『日本国記』 「息長帯姫」の出自 2 「豊玉姫」になりたかった息長帯姫  その6  限りなく真実に近いアナザーストーリー  【93A】 ひじかたすいげつ 
 

 

 つづく

 

 息長帯姫は九州福岡の香椎宮に祀られる。それはなぜか?

 

 その出自は丹波であると思われる。にもかかわらず、なぜ香椎なのか?

 

 近つ淡海の御上祝(はふり)以伊都玖 天之御影神の女 息長水依比賣と開化天皇の皇子日子坐王が先祖のように見えるが、実は袁祁都比賣命(オゲツヒメ)と山代の大筒木真若王が先祖であり、息長帯比賣の父である息長宿禰王はこの系図からは日子坐王の子である山代大筒木真若王が男系のルーツである。

 

 また息長水依比賣の父は天之御影神とあるが実際にはその7世孫の国忍富神の娘であるという。これはおもしろい。国忍富神とは出雲の神である。事代主である八重波津身の孫であり、八重波津身の子である鳥鳴海の子である。国忍富の子は速甕之多気佐波夜遅奴美その子は甕主日子となっている。これらは次のような系図となり、息長水依比賣は速甕之多気佐波夜遅奴美と兄弟姉妹となることに。なんと日子坐王がアメノムラクモと1世ちがいに。これでは日子坐王の父である第九代開化天皇がアメノムラクモと同世代に。

 

 アメノムラクモは初代神武天皇と同世代である。実際には日子坐王は開化天皇の子であるから第十代崇神天皇と同世代のはず。なんと八代のずれが起こっている。

 

             天之御影

               |

              子

               |

              孫

               |

              3世孫

               |     

              4世孫

               |

              富之八重波津身(事代主)  菅之八千矛(大国主)    アメノホアカリ 

               |                 |               |

              鳥鳴海、蹈鞴五十鈴姫    下照姫、アジスキタカヒコ、高照姫=五十猛

               |                 |                  |

     天之甕主   国忍富              塩冶彦             アメノムラクモ

       |       |                                     |

     前玉比賣=速甕之多気佐波夜遅奴美、息長水依比賣=日子坐王     ヌナカワミミ、海御陰

               |                                                | 

              甕主日子                      丹波比古多々須美知能宇斯王     

 

 つまり実際は、国忍富の娘ではなく、国忍富の七世孫の娘であるはず。では国忍富が天之御影ということに?いや、国忍富はそうではない。富之八重波津身である事代主の子である出雲の第九代大名持鳥鳴海の子であり、神武天皇の妃である蹈鞴五十鈴姫とは腹違いの姉弟であった。そして出雲の王である第十代大名持でもあった。そして、神武天皇はアメノムラクモということに。出雲の神剣は「八雲村雲十掴之剣」という。これはアジスキタカヒコが持っていた剣でもある。別名を出雲建雄神ともいう。そしてアメノムラクモノツルギとも。


 アジスキタカヒコとアメノワカヒコは双子であったともいう。瓜二つであったと。そしてアメノワカヒコはアメノハバヤでは死んでいないともいう。アメノワカヒコはだれになったのか、、、。

 

 いずれにしても、上の系図はおかしいということに。本当の天之御影は、国忍富と同世代のアメノムラクモの子であるカムヤイミミ、ヒコヤイミミ、ヌナカワミミらの腹違いの子であった海御陰のことである。天皇家とは別の丹後の海部氏となった氏族である。海御陰の七世孫が息長水依比賣であれば全く違和感はない。

 

 

 そして、記紀での息長帯比賣の行動は不思議である。彼女は仲哀天皇とは別行動で香椎に向かう。それがそもそもおかしいが、その続きはまた次回に。

 

 つづく

 

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