日々是好日日記

心にうつりゆくよしなしごとを<思う存分>書きつくればあやしうこそものぐるほしけれ

語るに堕ちた「文通費」問題

2021年11月22日 07時31分38秒 | 政治
 たまたま今年2021年10月31日、月末実施の総選挙。ここで当選した衆院議員はたった一日で「文書通信交通滞在費」なる費目の金員100万円を受領することができた。中にはその翌朝零時には未だ当落不明の当選者?もいたというから、根拠に乏しい国費ではある。
 その法的根拠は、国会法第38条「議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、別に定めるところにより手当を受ける」、および「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律第9条第1項」:「各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として、月額百万円を受ける」という2本の法律に裏付けを持っている。
 とは言え、この日当選した議員のうち初当選や元議員は文字どおり1日100万円の手当という「濡れ手に粟」の優遇だというのでにわかに国会議員特権が非難の的になってきた。悪いことに上記「第9条」には「第2項 前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない」とあって、国が払った当該費用は返金できない仕組みとなっている、という厚遇ぶり。
 世の中には、普段さほどモラルに長けているとも思えない者が突如として道徳家に変身することがあって、この問題はことのほか大阪辺りで大いに熱い舌戦となったようである。なにしろ問題が分かりやすく、そうでなくてもコロナパンデミックで傷んだ人々の救済に10万円をどう配るかというテーマを議論している矢先に勃発した論戦ゆえに分かり易く燎原の火のように燃え拡がってしまったようである。
 国会議員として情熱をもって国勢調査権を発揮している選良議員がいたとしたら、今どき月100万円でちゃんとした議員活動などできるわけがない。現に、この国にそういう議員が何人いるのであろうか?、居るというのであれば彼らにはもっと多額の支援をすべきであろうし、余っておりますというのであれば支払う必要も無ければ、その前に議員数が多すぎるのだから減員すべきである。この経費、問題は新人の癖に一日で100万円は生意気だというがごとき軽佻浮薄な問題ではない。
 国会を半年空白にしておきながら屁とも思っていない政権・与党、それを唯々諾々と認めてきた両院国会の堕落をこそ問題とすべきである。国民は良い政治をさせるために高い金を払って議員を雇っているはずなのだが、選挙の投票には半数の有権者しか投票に行かないで一日百万円と聞くと俄然ブーイングは褒められたことではない。実は、こういう国民と議員の間の彼我の関係性こそがこの国の悪しき政治風土を形成しているのである。
 現行法では、「文書通信交通滞在費」なる費目には、使途報告の義務付けが無い。このお手盛りがインモラルで無能な議員の温床になっているはずだ。国会は、小選挙区制度、議員総数、選挙区割など大胆な改革が必要だ。この国の停滞の一大要因は、政治家の無能と制度の無駄にあることをもういい加減に気付くべきだ。

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