2型糖尿病は「断食」で良くなる?

2型糖尿病は断食で改善するか

2型糖尿病患者に「断食」は是か非か?

これまでに当ブログでも何度か「断食」について取り上げています。私は長期間の断食(ファスティング)をしたことはなく、最長でも62時間です。

腎臓専門医で2型糖尿病と肥満に特化した治療を行うジェイソン・ファン医師のように断食を積極的に取り入れている医師もいれば「朝食を抜くだけでもダメだ!」と仰る医師もいます。

11年前の古い記事ですが、糖質制限の江部康二医師の「土曜断食」の記事を見つけました。江部先生によれば『軽い糖尿病なら、数日の断食で膵臓を休めるだけで、きれいに治ることが多い』そうですが本当でしょうか?


 


ジェイソン・ファン医師は著書の中で『2型糖尿病になってから20年経っている場合は、数か月間ではよくならないだろう』と仰っていて、最初に妊娠糖尿病と診断されてから18年近く経つ私もきっと簡単には良くならないだろうと思います💦

結局、2型糖尿病の改善に断食は効果的なのか、それとも良くないのか?そもそも辛すぎて実行することも難しいのではないか?等々、気になる方も多いのではないでしょうか?

今日は、久しぶりに1日プチ断食をして「ケトン体」をエネルギーにしてこの件について記事にしてみたいと思います♪

 

なごみ
なごみ

1日だけでも食事抜きなんて信じられないです💦

よっしー
よっしー

猫は日に何度か食事したほうがいいみたい。人間はどうかしら?

断食がなぜ糖尿病改善になるの?

「何も食べないと痩せるから糖尿病が良くなるのだ」と思われるかもしれませんが、数日間の断食ではたいして体重は減らないと思います…よほどたくさん食べていたり高度肥満の方でない限り。

食べるのをやめると、まず体は蓄えられているグリコーゲンという糖をエネルギーとして使い、それがなくなると体脂肪などをエネルギーにします。

それでも、数日程度の断食ではそこまで体脂肪の量は減らないはず…ではなぜ断食が2型糖尿病に効果的と言われるのでしょう?

肝臓やすい臓に脂肪がたまっている人は多く、日本人は欧米人に比べて皮下脂肪よりも内臓脂肪(臓器の周囲につく脂肪)、異所性脂肪(臓器につく脂肪)がたまりやすいと考えられています

 



 

内臓脂肪や異所性脂肪は体に良くない物質を分泌して血糖値や血圧を上げます。これらは皮下脂肪よりも落ちやすいので、断食して体重がわずかに減っただけでも有害物質の分泌が減ると考えられます。

断食と言っても、何日も何も食べないような厳しいものだけではなく、朝食を抜くだけの軽いものもあります。

日本でも江戸時代中期までは多くの人が1日2食でした朝起きるとまず何も食べずに労働をしていたそうですね。

だから「朝起きてすぐ朝食を食べないと病気になる」ということはないのではないでしょうか…生まれつきの病気で数時間おきに糖質を摂取しなければいけない方々を除けば。

 

低カロリー食と断食はどう違うの?

「断食なんて極端なことをしなくても、日々の食事を少し減らせばいいじゃないか」と思う方が多いと思います。

しかし1週間に摂取する食事量が同じでも、低カロリー食と断食とではその効果は異なるようなのです。

定期的に断食を行う方が「インスリン感受性」が良好に保たれるので血糖値、体重が良好になるということです。確かにちょっとばかり摂取カロリーを減らしてもなかなかうまくいかない人は多いですし、最初は良くても代謝が下がって痩せにくくなるといいますね。

 

 

ダイエット中に「チ―ティング」をして節約モードをリセットするという方法がありますが(非常に高血糖になる可能性があるので糖尿病患者には危険だと思います💦)低カロリー食を継続していると節約モードになるのは確かですね。

もともと大量に食べていた方は病院食にすればガサッと体重が減ると思いますが、そうでもない人はおそらくそこまで効果はないはず…少し摂取カロリーを減らしても体が適応して代謝を下げてしまうので。

ちなみに「飢餓」は自分の意思に反して何も食べられない事、「断食」は自分の意志によって行うものだそう…確かに。

断食でタンパク質不足になり筋肉が落ちる?

