近ではロシア語を習得したり、ロシア人の多く住むエリアに引っ越したりして、ロシア系住民を理解しようという風潮にはなってきてはいるそう。


この日ベリー酒バーでオーナーやロシア系旦那さんといろいろ話して勉強になりました。ただ気になったところは、どちらもロシアについては直接触れるのを避けていた雰囲気。エストニア系とロシア系の間ではやっぱりロシアの話はタブーなのかな。


例えば、エストニアはEUでインフレが一番高く、なんと25%の上昇。エネルギーの高騰が特に著しいらしく、そうすると生産コストが高くなるので国産の食料品なども大幅に上昇。ネットで調べるとロシアからのエネルギーに頼っていたとのことなので、「エネルギーの高騰はロシアからの輸入に頼っていたから?」と聞いたら、ロシア系男性は「いや、エストニア政府が役立たずだからだ」と。オーナーは黙って聞いていました。


政府はかなり強くロシアを批判し、EUにもっとタフな反ロシア政策を求めていたりするのに、ロシアとのエストニアの関係はかなり複雑です…


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