IBG 1/72 ウクライナ空軍 ミコヤン MiG-29 ファルクラムC

MiG-29は旧ソビエト連邦時代、ミコヤン・グレヴィッチ設計局(通称MiG)で開発された戦闘機です。1983年から配備が開始され現ロシアの他、ウクライナなどの旧ワルシャワ条約機構加盟国を中心に運用されています。ファルクラムの名称はNATO(北大西洋条約機構)が命名した名称でロシアでは使われていません。

2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻は本書執筆中の2022年11月現在でも収束していません。ウクライナは現在も制空権を維持しており、ウクライナ空軍の健闘として2022年4月頃にMiG-29エースパイロット「キーウの幽霊」が注目されていました。キーウの幽霊の戦果や正体はSNSなどで様々な情報、憶測が流れており詳細の説明は割愛しますがウクライナ空軍はキーウの幽霊を「戦術航空旅団の優秀なパイロット達の集合的な精神の現れ」と説明しています。

現在キーウの幽霊をモチーフとしたプラモデルキットが幾つか発売されており、今回はIBMモデルス社の1/72スケールキットを紹介します。ちなみに本キットの売上の一部はウクライナに寄付されるようです。

複雑なシートの造形を1パーツで整形しています。スライド金型を使用しているようです。

コクピットのパーツ構成です。ディテールは1/72スケールでは標準的だと思います。

パネルのメータ類はデカールで表現されています。

サイドパネルのデーカールが実機の写真と異なっていたのですが、どうやら説明書の指示の一部(298番と299番)が左右逆になっているようです。

パネルラインの情報量は多く、良い感じです。

リベットの表現も緻密です。

パイロンを付ける場合は主翼下面に穴をあける指示があります。穴の経が指示されていませんでしたが直径0.8mmのようです。不要な穴あけの指示もあり、注意が必要です。

客室内のパーツ構成です。

エアインテークのパーツです。MiG-29は駐機状態ではエアインテークの入り口が閉じるようになっており、それらも再現することができます。

シートに追加工作で射出レバーを再現してみました。赤いハートマーク上のものが射出レバーです。

エアインテークを接着している状態です。少し隙間が出るので洗濯ばさみで圧着しています。

エアインテークのつなぎ目は若干段差ができるので周囲のディティールを消さないようにマスクして削りあわせています。

機体末尾のパーツ構成です。

コックピットを塗装した状態です。本キットの説明書では色指定が「VALLEJO」、「HAKATA」、「AK INTERACTIVE」の3社の塗料で説明されています。どれも日本では馴染みのない塗料なのでクレオスの塗料で近そうなものを使用しています。コックピット内の明るいグレーはクレオス118番「RLM78 ライトブルー」を使っています。

機種には10gのおもりを入れるように指示されています。

おもりには釣り用のガン玉をエポキシパテで固定して入れていみました。

機首のパーツのつなぎ目も若干、段差が出ます。

瞬間接着剤をパテ替わりに使って段差を埋めました。パネルラインは彫り直しています。

エンジンノズルのパーツ構成です。エンジン内部も再現されています。

エンジン奥のフィンは塗装の指示がなかったのですが、実機写真ではグリーン系の塗装がされているようです。

前脚のパーツ構成です。

機体牽引用の器具が付属されています。この手のキットでは珍しいと思います。

牽引用器具を組み立てた状態です。

主脚のパーツ構成です。タイヤの溝も再現されています。

機体が組み上がった状態です。キャノピー前部もマスキングしてから接着して、下地にグレーのサーフェイサーを塗りました。

パネルラインは黒で塗装しています。

パネルラインの黒を若干残しながら全体の塗装を行います。背面は上面より少し暗いグレーが指示されています。これはクレオスの317番「グレー FS36231」にしてみましたが、もう少し明るい色が近かったようです。

機首上面はクレオスの315番「グレー FS16440」を塗っています。レドームはクレオスの305番「グレー FS36118」を使用しました。キャノピー前部はフラットブラックです。

エンジンノズルはクレオスのSM201番「スーパーファインシルバー2」と205番「スーパーチタン2」を使用しています。

エンジンノズル部分は更にスモークグレーやクリアオレンジ、クリアブルーで焼けて変色した様子を再現しています。

ウクライナ空軍MiG-29の特徴であるデジタル迷彩はデカールで再現されています。デカールは機体のパネルラインへの墨入れを行ってから貼っています。

デカールは凹凸のある部分にもはらなければならないため、マークフィットは必須です。今回はタミヤのマークフィットの中でも、デカールの軟化力の高いスーパーハードを使ってみました。この手のデカール軟化剤は、使用するデカールによっては軟化しすぎて破ける場合もありますが、このキットのデカールは大丈夫でした。

更におびただしい量のコーションマークが付きます。

心が折れそうになるくらい数が多いですが、デカールの半分近くがミサイルのものです。

ミサイルはR-27RとR-73E、R60の3種類を選択しました。

ミサイル用のデカールは1/72スケールのキットとしては非常に多く、詳細です。

デカールを貼った後につや消しクリアで艶を整えて、更にデカールの上に墨入れをしています。デカールを貼った部分のパネルラインは浅くなるので、スミ入れがうまく行かない部分は0.3mmのシャープペンシルでパネルラインを書き込んでいます。

実機の写真ではキャノピー前部は若干緑がかっているように見えるのでクリアグーリーンを薄く塗装してみました。

機体上部の迷彩パターンはウクライナ国章の形になっています。

牽引用の機器を取り付けた状態です。

上面の塗装はもう少し明るい色のほうがマッチしていたかもしれません。

MiG-29は運用開始から40年近く立っており、現在はかなり退役が進んでいます。ウクライナ空軍で使用しているMiG-29はロシアによる大幅な近代化改修型である9.13規格(フルクラムC)と呼ばれるものす。

今回紹介したキット自体のディティールはかなり詳細で緻密と感じました。ただ組立説明書は少々わかりづらく、パーツ指定が間違えていると思われる箇所もありました。海外のキットにはありがちなのですが、塗装の指示もアバウトでネット上の実機写真を参考にすることが多かったですが、1/72スケールのMiG-29キットでは、おすすめできる内容だと思います。

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