「タンパク質はとても重要なものなのに、断食をするとタンパク質が不足して筋肉が落ちるのではないか」と思いますよね。正直、私もこの点が気になりました。

ライオンやトラ、チーターなどの肉食獣は野生では毎日は食べないそうです。狩りが毎日うまくいくわけではないから、獲物を「まとめ食い」して次の狩りまでもたせるそう。

だから動物園でも、エサを与えない日をもうけているそうです。毎日食べさせるのは動物たちの本来の食生活ではないので内臓に大きな負担がかかるからだそう。

猫は1度に大量に食べることができず、1日に何度かに分けて食べるようです。犬も同様のようですね。

 



 

ネズミは胃袋が小さく、しょっちゅう食べなければなりません。餌がなくなると寒いときで1日、暖かいときでも4から5日で餓死してしまうそうです💦

また体の大きさに関係なく「草食動物」は1日の大半を食事に費やす大食漢が多いようですね。植物はエネルギー効率が悪いので常にたくさん食べないといけないのでしょう。

人間は肉食寄りの雑食動物と言われており、体はチーターよりも大きくライオンよりは小さいです。健康体であれば、小さな体の猫やネズミよりは「食い溜め」が可能でしょう。

長期断食ならともかく、1日や2日食べられないぐらいで筋肉がガサッと落ちることは考えにくいですし、自分もそうなったことはないです。

 

ファスティング(断食)終了しました
昨日実施していたファスティングを終了しました。 一昨日の夜の7時30分ごろに夕食を食べ終わった後は、水分摂取だ…

↑清水泰行医師の断食体験談

 

チーターは時速80~130kmものスピードで走れる肉食獣です。彼らが毎日食べられないからと言って脚の筋肉を失えば、獲物を捕まえられずに命を落とすでしょう。

人類の歴史は飢餓との戦いの歴史でもあります。ちょっと食べられないからってすぐ筋肉が落ちて動けなくなったとしたら、ゲーム「スペランカー」の主人公のようにあっけなく死んでしまったでしょうね💦

食べ物がないと言うことは、何とかして食べ物を見つけに行かなければいけないということです。ちょっと食べられないからって簡単に弱ってしまってはいけないんですよね。

ただし長期間の断食を行ったり、短い断食でもしょっちゅうやっていると多少は影響がある可能性は否定できません。普段はしっかりとタンパク質を摂取し、たまに断食を行うぐらいなら良いのではないでしょうか。

 

断食ってあまりにも辛すぎない!?

正直、低血糖などの身体的な不調が起こらなくても「断食は精神的にきつい」というのは確かにあると思います。

1人暮らしの方ならともかく、家族の食事を作っているのに自分だけは食べない…というのはなかなか忍耐力が試されます。だから私も長期間はできないんですよね💦

人間の場合、単に血糖値が下がったとかお腹が空いたという以外に「感情」によって食欲が湧いてくる生き物ですからね。

私は具なしの薄いみそ汁に「ぬちまーす」を入れたものを飲みます。これでかなり満足できます!MCTオイルを混ぜてもいいと思います。


 


昔、NHKスペシャルの『驚異の小宇宙・人体 脳と心』で九州の求菩提山に1週間こもって断食しながら読経する修行?について取り上げられていたのを覚えていますが、あれは相当にきついのではないかと想像します。

ただ、辛いことは辛いのでしょうけど、日ごろから糖質制限を行って体が脂質をエネルギーとして使うことに慣れている人のほうがラクかもしれません。

今まで好きなだけ糖質を食べてきた方がいきなり断食をすると、脂質をうまくエネルギーとして使えずに体調不良になりやすいと言われていますよね。いわゆる「糖質中毒」の方では、アルコール中毒者が断酒したときのように「離脱症状」が出るかもしれません。

