中国とブータンの間では、1984年から国境問題をめぐる交渉が行われてきましたが、いまだに結論は出ていません。両国は先月、交渉の迅速化と外交関係の促進を目的とした覚書に署名しましたが、専門家は、中国が近年、ブータンの領土をじわじわ侵略していると批判しています。
アメリカに拠点を置く、世界中の華人向けメディア世界新聞網の記事より。
インドの地政学専門家ブラーマ・チェラニー氏の分析によると、ブータンは世界で最も小さく人口の少ない国の一つであり、人口は77万8千人しかいません。
中国とブータンは、1998年に「国境の現状を変えるために一方的な行動をとらない」との二国間条約を結んでいますが、中国は条約に違反してブータンを侵略しています。
ブータンは中国とインドという2つの大国に挟まれており、その文化と宗教は、1950年に中国共産党に侵略されたチベットの影響を強く受けています。
ブータンは国家幸福指数(GNHI、Gross National Happiness Index)という独自の指標を国家目標としていますが、中国の侵略によりブータンの幸福度は圧迫されています。
国際的に認められているブータンの領土に、いくつかの新しい中国の村が作られているという事実は、中国共産党が南シナ海で展開している侵略のシナリオをヒマラヤに持ち込もうとしているとチェラニー氏は指摘しています。
ブータン国内では、中国人の移住が見られ、中国の軍事インフラや道路が整備され始めています。
中国政府が辺境の村づくり戦略を展開するのは、国際法では民間人の住居はその地域を国家が効果的に支配している証拠として認められているからです。
人を寄せ付けないヒマラヤの辺境の地に村を作ることは、南シナ海に人工島を作ることと同じ意味を持ち、そこが中国領であると主張する根拠になります。
衛星写真を見ると、ブータンの西部と北部に複数の中国系の村が出現していることがわかります。
昨年米国のMaxar Technologies社は、そのような村の一つである龐達村(パンダ村)を写した衛星写真を公開しましたが、その後、中国メディアはこの村を中国の領土であると主張しています。
龐達村(パンダ村)の建設と並行して、中国はブータン領内に軍用道路を建設し、インドの最も脆弱な回廊であるシリグリ回廊に対する新たな軸を切り開きました。
チベット、ネパール、ブータン、バングラデシュに挟まれたシリグリ回廊は、インドの「チキンネック」と呼ばれ、最も狭い部分では幅が22キロしかありません。
昨年には、中国がブータンのサクテン野生動物保護区を所有すると一方的に発表したこともありました。
この保護区の面積は741平方キロメートルで、レッサーパンダ、ヒマラヤカモシカ、キャップラングール、ヒマラヤツキノワグマなど、多くの絶滅危惧種を含むユニークな動植物が生息していることで知られています。
中国政府は以前からブータンとの正式な外交関係を求めており、インドはブータンが中国との外交関係を築くのを妨げていると非難しています。
しかし実際には、中国は長引く国境交渉を利用して、国交を結ばずにブータンに圧力をかけたり侵略したりしているに過ぎません。
中国共産党はこのように、辺境の地に人を移住させて領有を主張してきます。
ブータンで起きていることは、他人事ではなく、日本の尖閣諸島はもちろん、沖縄や長崎五島列島の離島は、格好の標的です。
無制限の外国人移民や、外国人の住民投票権を認めることがどれほど危険かわかってもれたでしょうか。
参考記事
日经分析:中国霸凌小国不丹 可能破坏南亚稳定
http*://bit.ly/3CMI0j0