河川のシーバス釣りを始めてもうすぐ3年になるが、バチパターンどころか、私は未だバチの姿さえ見たことがない。




アングラーにとって最も熱いバチパターン。


年間を通して、

シーバスと一番コンタクトが取れる時期。

デビューにはうってつけの時期。

ツ抜け率高めの時期。

そんな噂を耳にしている。

私は毎年毎年とても楽しみにしてきた。

SNSのお祭り騒ぎに胸を焦がしてきた。

バチ抜け=確変。

想像するだけで胸の高鳴りが止まらない。


不得手なこと「波にのること」


うまい棒ではなくもろこし輪太郎。

ファミコン・ディスクシステムではなくファミコン・ロボット。

ウルトラマンではなくキンタマン。

小室ファミリーではなく石原軍団。

ワールドカップではなく大相撲中継。

韓流ドラマではなくVシネマ。

都市伝説ではなく稲川淳二。

ジャスティン・ビーバー風バズカットではなくクールポコ風バズカット。


私のチョイスは悉く外れた。

振り返ればいつも傍流だった。

アバンギャルドな思想は微塵もないのに、気付けば反体制サイドにいる。


同じ過ちはもう繰り返したくない。

波にのってみたい。

皆と一緒に騒いでみたい。


今年こそバチパターンを…

そんな熱い思いで過ごしてきた。

代表的なルアーだってしこたま揃えた。

エリテン、ワンダー、マニック、にょろにょろ、フィール…etc


だのにバチはいない。



九州エリアの河川では主に3月~5月にかけてバチ抜けが起こりやすいそうだ。

春先から本格的にシーズンインするらしい。


私はあらゆる河川を巡った。

いつでもバチの姿を探した。

山崎まさよしも腰を抜かすほど探した。

こんなとこにいるはずもないのに。


大潮から後中潮にかけての夜、上流域から河口まで取りこぼしがないよう捜索してきた。

手抜かりはないはずだ。

他のアングラーがいないのを見計らって、高ルーメンの割高ライトで川の隅々までチェックしたこともある。

明暗、際、流れ、ヨレ、ストラクチャー、堰下、ワンド、合流部、排水口、馬の瀬…


だのにバチはいない。




人によって見える、見えないがあるのだろうか。

スピリチュアルなもの?

心が汚れているから?

ビデオショップGOKURAKUのシステム?


バチは心の中にいます。

そんなおかしな人になりたくない。

この目で見たい。


かの19世紀ゴールドラッシュの如く、血眼になって死ぬ気で探さなければ見つからないモノなのだろうか?

バチなんてもっと身近な存在じゃないの?

…わからない。

見たことがないから、本当にわからない。

一体彼らはどこにいるのだろう?



断わっておくが、バチの姿形は知っている。
ゴカイ。
イソメ。
ケブ、ジャリメ、マムシ…。
釣り餌としてお馴染みだ。
というより「魚に好んで食される」こと以外の特徴は何も知らない。

仏教では輪廻転生を説く。
地球上の生き物は死ねば魂が生まれ変わり、その姿を変えながら何度も転生する。
生命は繰り返される、という考え方だ。
手塚治虫「火の鳥」を読んで、生命の神秘、雄大さに涙した方も多いだろう。
生命はみな尊い。
生命に優劣などはない。

しかしバチはどうしてもに見てしまう。
不遜な私は自然と上から目線になる。
どこまでも釣り餌。
生き物として下等だと思ってしまう。

投げ釣りの餌。
フカセ釣りの餌。
産卵で川に浮かべば鱸の餌。
釣り餌界の生き字引。
釣り餌の中の釣り餌。
the釣り餌。

前世で一体何をしたのだろう。




実はバチ抜けのしっぽは掴んでいる。
この2年の間にあるヒントが隠されていた。

私の愛用ルアーのひとつ、デュエル/ハードコアミノー110F。
浅いレンジをマイルドテイストで泳ぐスリムミノーだ。
通年投げ続けているのだが、私のホームでは3月~4月の間だけやたらと食いが立つ。
正直、他の時期はホゲ散らかしているのだ。
この不条理がひっかかる。
腑に落ちない。
一体どうしてだろう?

これって知らずの内バチパターンにハマってるんじゃないの?

最近ではそんな疑惑を抱くようになった。

今年こそこの謎を解き明かしたい。
なんとしてもバチの姿をこの目で見たい。
バチパターンを実感してみたい。
新作ルアーのアイマ/パドル110、DUO/マニックスロー、ダイワ/ヒソカ120Fなど楽しみも尽きない。

シーバスのゲロだってもう見逃さない。
あらゆる感覚を研ぎ澄ますつもりだ。
私は並々ならぬ決意を固めている。
春はすぐそこ。
バチが待っている。