楽しい時代小説です。
江戸時代中期が舞台であると思いますが、
明らかに現代社会への風刺が効いていま
す。
尾張藩から江戸詰めで働いている主人公
小四郎は、若くて仕事への取り組みも熱
心です。
しかし、あまり働かず業務後の飲み会ば
かりに熱心な上役に我慢ならず、時には
正論をぶつけてしまいます。
「俺がいなければ、この働き場は一日も
機能しないだろう」と思っていたところ
へ、尾張藩の転勤を命じられます。
しかも役職は松茸見廻同心という、足軽
同然の扱い。
松茸をしっかり育成して、江戸への貢物と
するのが仕事なのですが、当然松茸は必ず
しも狙った数量は手に入らないです。
そうなると貢物は無くなるので、なんと他
の地方藩から松茸を高価買取をし、それを
貢物として充てているのが例年の習いとか。
結果、尾張藩の財政も火の車状態です。
そんな事実を皆知っていても「どうしょう
もない」と諦めたり、「あの頃は良かった」
と豊作の「泡のような(バブルですね)」
時代を懐かしむだけ。
現代でも松茸の育成方法は解明されていな
いのに、小四郎はどうするのか。
時代は違えど、働く目的を持つ意味を考え
させられる一冊です。
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