三人の王子

これまでのお話おはなしのくに

前回までのあらすじ

大臣は王になろうと反乱を起こしたけれど、途中で気が変わり、反乱を止めようとします。でも、兵隊長のオドシメルはやる気まんまん。農民や市民を城に集めて呪文「イザンバ」を唱えさせ、王様から冠を奪おうとします。実は、集まった人々はみな王子たちの仲間。戦いの末、王子たちはオドシメルを倒して王様を救います。

その十八

 少し落ち着いたところで、王様は王子たちに聞きました。

「それにしても、お前たちはどうやって、こうもうまく、城に入りこめたのだね? それに、お前たちを助けているあの頼もしい兵士たちは何者だね?」

「はい、そのことです、父上。つい三日ほど前…」

と、三の王子は話し始めました。

 イーダ姫が隠れ暮らす屋敷で、召し使いアマダから大臣が反乱を企てていると聞いた三の王子は、急いで来た道を、城に向かって戻って来ました。

 兄たちと別れたイチイの大木まで来た時、三の王子は立ち止まりました。

道は三本に分かれています。一本は、まっすぐ、城に向かい、後の二本は西と南に向かっていました。

「困ったぞ、どっちへ行ったらいいだろう?」

 まっすぐ城に向かったところで、自分一人で大臣の軍隊に立ち向かえるはずがありません。

「大兄は西へ、中の兄は南へ向かったのだが、どちらを先に探しに行ったものか…」

 この時、頭上のこずえからズササッと人が降って来て、王子を馬からたたき落とし、地面にころがしました。

「うわ、何者だ!」

 怒る王子に構わず、男は王子の背中に馬乗りになりました。

他にも何人か、やぶのしげみから、バラバラ、飛び出して来て、王子の腕をしめあげたり、足をしばったりします。

「捕まえたぞ、悪大臣の手先め!」

「え、ちょっと待て。ぼくは違うぞ! ぼくは王子だ!」

「何をぬかす。王子様はあちらにおいでだ。お前みたいな汚ねえなりの王子がいるもんか!」

 この時、「おい、待て」と声がして、だれかがイチイの後ろから出て来ました。

「こりゃ、驚いた! こいつは本物の王子だぞ」

 聞き覚えのある声です。

 三の王子が見上げると、そこには兄の二の王子が、にやにや、自分を見下ろしていました。

「兄上!」

「弟よ、しばらくだったな」

 男たちがあわてていましめを解き、すごすご、引き下がると、三の王子は立ち上がって、パンパンほこりをはたいて、ふくれっ面で言いました。

「ちょっと会わない間に兄上は山賊の頭に収まっていたんですか」

「山賊とは人聞きが悪い。せめて義賊と呼んでほしいな。見かけは悪いが、彼らはいい連中なんだから」

 そう言って、二の王子は自分に起こったことを三の王子に話して聞かせました。

「お前と別れて南に進んで間もなく、実際、おれは山賊に襲われてな…」

危ないところをアレンという男に助けられたこと。一緒にスポーツ競技会に行ったこと。それは実は大臣が自分と娘を結婚させるために仕組んだわなだったこと…。

「おれはわなに気づいて、危うく、そこから逃れたが、大臣が何かそれ以上の悪だくみをしているんじゃないかと不安になった。

そこでアレンとその仲間たちに頼み、一緒に城に向かったんだが、一足、遅かったよ」

 二の王子とアレンが城に着いた時には、城は大臣の兵隊に乗っ取られた後でした。

「守りの固い城を奪い取るなど、アレンたちがどれほど勇敢だろうと、なかなか出来るものではない。

どうしたものかと相談していたところへ、だれかが馬を飛ばしてやってくる。てっきり、大臣の手先かと思って…」

 二の王子たちはやぶやこずえに隠れて待ち伏せしたというわけです。

「そうでしたか。実は、ぼくもある人から大臣の反乱のことを聞き知って…」

 今度は三の王子が旅先での出来事を話しました。

 話し終わると、兄弟は額を寄せて考えました。

「城の正面から戦いを挑めば大勢の犠牲者が出る。第一、父上のお身が危うくなる。いったい、どうすればいいだろう」

 いつの間にか、アレンやその仲間たちも集まって来て、二人の王子を取り囲み、知恵を出し合います。

 三の王子はその中に、アレンに寄り添うようにして、きれいな少女がいるのを見つけました。

(あの娘はだれだろう? 何だか、悲しそうだな。それに、よく似た少女と最近どこかで会ったような気がするんだが、はて、どこだったかなあ…?)

 その時でした。

「私がよい方法をお教えいたしましょう」

と声がして、みなの目の前でイチイの幹がすうっと開きました。

トンネルのような洞の奥から姿を現したのは銀ぱつも美しいケンタウロスでした。

つづく

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