普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

バンドマンの彼女になりたい願望という謎の感情

来世は売れてないバンドマンの彼女になりたい。

ふとそんなことを思った。今生は自分が売れないバンドマンだったわけだけど、そんなバンドマンを支える彼女になりたいと思ったのだ。

本気でバンド活動をしているとけっこう色々とステップアップだったり分岐点だったりというのが訪れる。そういった人生の起伏を横で見守り、バンドマンと一喜一憂したいのだ。

なんでしょうね、この思いは。彼氏に、バンドに何かあれば自分ごとのように本気で気持ちは動くと思うのだけど、どこか一歩引いた視点でその出来事を感じたいのかもしれない。もしくはバンドマンやら音楽に関わってはいたいけど当事者でなくともよいみたいな。いわばプレイヤーを変えて人生2周目をプレイみたいな感覚だろうか。

最近ブラッシュアップライフを見ているので人生n周目みたいなことつい考えてしまう。まあバンドマンの彼女としての人生は今の人生を繰り返すわけではないのでn周目みたいな話ではないのだけど。

実際バンドマンの彼女として生きたら付き合う男をダメにしてしまう自信がある。散々尽くすし共感するのに浮気までされる始末。それでも彼が、バンドが好きだから応援してしまう。でもなんだかんだで彼優しいから…みたいなこと言って自分を誤魔化すのだろう。

一点断っておくと僕と妻はもっと健全な関係性であることを主張しておきたい。あと妻(当時は彼女)の対応に不満があったとかではない。断じて、断じてです。

会社での異動希望のように来世の希望が出せるのであれば「バンドマンの彼女」であるが、そうすると前世の僕は今生で「売れないバンドマン」を希望したのかもしれない。

売れない、というところにポイントがあると思う。あえての苦労。なぜそんなことを望んだのだろうかと思うが、僕は自分の前世について思うところがあるのですでに腑に落ちている。

僕の前世はばりばりに甘やかされた室内犬だったのではないかと思うのだ。動物としての強さは一切なく、愛嬌のみで飯を食う。そんな存在として生を全うしたのだ。あまりにもちょろい犬生(人生みたいなこと)だったものだから、「や〜、次回はもうちっと難易度あげてもいいかな〜」なんて舐めた発想があったのだろう。

そこであまり辛すぎないギリギリのラインが”売れないバンドマン”だったのだ。それなりの苦労もするけどまあまあ楽しいでしょ、的なことを犬の浅知恵で考えたに違いない。って言っても僕なんですけど。犬の浅知恵というか浅知恵のおれ。

なんで前世が甘やかされ尽くした室内犬だったと思うかと言うと今生の僕にもそういった愛嬌だけでなんとか乗り切ろうとするフシがあるからである。犬時代のスキルを継承しているというわけだ。みなさん優しいので愛嬌でけっこう乗り切れる場面というのはあるものだけど、たまに愛嬌を振りまいてみてもガチマジレスの超絶真顔人間にあたると半笑いのままシュンとすることになる。

今生で得たスキルが果たしてあるのかどうかは疑問だが、このまま愛嬌スキルを来世に引き継ぎ、バンドマンの彼女として生きることになったらその愛嬌をもって彼氏を手助けできるかもしれない。いいかも。

まあブラッシュアップライフよろしく来世が人間である保証などないのかもしれないけど。ということは犬生のときに徳を積んだか。やるな前世の僕(犬)。

実家の犬。甘やかされてはいない。