一筋の光、降り注ぐ光。

人生はなかなかに試練が多くて。7回転んでも8回起き上がるために、私に力をくれたモノたちを記録します。

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寂しくもあり、あたたかくもありー実家の片付け進行中

 

清水から帰ってきたら、ニオイスミレが咲いていた。

 

冬枯れの景色だったベランダに、そこだけ色が付いたようだった。ほのかな甘い香りも春の訪れを告げている。

 

律儀だなあ。
ほったらかしだったのに、ちゃんと今年も花を咲かせてくれて、嬉しいような申し訳ないような気分になる。疲れが、ゆっくり癒えてゆく。

 


清水には、今回は4日間滞在した。12月に2泊で行ったときは、銀行さんに行ったり業者さんを迎え入れたりするのがメインで小さな作業しかできなかったが、1月下旬に弟夫婦が5日間片付けに入ってくれ、おかげで整理もかなり進んだように感じる。

 

✻昨年暮れの清水行きを書いた記事はこちら↓

tsukikana.hatenablog.com

 

それでもまだまだ、やることは残っている。どうしていいのやら、迷っていることもたくさんある。遠くにある実家の片付け・・・いやあ、手ごわいわ。

 


毎回出るごみの量もすごいのだ。
静岡市清水区の可燃ごみ収集日は、週に2日。これに合わせて日程を組みたいのだが、必ずしもそうはいかない。出せなかった分は、帰りがクルマの場合、大抵はトランクに詰め込んで自分の家に4、5袋は持ち帰ることになる。

 

不燃ごみと粗大ごみは月に1回、決められた日に出せるが、1週間前までに回収の予約が必要だ。袋いくつとか、家具などはサイズも伝えておかなくてはならないし、個数制限もある。なので、これまで不燃ごみは自宅に持ち帰っている。粗大ごみについては、これから考えなくてはならない。

 

ペットボトルや缶、段ボールや新聞紙や雑誌、雑紙(ざつがみ)、本は、回収ステーションに運んで処分させてもらっている。ビンは持ち帰る。ビン、缶、ペットなどの収集日もあるのだが、月に1度しかなく、滞在の日程に重なることは稀だと言えるので。

 

回収ステーションでは服は扱っていないらしい。母のときは、父に頼まれて私が持ち帰ったり可燃ごみに出したりしたっけ。古かったり染みが付いてたりするものは、リサイクルショップに持って行きづらくて。父の服は、1月に来た弟夫婦が、彼らの地元で処分してくれた。

 

しまい込まれていた父母の衣類の多さには、弟夫婦も私たち夫婦もほとほと呆れた。若い頃からのものが、ほとんど捨てられていない。物が捨てられない世代とはよく聞くけれど、ここまでとは。

 

あまりにも古いものや下着類は迷わず捨てられたけど、「これ、気に入ってよく着ていたなあ」と懐かしく思うものや、状態の良い上質の衣類、大切にしていたであろう綺麗なデザインのものなどは、処分の手が止まり、心が揺れた。特に母の洋服。まだまだ断捨離が進まず、かなり残っているのが実情だ。

 

今回は、そんな服の中から2点、服地を切り抜いて「くるみボタン」を作った。母のお気に入りだったコートと、プリーツが美しいブラウス。

 


くるみボタン。実は、11月に清水に行ったとき、父の愛用のベストからも作っている。十数年前に、私が誕生日プレゼントとして贈ったものだが、ポケットがたくさんついていて便利だし、色や形が気に入っていると言って、ボロボロになっても毎年着てくれていたのだった。

 

あちこち擦り切れているし、洗っても落ちない汚れが染みついている。もう捨てたら?と何度父に言ったことか。弟もブランドを調べて買い直そうとしてくれたらしいが、当然だろう、既に製造されていない。

 

父の遺影は、去年、心臓のペースメーカーのバッテリー交換手術の前々夜、私がスマホで撮ったものを使用したのだが、このときもそのベストを着ている。

 

この写真、とても良い笑顔で、10歳くらい若見えするのだ。笑顔のおかげかベストの汚れはほとんど目立たず、これって私のお手柄だよね~、と自分では思っている。父に褒めてもらいたいな。笑

 

というわけで、このベージュのベストも簡単には捨てられなかったのだけど、裏地が暖色のチェック柄になっていて、なかなか素敵なのだった。傷みも少ない。くるみボタンはそこから切り出して作ることにした。

 

ボタンにしたからと言って、別に何かの服に付けるわけではない。ただ、思い出の服の一部を小さく可愛く保存することで、心が落ち着くというだけの話だ。でも、そこが大事。

 

とにかく、くるみボタンの可愛らしさは理屈ではない。それは、昨年の小さな手芸で実感したものだった。そして、ビックリするほどそれは簡単に作れる。

 

✻もうひとつのブログで書いています。よろしければどうぞ↓

tsukikana2.hatenablog.com

 


そんな父は、服だけでなく日記も書類も捨てられない人。今回は2階洋室のデスクや本棚に残された父の古い書類や書物を中心に断捨離をしたのだが、まあ、本当に大変なことだった。

 

滞在最終日、この辺りをよく散歩するというご高齢の紳士がやって来て、柚子大根を作りたいので、庭の柚子を少し分けてほしいとおっしゃる。時期的にもうあまり店頭に並ばなくなってしまったので、と。

