腰から砕け落ちた。


まさかのカタログ落ち…。

私の愛するシマノ/スタッガリングスイマー100S & 125S。

その中で最も多用するクリアカラーが廃盤となってしまったようだ。

信じられない。

ロストが少なくストックを抱えるルアーだけに全く気がつかなかった。

中古価格も早速高騰しているようだ。


沢山の思い出が詰まったカントウアユ。

名前の謎が解けないままのジャイアン。

ありがとう。

私は多分忘れない。


あなたが私にくれたもの。

濁りのない厳しい中での1本。


あなたが私にくれたもの。

激スレ、激シブな中での1本。


あなたが私にくれたもの。

クソきったないのをヤフオク2,100円で泣く泣く買わされる屈辱。

(出品者の評価【未使用に近い】で屈辱は2倍)




カントウアユ



ジャイアン



狂鱗カラーは私だって好きだ。
でも、だからって…。
ブランドイメージ?
戦略上の一環なのだろうが、シマノは全ルアーを狂鱗カラーにするのだろうか。
店頭に並ぶシマノルアーにマットチャートは残っていても、そういえばクリアカラーなど最近見たことがない。
スタスイのクリアは最後の砦だったのかも。
非常に残念だ。
ナイトゲームの明暗では鉄板だったのに…。
しかし過去にもこんな事例はあったようだし、ひとつ気ままに再販を待ちたいと思う。

ちょうどオフシーズン。
整理整頓の時期でもある。
ヤフオクのバカ高いカントウアユにはもうウンザリ。
そんな悩みを抱えた初心者の貴方には是非クリアカラーの自作をおすすめしたい。
皆でこの試練を乗り越えよう。

実はここ一年というもの、私の貴重な深夜枠の殆どをクリア製作に捧げている。

私の釣りは陸っぱりである上、デイゲームや橋脚明暗など魚が「見切り易い、スレ易い」シチュエーションばかり。
また、自身のルーティンには濁りの強い河川が少ない。
私はセオリーを大事にする男だ。
おのずとクリアの出番は多くなる。

本当は市販のクリアを買い揃えたい。
でも、あんまりお金がない。
それに塗装を施してもいないクリアに定価を払うのも何だか癪だ。
なにか良い手はないものだろうか?
そこで思いついたのが、安価でゲットした汚ならしい中古ルアーを自身の手でクリア化する方法だった。
実に経済的だ。
これなら納得できる。

こうして私は夜な夜な包丁を研ぐ山姥の如く、家人が寝静まった深夜にシコシコ塗装を剥ぎ始めた。



ノッている時のひと月当たりの生産量


この地味な手作業は思いのほか性に合っていたらしく、妙に入れ込んでしまった一時期、手持ちルアーの90%がクリアカラーになってしまう大惨事にまで発展した。

とにかく塗装を剥がずにいられない。
この頃の私は少しおかしかった。
夜が更け出すとムズムズしてしまうのだ。
無性に色を剥ぎたくなる。
実際、水ペーパーでしゃかしゃか削り始めるだけで不思議と心が和らいだ。
私は安寧を手にしたいがため、遮二無二クリア化の作業に没頭した。

異変に気づいたのは暫く経ってからだ。

クリアばかりでゲームにならない…。

雨上がりのどちゃ濁りな河川、投げるルアーが見当たらず立ち往生した。
そこでやっと正気に戻った。




意外なメリットもあった。
フルクリアにすることは内部機構をじっくり眺めるまたとない機会。
移動重心タイプと固定重心タイプ。
ボール式やバネ式。
へえ、こういうことなのか。
よく考えて作られてるなぁ。
このスペースはなんだろう?
浮力確保のためか。
ふむふむ、なるほど。
未熟な私にとっていろいろ勉強になった。

また、予想以上に多いのがクラックや破損。
クリアにするとよく分かる。
真相は塗装のベールに包まれている。
他人のお古はこれが怖い。

中古でもべらぼうに高かった、期待値MAXのロンジン/ハイスタンダード120。
買うのに少し躊躇した、なかなかの傷モノ。
恐ろしいことにクリア化するまで浸水の事実に一切気づかなかった。
私は水たっぷんたっぷんのルアーを嬉々として投げ続けていたのだ。

しかも、それだけで済まない。
よくよく観察するとレールは錆びコブだらけ、行き場を失くしたボール3つはケツ部分で固まったまんま。
24時間の飛行体制。
嘘…何なんコレ?
絶句した。
こんな仮死状態で気づかないとは…
私はタイムマシンで自分を殺しにゆきたい。

生命を吹き込まれることがないルアー。
永遠の棒。
全然スタンダードじゃなかった。

悲しくなる。
全力投入した数ヶ月を思い返すと、私はとても悲しくなる。




塗装の厚みも各メーカーでまちまちだ。
いやらしい話、製造コストまで透けて見えてくる。

あくまで昔の一部ルアーに触れただけであるが、【幸運工芸】や【ええ栗PUSH】の塗装は恐ろしく脆い。
ぱりぱりと簡単に剥げる。
一次工程の筈のアルコール浸漬だけで、みるみる塗装が剥がれていく。
この現象には目を疑ってしまった。
だが目的はクリア化、ルアーを透明にすることなのだ。
これは大きな長所でしかない。
ノンストレスで済む。
私は最大限の敬意を表し、こちら2社を「クリア界の2大メーカー」と呼んでいる。

逆に【メガバス】や【DUO】などは信じられないほど塗装が厚い。
お金掛かっているなぁ。
ユーザー観点では素晴らしいの一言に尽きる。
これらの塗装を剥ぐのは至難の技だ。
当然、クリア界では異端児扱いとなる。




ルアー塗装の剥ぎ方なんてネットでくさるほど出てくる。
わざわざ私が説明するまでもない。
もし初心者で不明な方がいらっしゃれば、手数ながらご自身でお探しあれ。
但し、自身の経験則から何点かのアドバイスだけさせて頂きたい。

①ラッカーの使用はやめた方が良い
→代わりに市販のアルコール燃料を推奨する。
ABS樹脂の種類によるものか、ラッカーを浸すと表面がくすんでしまい再起不能の状態に陥ったケースがあった。

②ペーパー関連で塗装を剥ぎ終えた後、仕上げにクリア塗料を塗ればピカピカの光沢クリアとなる。(当たり前だが)
→カーペイントのクリアでOK。

③全工程が完了した後、必ずアイの部分に硬化剤(2液性エポキシ接着剤)を塗布すること。
→これは是非やって欲しい。塗装を剥ぐ際にアイ付近のコーティングが一緒に流れ、浸水の可能性がぐんと上がる。
私は何本もダメにしてきた。
硬化剤はあくまで補修の域を出ないが、この処置を行うだけで浸水事故はかなり防げる。




あとはカラーリングだけ。
好きな色を塗れば良い。
これでスタッガリングスイマーのカントウアユやジャイアンも復刻。
私たちの悩みは万事解決である。

この作業、簡単だけど少しめんどい。
多少のストックを持つことをお勧めする。
ハイシーズンの忙しい合間に弾切れなんぞ起こしてしまうと、私のようにヤフオク2,100円コースとなりかねない。
どうかご注意頂きたい。