ペペシチュー その1
「大野寺さーん、更新の件なんですけど~考えてくれました?グヘヘ…。」
「ああ、その件ですか、あいにく副業の方が忙しくてね。正式な返答は派遣会社を通してさせて頂きますんで」
仕事のできるマリモンは忙しい。今日もネット監視の仕事は定時に終わらせると早々とスタッフに挨拶を済ませ退社する。
「じゃあ、お疲れっス!」
「お疲れ様です、マリモンさん。あ…、いや大野寺さん!なんとか今回の更新もよろしくお願いしますね、グへへ…」
「ああ、その件ですね。前向きに検討させていただきますヨ」
仕事のできる男は正義。たとえ派遣スタッフであってもだ。何をしても許される。
マリモンが人気ユーチューバーと二足の草鞋なのは公然の秘密であったが、仕事の鬼出来るマリモンの副業に対して、文句を言う人間は派遣先のスタッフにはいなかった。
颯爽と帰りの電車に乗り込み帰宅するマリモン。
実家近くに借りた小奇麗なマンションのチャイムを鳴らすと、女性がドアを開けて出迎えてくれる。
「彦康さん、お帰りなさい!お仕事お疲れさま(。・ω・。)ノ♡」
「おう、お疲れ、動画の編集は済ませてくれた?」
元々はファンの女性であったが今では動画編集スタッフとして同棲している。マリモンの頼れる右腕である。
続く