 

2年ほど前にもお願いしたことがあるんですよ、とのこと。そう、父からその話を聞いたことがある。後日、お礼にと柚子大根をお裾分けしてくれた方だ。

 

「柚子がお役に立てて父も喜びます、お好きなだけどうぞ」と、私はもちろん快諾。枝切バサミを貸して差し上げた。

 

その方がハサミを返しに再び呼び鈴を鳴らし、私は玄関先で彼と少し話をすることになった。父の他界を残念がってくださり、自分も子どもたちのために終活をしようと思っている、なんてお話をされた。

 

「親の遺品整理では、何が一番大変ですかね」

 

そうたずねられ、ちょうど父の書類をまとめて紐掛けしていた私は、即座に「書類です」とこたえた。

 

服も小物も確かに大変。これから扱うアルバムや食器類も、きっとすごくすごく大変だろう。しかし、書類はざっと目を通し、捨てていいか捨てたくないか、読んで判断しなくてはならない。個人情報などがあれば、簡単には捨てられない。父は公務員だったので流出してはまずい書類もある。シュレッダー案件だ。

 

走り書きのある書類には、その筆跡に若き日の父を想像し、胸が熱くなる。結婚前の書類まであるのだから、想像力を掻き立てられ、古い小説を読むような気分にすらなる。

 

日記やノートも、読んだら悪いかな、と思いながらもチラチラ見てしまう。今の私よりずっとずっと若い父が、青年だった父が、公私にわたり初々しい悩みを書き付けている。うう、だめだー、でも、読んじゃう!・・・仕事がちっともはかどらないよ~!

 

以前、父と母の往復書簡を発見したときと同じように、子どもとしては知ってはならない秘密を見てしまったような、罪悪感まじりの甘さと切なさを覚えた。これ、父は自分で捨てておくべきだったよね。笑

 

「書類は、読んで判断して処分しなくてはならないので、時間がかかるんです。読んじゃまずいかな、なんて気持ちにもなり、辛いですよ。現時点で不要なものなら、ご自分で処分された方がいいかもですねぇ」

 

などと、柚子の紳士に告げながら、私は自宅にしまわれている自分の書類について考えてもいた。私も、早めに「あれら」を断捨離しなくては!

 

夫ともその話になり、「私が死んだら読まずに捨ててねBOX」を用意しなくちゃね、などと笑いあった。執着があり、今はまだ捨てる決心ができないノートや書類を入れておくのだ。死後、娘たちに苦労をかけたくないし、また、読まれたら恥ずかしくて、死んでも死にきれない。笑

 

でも、ふと思うのだ。もしかしたらだけど、父はあのノートを実は子どもに見せたかったのかな、と。自分にもこんな出来事や悩みがあったんだよ、知っておいてもらいたいよ、なんてね。

 

今となっては、確かめようがないのだけれど。
お父さん、結局いろいろ捨てちゃってごめんね。

 


今回は、父の命日に合わせて帰省・・・あの恐ろしい日々から、1年がたった。

 

行きはひとりで新幹線で行ったが、帰りは夫がクルマで迎えに来てくれた。ごみ袋でパンパンになった後部座席が恥ずかしかったけど、良いお天気だし、せっかくなので日本平あたりをドライブしながら帰ることにした。

 

日本平ホテルには、いくつかの楽しい思い出がある。広い芝生の庭に出て、梅の花越しに清水港を見下ろせば、本当に美しい景色だなあと感動。雲で富士山が見えなかったのは残念だったけどね。

 

清水港の画像

日本平ホテルの庭から見下ろす清水港

 

その後、ロープウエイで久能山へ。今年は大河「どうする家康」効果で、東照宮を訪れる人も多そうだ。少し石段を下りたところから見晴らせる、春の駿河湾はまぶしかった。そして、なんというか、清々しい気分になれた。

 

久能山東照宮近くから見える駿河湾の画像

久能山東照宮近くから見える駿河湾

 

 

実家の片付けは大変だ。けれど、父母の思い出の品に触れ、古い記憶を呼び覚ましたり、私の知らない彼らの姿を知ったりするのは、きっと得難い経験なのだろう。

 

寂しくもあり、あたたかくもあるよねと、夕食後のひとときをひとりで過ごすのも悪くなかった。好きなプレイリストを流しながら、今回は刺し子も少ししたりして。

 

疲れても、気持ちがニュートラルになる、前向きになれる。そんな針仕事をライフスタイルに加えられたのは、私にとってラッキーだった。

 

3年前、母の介護に来ていた頃は、フランス刺しゅうのセットを持ってきてたけど、ほとんどそんな暇はなかったっけ。旅行鞄に針山とハサミをどう入れようか、けっこう悩んだんだけどね。

 

そんな経験から、先日、持ち運びに便利ながま口式のピンクッションケースを作った。なので今回、針山問題は解決。これからも旅の相棒になってくれそうだ。

 

刺し子のがま口ピンクッションケースの画像

がま口ピンクッションケース

 

 

✻1年半くらい前から、刺し子が好きになっている私。
よろしければ、こちらのブログ↓もご覧くださいね(*^^*)

tsukikana2.hatenablog.com

 

 

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