 

インスリン分泌不全には即効性はないと思う

ジェイソン・ファン医師は著書の中で断食に関して『2型糖尿病になってから20年経っている場合は、数か月間ではよくならないだろう』と仰っていると上で書きました。

内臓脂肪、異所性脂肪はインスリンの効きを悪くする物質を出すので良くないのですが、これを減らすことによって「インスリン抵抗性」は改善されますが「インスリン分泌不全」までが即効で劇的に改善するとは考えにくいですもんね💦

2型糖尿病患者では「インスリン抵抗性」「インスリン分泌不全」の2つの要素がありますが、糖尿病家系の患者ではインスリン注射を行っている人が多く「インスリン分泌不全」が遺伝と大きくかかわっていると考えられています

 

両親が糖尿病の患者では、すい臓のβ細胞機能がかなり低下している
糖尿病専門医が、糖尿病の遺伝による膵臓のβ細胞機能への影響についてわかりやすく解説します。

 

また糖尿病家系ではない方も、糖尿病を発症してから長い年月が経つにつれてインスリン分泌不全になったり、普通の2型だと言われていたのに実はMODY(特定の遺伝子異常が原因で若い時に発症する糖尿病)SPIDDM(進行がゆっくりな1型糖尿病)だったということもあります。

2型糖尿病患者の場合、診断された時点でインスリンを分泌するβ細胞はかなり減少してしまっているとも言われますが、「インスリン抵抗性」のみで高血糖になっている場合はすぐ断食や生活改善を行うことで容易に元に戻るのかもしれません。

β細胞がいったん減少してしまうと、んな手段を使っても魔法のように元の数まで増やすことはまだ不可能です。それが可能なら、まだ自己分泌が完全に枯渇していない1型糖尿病も治せるようになるはずです。しかし現在、薬の研究が進んでいます。

ただ、たまに断食してインスリンの感受性を良好に保てば、同じインスリン分泌量でもそれまでより血糖値を良好に保てることは期待できますよね♪

 

断食するなら細心の注意を払って!

私は最長でも3日間までの断食しか行ったことがありませんが、低血糖その他の危険な状態に陥る可能性が低い方が慎重に行うのであれば、短い断食は2型糖尿病の改善に効果はあると思います。

ただ最低でも日に何度かは血糖測定を行わないと危ないと思います。理想はフリースタイルリブレでずっと血糖変動を追いかけることです。

また1型糖尿病の方は普通はインスリン抵抗性はないので、断食をすることで改善は期待しにくいと思います。むしろ低血糖が心配なので断食は短期間でもなさらないほうがいいと思います💦

また、ちょっと断食したからと言って筋肉がすぐ落ちていくことはないとは言え、もともとタンパク質が不足気味の方が頻繁に断食すると非常に良くないと思います。


 


普段はしっかりとタンパク質や良質の脂質を摂取し、健康上断食を行っても問題がない方は必要に応じてたまに慎重に行う…ということで良いのではないでしょうか。

あくまでも個人的意見ですが、1日おきに断食するというやり方では頻繁過ぎて多くの日本人にはタンパク質不足に陥る危険性が高いのではないかと思います。週1回かそれ以下でどうでしょう?

糖尿病でインスリン注射や血糖値を下げる飲み薬を使用している場合、低血糖には特に気を付けなければいけません…たとえ2型であっても。頻回な血糖測定ができないなら危険なのでやめておきましょう。

断食と言っても良質の脂質だけは摂取して良い方法もあります。また水分と塩分が不足して脱水症状が出ないように気を付けましょう!実践するならくれぐれも安全重視で、よく勉強して自己責任で行ってくださいませ。私も本の著書の医師たちも責任を負えませんので…

 

なごみ
なごみ

興味がある方は、まずジェイソン・ファン医師の本などをよく読んで、危険の無いように慎重に…ですね。

よっしー
よっしー

そうね。とにかく安全第一で!

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