祖母宅の目の前には道を挟んで、一軒の家がある。 

今日もそこの奥さんと会って、少し話した。 

この家は、ニワトリを飼っている。 

特に柵や小屋を設けることなく、完全な放し飼いである。 

人慣れしており、車も恐れないニワトリ達が、平気でそこら中を歩いている。 

以前、近所の犬がニワトリと戯れて殺してしまった事があり、犬の主人は弁償で少なくない金額を支払ったと聞いた。 

そのようなトラブルがあっても、ニワトリを別に隔てる事はない。 

祖母はこのニワトリについて、しょっちゅう文句を言っている。 

勝手に他人の敷地に入り、フンを落として行くからである。 

夫曰く、この近所の人はみんな迷惑だと言うが、誰も当の飼い主に「やめて」とは言えないらしい。 

近所の「和諧」のためという。

安定と平穏な関係を維持するため、許し許され、玄関前に落とされたフンも黙って片す。

畑で獲れた黄豆（大豆）を、家の前で干している。 

ニワトリがつまみ食いしない様に、祖母に言われて監視中。 

近づいて来たら脅かしてみるも、自由勝手に生きるニワトリは肝が据わっていて、なかなか手強い。